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韓流ドラマを始めとした韓国のテレビ番組が、アジアを席巻している。そして、それに後押し
されるように、韓国のミュージシャンや俳優、アイドルタレントが各国に進出している。
さながら、1945年に第2次世界大戦が終了して、アメリカのハリウッド発文化が世界を席巻し、
それに日本人を始めとした世界の若者が憧れたように、インドネシア、フィリピン、マレーシア、
タイ、ベトナム、インドなどの成長するアジアの若者は、韓国に憧れを抱くようになってきた。
お陰で、はるかに優良なコンテンツをたくさん持っているにも拘わらず、日本の存在感は薄くなる
一方である。何故このような状況になっているのだろうか?
■戦略をもって取り組んだ韓国
金融危機が発生しIMFに救済された1997年、韓国のテレビ番組輸出は1000万ドル足らず、
それに対して輸入は6000万ドルと、大幅な輸入超過であった。それが、金大中大統領の
歴史的な文化開放政策(例えば、それまでは原則禁止であった日本のコンテンツを、
全て解放した)に端を発し、三次にわたる「放送映像産業振興5カ年計画」の結果、
2008年に輸出は1億8000万ドルに達した。それに対し輸入は2000万ドルまで減少し、
立派な輸出産業に成長した。
この取り組みは、大統領府の強力な指導の下、中央の全省庁、地方政府が民間をバックアップ
する形で行われ、TV番組の輸出振興のみならず観光客の増加、海外興行収入による外貨の
獲得をもたらしている。また、間接的効果としても韓国のイメージ向上に加え、韓国製品の
輸出促進や韓国企業の海外進出円滑化に多大な貢献を果たしている。
この取り組みに掛けられた予算は、平均すると年間約1200億ウォン(現在の為替レートで
約1億ドル)である。TV番組の輸出だけでは充分に元を取ってないように思えるが、その他の
効果を勘案すると測り知れない効果をもたらしている、莫大な効果を生んだ戦略的に成功した
投資であると言えるだろう。
■戦略的な行動ができない日本
それに対して日本はどうだろう。
過去蓄積されてきたコンテンツは、大河ドラマやアニメ、トレンディードラマなど膨大なもの
があり、その一部、例えば『おしん』や『ドラえもん』は、各国で放映されそれなりの効果を
残している。最近では、『ポケモン』や『ワンピース』など、各国で大人気と聞く。
しかし、「旬」のコンテンツの大量投入による効果は劇的である。例えば、インドネシアでは
国民の多くが視聴するTVニュースの合間に、韓国アイドルのKARAが流れ、子供たちは皆KARAの
真似に夢中である。かの地における日本のイメージは今のところ大変に良いが、韓国のイメージ
は急上昇しており、5年後を考えると寒いものがある。
何故、膨大な蓄積を持つ日本のコンテンツは大きく海外展開ができないのか?主要な理由は以下の
3つであると、筆者は考える。
1.著作権等権利処理の制約
コンテンツを商業利用するにあたって、権利関係の扱いは極めて重要かつデリケートである。
昔の大河ドラマをはじめ過去のコンテンツにおいては、日本国内における放送や上映などの
特定目的の利用を想定した権利処理が行われており、その海外利用やネット利用に当たっては、
例えば画面に映る全ての出演者のパブリシティ権を本人と処理するという、想像を絶する手間が
掛かるのである。 ※続く
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