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【日本版コラム】大学秋入学は就活問題を改善するか
2月9日のコラム「『大学秋入学』の落とし穴 議論の迷走と状況悪化が危惧される理由」で、
秋入学自体は大学の国際化にあまり役立たないということを書いたのだが、「視点がユニークだ」といった反響を結構いただいた。
そこで、このテーマについて、もう少し語ることにする。
今回は秋入学が企業の通年採用、外国人留学生採用などにどのような影響を及ぼすかを考えてみたい。
結論から言うと、秋入学に移行したとしても、学生採用の現状の問題解決にほとんど役立つことはないと思われる。
ただ、学生が進路を決める今の仕組みは問題だらけで、企業、大学ともに改善が必要であり、そのためには秋入学の議論は良いキッカケになるかもしれない。
■経団連の就職協定見直しとユニクロの通年採用
まず、企業の最近の学生採用に関する重要なトピックとして、「採用解禁後ろ倒し」と「通年採用」について整理しておきたい。
昨年末、経団連の就職協定が変更となった。例年であれば大学3年生の10月に会社説明会が「解禁」になっていたのだが、
それでは学生の就職活動が長くなり過ぎるという批判が強まり、昨年は2カ月遅れの12月に説明会解禁となった。
経団連の動きと並行して、学生が1年中いつでも応募できる通年採用も増えつつある。
代表例は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングである。昨年12月、同社は2013年入社の学生を対象に通年採用を行うことを発表した。
ファストリの採用方法は単に通年だけでなく、1年生から応募が可能で、学年、新卒・中途、国籍を問わないオープンなもので、
日本企業としては画期的な内容である。ファストリは、留学生も差別せず、多様な人材の獲得ができると語っている。
この二つのトピックをめぐって提起されている主な論点は下記のようなものである。
1)採用期間はどの程度が適切か
2)一括採用と通年採用どちらをとるべきか
3)企業はどのような人材を採用するべきか
これらのテーマについて行われている一般的な議論がなぜ迷走しているかを説明し、どうあるべきかを考えることにする。
■経団連の方針変更が日本全体を変えるわけではない
企業、学生双方にとっての負担を考えると、採用期間は短い方が良いに決まっている。
したがって、経団連は期間を2カ月短くしたわけだが、これは日本全体で見れば、大して問題解決になっていない。
なぜなら、経団連加盟企業・団体は約1603社(2011年6月時点)に過ぎず、日本全体の事業所数(約604万社)の0.1%にも満たないからである。
採用期間の短縮によって、経団連加盟企業や一部の大企業、有名企業は恩恵を受けるかもしれないが、
その他大勢の中堅・中小企業にとって状況は変わらない。
というのは、中小企業が大企業と同時期に内定を出しても、学生が辞退して大企業に行く可能性が高いからである。
大企業は4年生の1学期に内定を出すが、中堅以下の内定はどうしても秋までかかってしまう。
つまり、解禁日が3年生の12月に変わっても、中堅以下は1年近く採用を続けることは変わらず、これでは企業も学生も疲弊する。
続きます>>2-5
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