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近い将来起こるとされる首都直下型地震に対し、NHKや民放キー局が備え始めた。
もしもテレビ局が地震で機能を失い、東京から番組を放送できなくなったら-。
その時の備えを追った。
NHKの今井環理事は一日の会見で、「どういった災害が発生しても、国民の生命と
財産を守るための放送サービスを間違いなくお届けできるよう、放送機能の強化に
努めたい。これまでは予算もかかって進められなかったことも、取り組めるもの、
すぐにやらなければいけないものを洗い出した」と話した。
NHKではこれまで、地震のために東京・渋谷の放送センターの機能が停止する事態を
想定してこなかった。震度6強でも十分耐えうる設備であるというのが理由だ。しかし、
間もなく一年となる東日本大震災では、さまざまな想定外の事態が起き、見直しを余儀
なくされた。
そこで、大阪放送局から全国に二十四時間体制でニュースを放送することを想定し
新年度から機能強化を始める。さらに大阪局のバックアップには福岡局を充てる。
これまで取材などで書かれた全国の原稿は東京のホストコンピューターに集約されて
いたが、これが使えなくなることも見越して、大阪にも同様のシステムを設ける。
放送センターが被災した場合、さいたま、千葉、横浜といった関東の局に取材・伝送
拠点を移す。通常、東京から各地の放送局に回線を通じて番組を送っているが、地震で
この回線が使えなくなる可能性もある。その場合は、取材した映像などは通信衛星
(CS)で大阪局へ。大阪を拠点にニュース番組を編成し、全国の局に放送衛星(BS)
で送る。各局でBS波を地上波に変換して各視聴者に届ける。
関東地方の視聴者には、放送衛星から東京タワーに送られたニュースが届く。タワーには、
BS波を地上波に変換する装置を新たに設けるという。東京スカイツリーが利用開始と
なって以降はスカイツリーからに。ツリーが使えなくなった場合も想定し、東京タワーは
予備の放送所としての機能を残す。
大阪局の強化は、人の面でも行う。四月に東京の横尾泰輔アナウンサーが大阪に異動する。
大震災でもニュースを伝え、緊急報道に定評がある横尾アナを中心に、大阪から全国放送
する場合の備えなどを話し合うという。
NHKは一連の機能強化を二〇一三年度中に完了させたいとしている。
テレビ朝日の早河洋社長は二月の会見で「本社機能が致命的なダメージを受けることを前提に、
大阪や名古屋(の系列局)にキー局の機能を緊急措置で移す想定で計画を立てている」とし、
訓練もしていく考えを明らかにした。その他のキー局も同様の準備を始めており、テレビ東京
はグループ企業の日本経済新聞社内のスタジオを使うことなども検討している。
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