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スペイン・バルセロナで開催中の世界最大級の移動体通信関連展示会「Mobile
World Congress(MWC) 2012」には、日本企業も出展している。
富士通は2年目の出展で、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)のグローバル
展開を模索する。執行役員常務の大谷信雄氏に今後の展開を聞いた。
■「正攻法ではライバルに勝てない」
韓国と中国メーカーがスマホ市場で勢力を増すなか、日本メーカーのグローバル展開が
一向に進まない。富士通も世界展開を模索しているが、大谷氏は「他社とは違う切り口で
世界を攻めていきたい」と話す。
「欧州の携帯電話会社と話を進めているが、今年中にはどこかでスタートできると思って
いる。これまでは『正面玄関』から正攻法で攻めてきたが、ブランド力が弱くライバルには
勝てなかった。防水技術では太刀打ちできず、価格競争でも厳しい要求を突きつけられた」
(大谷氏)。
そこで、富士通がグローバル展開の「武器」として海外の携帯電話会社に提案し始めたのが
「らくらくスマートフォン(らくらくスマホ)」なのだという。
「ドコモ向けをメインに開発しているが、これで海外展開を狙いたい。欧州も高齢化が進んで
おり、携帯電話会社の関心も高い。端末と機能をセットにして提案を進めている」(大谷氏)。
高速通信技術のLTEやWiMAXへの対応のほか、基本的なネットワーク技術、防水、
薄型化、クアッドコア展開などでは他メーカーとの差異化は難しいと判断。富士通が日本で
10年以上にわたって展開してきた「らくらく」シリーズをスマホに載せて勝負を挑む。
らくらくシリーズは操作に不慣れな高齢者をサポートするために、様々なセンサーを活用して
きた。スマホにもその技術力を転用するという。
「高齢者が違和感なく、タッチパネルで誤操作しないことを追求して研究開発を進めている。
米グーグルは(OSの)アンドロイドのメニュー画面でアイコンのサイズを規定しているが、
そこに手を加えて操作しやすいようにする。らくらくスマホでやるべきことはたくさんある」
(大谷氏)
らくらくスマホは日本市場でも期待が高いと、モバイルフォン事業本部長の高田克美氏は語る。
「販売の現場から、富士通でしかできないものを期待されていると聞いている。いい意味での
プレッシャーを感じる。富士通こそ、らくらくスマホを製品化できなくてはいけない。屋台骨
となる技術で特長を出すことを忘れてはならない」
■絶好調のARROWSを襲った二つの「誤算」
富士通では2011年末にNTTドコモ向けに投入した「ARROWS X」が絶好調だ。LTE
に対応し、おサイフケータイやワンセグ、赤外線、防水などの日本特有機能をすべて搭載する
“全部入り”のスマホだ。
「いままでは、とんがったお客さんが最先端のものを求める傾向があった。しかし日本でも
スマホの普及期に入り、一般女性にまで広がりつつある。フィーチャーフォン(従来型の携帯
電話)で日本のメーカーに親しみを持ってきたユーザーが、日本メーカーを選ぶのは自然の流れ
と言える」(大谷氏) ※続く
◎URLリンク(www.nikkei.com)