12/02/24 15:28:40.88
ちょうど2年前、当コラムで「成績優秀なのに仕事ができない“大人の発達障害”」に
ついて取り上げたところ、2月22日までに約280万アクセスもの大きな反響があった。
当時、インタビューさせていただいた医師の星野仁彦・福島学院大学福祉学部教授
(医学博士)に再び、お話を伺う機会があったので、改めて“大人の発達障害”について
紹介したい。
■「5年先まで予約がいっぱい」“大人の発達障害”増加も専門医不足
やるべきことを先延ばしにする。約束が守れない。時間に遅れる。人の話が聞けない。
相手の気持ちを考えずに一方的に話す。物事の優先順位がわからない。後先考えずに
行動する。場の空気が読めない。キレやすい。落ち着きがない。片づけられない…。
もしそうだとしたら、その原因は“大人の発達障害”にあるのではないか。
星野医師が2011年4月に出版した『発達障害に気づかない大人たち<職場編>』(祥伝社
新書)では、社会へ出たとたん、仕事や人間関係などがうまくいかなくなる人たちの
ことをそう紹介する。
“大人の発達障害”で多いのは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と、アスペルガー
症候群を含むPDD(広汎性発達障害)。その中には、「両方が合併している混合型が
かなりの割合を占める」と星野医師は指摘する。
新しい動きとして2013年には、米国精神医学会の「DSM」(精神障害の診断と統計の
手引き)が「Ⅳ」から「Ⅴ」に改訂され、ADHDとアスペルガーの合併診断が可能に
なったという。
ところが、日本には「大人の発達障害」の専門医は、まだ数が少ない。
自らも当事者である星野医師は、福島県郡山市の星ヶ丘病院に勤務。星野医師の受診を
受けるには、「大人のADHDに関しては、5年先まで予約が埋まっている状態」だ。
■成績優秀なのに家事や仕事ができず挫折してしまう大人たち
外来で診療に訪れるのは、成人の20歳代から50歳代までと幅広い。初診時の平均年齢は、
30歳代だ。
最高齢は、85歳の女性。都内で英語教師や翻訳の仕事をしていたが、ずっと自己不全感を
持ち続けていた。
彼女もやはり、勉強はできるけど、日常生活がうまくできない。子育てや家事もうまく
できなかった。しかし、星野医師の著書を読んで「あ、私は、これだ」と思ったという。
「ADHDとアスペルガー症候群に該当します」と、星野医師が告げると、彼女は
「85年間の人生の謎が解けました」とホッとして、すっきりした表情になった。知能
検査をしたところ、結果を表すIQは135と、平均知能指数100に比べて非常に高いこと
もわかった。
「小・中・高校までは、勉強のできる人が多い。人間関係も大学までは、マイペースでも
問題にならないんですね。ところが一旦、社会に出ると、同僚や上司、クライアントとの
人間関係が不器用で、時間や金銭、私物管理、感情コントロールなどもできなくなるん
ですよ」
こうして仕事がうまくいなくなると、職場で孤立して、出社できなくなり、新たな大人の
「引きこもり」の増加にもつながることになる。(※続く)
◎URLリンク(diamond.jp)