12/02/23 00:38:23.73
>>1の続き
実際、NTTは、国内の競合企業への販売を背信行為と見なし、NECが過度に他社向けの生産を増やすなら、発注を減らすぞと言って脅した。
こうした古い絆は依然として強い。NECは今でも、26億円相当のNTT株を保有している。
NTTのために仕事をしていたNECは、生きた通信網の中で自社の機器を運用する方法について、ほとんど経験を積めなかった。
そのため、通信事業者が納入業者に機器の運用支援を求めるのが当たり前の海外で、NECが事業を行うのが難しくなった。
このようなサービスは、利益率の高い継続収入を生む。NECには、急速に薄利の汎用事業と化しつつあるハードウエアしか残されていないわけだ。
NECは、NTTから分離された携帯電話事業者、NTTドコモとも取引がある。この関係も、やはり内輪的だ。
NTTドコモは、メーカー各社がそれぞれ独自の製品を開発して互いに競争することを許さない。
代わりに、各メーカーに特定の機能を要求し、すべてのメーカーが破綻せずに操業を続けられるようにしている。
例えば、あるメーカーが、簡単なカメラを搭載した超薄型携帯電話を作るよう指示される一方で、
別のメーカーは、高級カメラを搭載した箱型携帯電話を作るように言われている。
このことは、日本の携帯電話市場が「ガラパゴス現象」に苦しんでいる理由を説明する助けになる。
日本の技術は世界から隔離された形で進化しており、他国ではなかなか成功できない。
日本は年間3000万台近い携帯電話を生産しているが、海外ではほとんど売っていない。
自由化の後、NTTはコストを削減しなければならなかった。NECは減益に見舞われたが、生活はまだ快適だった。
そのためNECは、他国の通信機器メーカーが取り組んだ抜本的な改革で頭を悩ますことはなかった。
実際に多角化しようとした時には、苦境に陥った。1990年代に行った米国のパソコンメーカー、パッカードベルの買収は失敗に終わった。
このため、NECは概ね、日本国内に引きこもることになった。
技術的には卓越していたのに・・・
経営陣の動きが遅いにもかかわらず、NECは多くの場合、技術的には卓越していた。
かつては世界最速のスーパーコンピューターの製造でクレイやIBMと張り合っていた。
NECのノウハウは、日本の人工衛星計画の成功にとって欠かせないものだった。
だが、これらは小さな市場だ。NECの研究所は世界最高の部類に入るかもしれないが、今年は研究開発予算を2008年実績の半分まで削減せざるを得なくなっている。
問題がどんどん積み上がっていくと、NECは、LCD(液晶ディスプレイ)事業や携帯電話事業、パソコン事業の持ち株などの資産の売却に踏み切った。
だが、ぐずぐずしたせいで、売却金額は減ってしまった。
しかも、こうした合弁事業とはきっぱりと決別しておらず、少数株主として残っている。
変わらねばならないのに変われない
NECは現在、他社が生産していないものはほとんど生産していない。
だが日本にとっては残念なことに、こうした状況に置かれているのは決してNECだけではない。
シャープの携帯電話とLCDテレビは、パナソニック、ソニー、東芝、日立製作所の競合製品と戦わなければならない。
しかも各社は皆、サムスンとアップルに市場シェアを奪われている。
>>3に続く