12/02/21 18:55:54.75
MinimalMacに載った最近の記事は、一般的なアプリケーションの分野でMicrosoftが徐々に、
その立場を失いつつあるという、興味深い考察を述べている。優れた記事だから一読を
おすすめするが、その要点は、長年Microsoftの最大の金づるはMicrosoft Officeがユーザに
とって、Windows同様に重要であることにあったが、このところ、その同じユーザが、
Officeを要らないと思い始めている、ということだ。OfficeはMicrosoftにとって振れば
金貨を生む打ち出の小槌であり、しかも至近の10年を見ても、会社とその業務をだいじに
するIT部門ならどこでも、その代替製品は…それらが存在していても…まったく検討しない。
Officeは、業務の必需品である。OpenOfficeだって? あんなヘンなもの、誰も使わんよ。
ところが、タブレットの普及と共に、オフィスワーカーたちは突然、もうOfficeは要らない
ことに、気づいたのだ。今や必要なのは、メールとNotepadとDropbox的なものだけだ。
Officeの文書はどんな製品の上でも開けるし、テキストのエディットもどんなタブレットでも
できる。iPadなら、まともなワープロが9ドル99セントで手に入る。つまり、もうOfficeの
出番がない。
上に紹介した記事の筆者Patrick Rhoneは、これをMicrosoftの最大の“機会損失”と呼んで
いるが、ぼくから見ればパラダイムシフトだ。このシフトはオフィス環境にとって、
紙から電子化への移行のときと同じぐらいあつれきが大きいが、しかしそのあつれきは、
今後短期間で落ち着く、鎮静化する、とはとうてい思えない。
OA(office automation)化の歩みは、ゆっくりとはしていたが、妥協のない冷徹なものだった。
ぼくが子どものころの1980年代には、映画などで見る会社のオフィスは大量の紙の文書を
蔵した図書館みたいで、そこで働く社員たちは図書館の司書に見えた。やや大人になった
ころは、紙の書類を扱うことがいやで、むしゃくしゃしてくると、ものすごい悪筆で殴り
書きをした。たとえば国境における通関手続きの書類なんか扱ったことがあるが、こんな
手書きの記録を政府の誰がいつ見て、不正等に気づくのか、と疑問に思った。誰も見やしない、
紙の無駄遣いだ、くそったれ。
しかし、古い習慣はしぶとく生き残っているし、ペーパーレスオフィスなんてまだまだ
遠い話だが、でもタブレットによって、プリンターレスのオフィスは夢物語でなくなった。
前世紀には、企業やお役所の主なコミュニケーション手段はタイプライターで打ったレポート
やメモだった。人びとは、ペーパーワークだけのために、8時間オフィスにいなければならな
かった。仕事を家ですることは、紙を家に持って帰ることだった。パソコンを使うように
なっても、‘デスクトップ’、‘ごみ箱’、‘受信トレイ’、‘フォルダ’などの用語に、紙時代のなごり
が色濃く残っている。(※続く)
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