12/02/17 14:48:21.16
経済産業省は16日、
東日本大震災後の東京電力の計画停電などを教訓に、
周波数の違いなどの影響で不十分な東日本と西日本の電力会社間の電力融通拡大策の検討に入った。
この問題を話し合う有識者の研究会の初会合を同日午後に開催。
災害時などに周波数の異なる東日本と西日本でも十分な電力融通が行えるように周波数を変換する設備の増強策などを検討し、
4月をメドに5~10年程度の整備計画をまとめる。この計画を基に来年の国会に関連法案を提出する方針だ。
欧米各国は国内の周波数が同じだが、日本は東日本が50ヘルツ、
西日本が60ヘルツと二つの周波数が併存する「極めて異例の状況」(資源エネルギー庁)。
もともとは明治時代に東電など東日本地域の電力会社がドイツ製、
関西電力や中部電力など西日本の電力会社が米国製と異なる様式の発電機を導入したのが原因。
その後も各電力会社は地域での電力供給の独占体制を維持したい思惑から、
他社との電力融通に関わる設備投資に消極的で、二つの周波数問題は是正されてこなかった。
この結果、東西で電力を融通するには周波数の変換が必要となっているが、
変換所は静岡、長野両県内に計3カ所あるだけ。
変換能力は計約100万キロワットにとどまる。昨年3月の大震災では東日本地域で原発7基、火力発電所13基が停止し、
合計1500万キロワット近い供給力が喪失。
しかし、周波数が壁となり、西日本から十分な電力融通ができず、
首都圏では地域ごとに輪番で電力供給を止める計画停電が実施された。
この反省から、経産省の研究会は、災害で発電所が長期停止した場合も想定し、
電力各社間で十分な電力融通ができるように周波数の変換設備や地域間の送電網増強の数値目標を設ける方針。
さらに、過疎地での立地が見込まれる太陽光や風力など中小規模・分散型の発電所を幅広く活用するため、
北海道と本州間の送電網の増強策なども講じる。
その上で、変換所の新増設や地域間の送電網設備の増強に必要な期間やコストを検証、
4月にまとめる整備計画には電力各社に設備投資を促す税制優遇策も盛り込む考えだ。
研究会の上部組織に当たる同省の「電力システム改革専門委員会」では、
電力会社の発電部門と送電部門を分ける「発送電分離」の検討が本格化している。
東西間の電力融通に道筋が付けば、電力の安定供給に加え、電力会社間や新規参入組の発電事業者と競争が促され、
電気料金の抑制につながることも期待される。【和田憲二】
毎日新聞 2012年2月16日 21時10分(最終更新 2月16日 23時12分)
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