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■税収、雇用減 住民の自信喪失も
歴史的な超円高で輸出型産業が苦境に立たされる中、九州でも昨年末以降、工場の撤退表明が
相次いでいる。地域経済を支えてきた生産拠点の消失に、地元自治体などは雇用確保など
対応を急ぐが、専門家からは「小さな自治体では、工場が消えることで局地的な空洞化の
懸念がある」との声が上がる。
大分県日出町では、米半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)の工場閉鎖による
ショックが広がっている。
TI日出工場は昭和48年操業で、従業員約500人のうち146人が町民。工場は平成
25年7月末までに閉鎖される。
法人税や従業員の住民税など、TI日出工場に関連した町の収入は年間約1億6千万円。
町全体の税収27億4千万円(平成23年度見込み)の6%にも及ぶ。
直接の経済的打撃もさることながら、約40年間にわたって地域とともにあり続けた工場
だけに、町内では「『TIがなくなり日出町はもうだめだ』と町民が自信を失うのが怖い」
(同町財政課)と懸念される。
一方、鹿児島県日置市では、パナソニックグループの半導体製造工場の閉鎖が決まった。
こちらも約40年間稼働してきた老舗工場だが、海外勢に押されパナソニックが半導体事業
再編を進める中で、2年後をめどに幕をおろす。
富山県などへの配置転換を打ち出す会社側に対し、同工場従業員590人のうち、1月末
までに182人が早期退職を希望した。日置市では外郭団体を通じてこれまでに54社
200人分の求人を確保。退職希望者とのマッチングを急いでいるが、求人にはタクシー
運転手など工場勤務とは異なるものもあり、就職活動がスムーズに進むかは予断を許さない。
「外資でも何でもいいから、次の企業に来てほしい」(宮路高光・日置市長)というように、
日出町、日置市ともTI、パナソニックが進める工場の売却先探しに希望をつないでいる。
民間シンクタンク、九州経済調査協会の加峯隆義調査研究部次長は「国際競争が厳しい
半導体産業を中心に、古くなった工場を閉鎖し最新鋭工場へ集約する動きは今後も続く。
特に人口3~4万人の都市で何百人も雇用してきた工場が閉鎖した場合、地域に与える
影響は大きい」と語る。
いかに工場閉鎖の流れをとめ、空洞化を防ぐか。加峯次長は「これまで九州には、高い技術は
不要な量産型工場が多かった。企業ではなく地域が技術を保有するようにし、『この商品は、
ここでしか作れない』という評価を得られれば、看板の企業は代わっても工場は残る」と
提言する。
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