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■紙管理の難しさ
日本ネットワークセキュリティ協会は、毎年「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」
を発表している。この最新版の2010年版(2011年8月25日公開)では情報漏洩媒体の種別を次の
発表している。
1位:紙媒体(69.4%)
2位:USB等可搬記録媒体(12.4%)
3位:電子メール(6.8%)
紙媒体がその他の媒体を圧倒している。この傾向は統計を取り続けてからずっと続いており、確かに
その内容としては「管理ミス」など過失も多いのが事実だ。だが、それらの要因を除いても、やはり
脅威であることは間違いない。この「紙媒体」の管理について今回はお伝えしたい。
■ある市役所での出来事
とある市役所で数年前に情報漏えい事件が発生した。そのため、専門家がその後の業務フローを分析し、
民間企業と比較しても最高レベルの管理体制に変更させたのである。
時代が変わると、昔は許されていた行為が許されない行為として認知されることがある。コンプライ
アンス的な側面では、例えば、筆者が新人のころ、先輩が新人の女性に対して親睦の表現(?)の
一つとして、お尻をポンと叩いていたものだ。しかしその行為は、今では「セクハラ」として決して
許されない行為の代表格になっている。
この市役所のケースもそういう典型と言えるかもしれない。今、50代後半から60代以降の方々なら
以前では「倹約」や「美徳」として奨励されたものがある。それが「裏紙の再利用」である。
オフィスでは大量の紙を使用する。その際に廃棄処分となっている紙を裁断してメモ帳を作り、
伝言メモや電話メモとして再利用するものだ。
今の方なら、「人件費の方が高い」「貧乏臭い」といって敬遠すると思われるが、その昔はよく
この作業をさせられたものである。特にコンピュータを直接利用する情報システム部門などは、
大量に廃棄処分となる紙を出力していたもので、筆者も新人時代は、1日1時間くらいはメモ帳を
作成していた時期があった。
現在はこういう一見すると美徳と思われる行為も、「許されない行為」となった。特に紙が情報
漏えい事件の原因となったこの市役所では、例え両面に何も書いていなくとも、紙なら必ず
シュレッダーにかける決まりとなったのである。総務部が不定期にトラッシング(ゴミ箱検査)
を行い、コピー用紙がゴミ箱の中にある場合は指導するようになった。
だが、周囲が急速に変化している時でもなかなか変化に対応できない人が必ず出てくる。それが、
このケースでは定年間近のある職員であった。警告を2回もメールで受けながら、なかなかその
変化に対応できなかったのである。(※続く)
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