12/02/01 20:42:22.73
2012年早々から“牛丼値下げ戦争”が勃発した。業界3位の松屋は、これまで320円だった
牛めし並盛の定価を、1月16日から280円に値下げ、トップを走るすき家の牛丼並盛280円と
肩を並べた。さらに、2位の吉野家も期間限定(1月31日まで)ながら、牛丼並盛を380円
から110円も値下げして270円で提供している。
もはや限界とも思える牛丼業界の低価格競争だが、さらに熾烈になるのではと見る人もいる。
その引き金は、すでに日本が交渉参加を決めているTPPだ。
参加国間での関税が基本的にすべて撤廃されるTPPが発効になれば、当然、海外産の安い
食品が大量に流通することになる。食品業界に詳しいジャーナリストの吾妻博勝氏も
「TPPによって、国産の食材にこだわらない外食チェーンつまり、ほとんどの大手外食
チェーンのメニュー価格は相当安くなるでしょう」と指摘する。
では、実際どの程度値下げになるのか。外食産業に詳しい「百年コンサルティング」代表の
鈴木貴博氏に、TPP発効後の牛丼価格を細かく試算してもらった。
「吉野家の牛丼並盛の定価は380円で、食材の標準量は牛肉90g、ご飯250g。同社は仕入れ値
を公表していませんが、肉については同じアメリカ産牛肉を取り扱うコストコの価格、米に
ついては一般的な飲食店のケースを参考にすれば、1杯当たりの仕入れ値は牛肉が約98円、
米が約30円と推定できる。単純にこれを足して、現在の牛丼の原材料費を128円と考えましょう」
では、これが関税撤廃によっていくらまで下がるのか? 鈴木氏が続ける。
「現在、輸入牛肉には38.5%の関税がかかっていますから、牛肉の原材料費98円から関税分を
差し引くと71円。次に米のほうですが、現在はミニマムアクセス米(政府が海外から関税なし
で受け入れている一定量の米)以外の輸入米には、国産米の保護政策として778%の高関税が
かかっています。そのため、輸入米は国内にはほとんど出回っていません。しかし、関税が
撤廃されれば、TPP参加国から大量に流入してくると思われます。現在の国産米(新潟県魚沼産
コシヒカリ)の1kg378円に対して、アメリカ産米(日本人の好む短粒種)は1kg166円と、
約56%も安い。今は国産米を使っている大手飲食チェーンの多くが、輸入米に切り替えてくる
ことは十分に考えられます」
あくまでも輸入米の品質に問題がなければ、という前提のもとだが、かなりの低価格化が予想される。
※続く
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