12/01/05 11:16:54.95
「シャープがアップルの下請け、体のいい子会社に成り下がるのでは」--。
年末の株式市場にまたゾロそんな観測が浮上している。
シャープ関係者は否定するが、同社を巡ってはこの夏以来、アップルが巨額出資を含めた
関係強化を狙って急接近しているとの情報が飛び交っていた。確かに根拠のない話ではない。
アップルはスマートフォンやタブレット端末に係る知的財産権訴訟で、韓国のサムスン
電子と世界中で泥沼の法廷闘争を展開している。実際、サムスンに対するアップルの
嫌悪感はハンパなレベルではない。
今年の9月2日から8日までの間、ドイツのベルリンで世界最大級の家電見本市『IFA2011』が
開かれた。そのタイミングを見計らったかのようにアップルはサムスンを提訴、現地裁判所が
サムスンに販売差し止めの仮処分を下したことで、世界中の関係者が見つめる中、サムスンは
会場から新型タブレットを撤去させられるという屈辱を味わった。
「サムスンはアップルの重要なサプライヤーでありながら『アップルキラー』と呼ばれる
対抗機種を次々と売り出し、いまやアップルを脅かす存在になっている。これに危機感を
募らせたアップルが、特許侵害などで蹴落としにかかった。ベルリンでの事件は、そんな
背景を踏まえて起きました。そこまで険悪な関係になった以上、アップルはサムスンに代わる
信頼の置けるサプライヤーを、何が何でも必要としている。そこでシャープに白羽の矢が
立った図式です」(業界関係者)
アップルは2012年半ばにも新商品「iTV」を発売すると言われている。詳細は不明だが、
10月に死去したスティーブ・ジョブズ会長が開発に並々ならぬ執念を燃やしたテレビで
「そこにシャープの液晶パネルが使われる」とはやし立てる市場筋さえいる。
「iTVだけではありません。アップルのスマートフォンやiPadのディスプレーも、今後は
シャープから一括調達するとの観測さえある。その場合、シャープの首根っこを押さえ込む
必要があるというのが巨額出資の根拠になっています」(地場証券幹部)
昨年の暮れ、一部報道で「アップルがスマートフォン向け中小型液晶パネル生産のため、
東芝とシャープに1000億円ずつ拠出し、スマホ市場で一気に攻勢をかける」とあった。
当時、アップルによる“植民地シフト”と目を剥いた関係者は少なくなかった。その後、
両社とも沈黙を貫いているが、シャープに限って言えば、今になって水面下の動きが
顕在化しつつあるということだろう。
■“世界の亀山”にアップルマーク
むろん、シャープにもアップルが食指を動かすだけの事情がある。経営の中核に位置づけて
きた液晶パネルはテレビを中心に競争力を失い、このままでは野垂れ死にするのは目に
見えている。そこで片山幹雄社長は、液晶テレビ生産の代名詞だった亀山工場(三重県
亀山市)の生産能力の8割を中小型の携帯端末用に転換、もう一つのテレビ用パネルを
製造していた堺工場(大阪府堺市)の半分を大型テレビ、残りを太陽電池生産に切り替えた。
世間の目には「液晶テレビのシャープの方針大転換」としか映らず、メディア報道も
こちらばかりに注目したが、そのドサクサに紛れるようにして亀山第1工場は、同じ中小型
でもアップルiPhone向けパネルの生産に切り替え、'12年中の稼動を目指している。(※続く)
◎週刊実話
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