21/09/27 02:27:22.17 tMPYrZlD.net
9日の東京市場では急速に円安が進み、円の対ドル相場は1ドル=106円台まで下落した。ところが、日経平均株価の上昇幅は44円にとどまり、
株式相場が円安を歓迎していない様子がうかがえる。円安はグローバルに事業展開している企業の業績を押し上げるが、個人から購買力を奪い、
金融資産を目減りさせる面がある。円相場と株式相場の不協和音をどう抑えるかが、当面の経済政策の焦点になりそうだ。
2012年11月に始まったアベノミクス相場は9日で447営業日を数える。途中では「株式相場の円離れ」など、日本経済の復活を示唆するような
前向きな話が広がったこともあったが、やはり大きく見ると円安が進まなければ株価が上値に進めないのが、これまでの流れだった。
この延長線上ならば今回は日経平均が1万6000円に近づいても不思議ではなかった。東証1部上場企業の時価総額500兆円復活もそろそろ視野に入ってよかった。
ところが、9日の日経平均は伸び悩んだ。グローバル企業の経営実態は円安でも円高でも急に変わるわけではない。しかし日本企業の場合、
業績は円で表示するため、グループ全体の業績を安くなった円で評価すれば、おのずと膨らんで見える。それに呼応して円表示の増益率は高まり、
株価は本来上昇するはずだが、今回はなぜか反応が鈍かった。
別の要因もある。アベノミクス下では円相場は1ドル=79円台から106円台へと大幅に下落したが、エコノミストらの予想に反して輸出数量は増加
しなかった。ある医療機器メーカーのトップは「円安になったからといって、製品の海外生産を増やす流れを変えようとは思わない」と話していた。
エネルギー問題などもあるが、円安になっても貿易赤字は減っていない。円安が実体経済を押し上げるメカニズムは教科書通りには働いていない。