16/02/28 11:57:33.15 YXmzhk07U
日本軍ノ活躍ノ話 一 ニ引キ続キレス番号三（三百四十番）
カラスタートシマス。
3:空中空母
16/02/28 11:59:34.47 YXmzhk07U
不満ヲ押サエルタメカ、大量ニ進級ヲ行イ下士官ニ任命シタ。ソノ結果
伍長、軍曹ガ肥エ汲ヤ土方、オランダ人家族ノオムツ洗イ、一気ニ
下士官ノ権威ヲ失ッタ。士官ダケハ相変ワラズ重労働モセズ、タマニ
労働ニ行ク兵隊ヲ引率スルダケデ、句会、短歌会、囲碁、将棋デ日ヲ
暮ラシ、イツ帰レルノカ目処（メド）モタテラレズ唯々諾々
（イイダクダク）トシテ英軍ノ指示通リニ兵隊ヲ労働ニカリタテタ。
或ル日、英軍キャンプノ肥エ汲ミニツカレタ兵隊ガ休ンデイル所ヘ、
参謀肩章ヲツケタ少佐ガ現レタ。顔モ知ラナイ奴ダッタガ、『集合』
ト号令ヲカケタ。兵隊ハ、『何事カ、「スワ」日本ニカエレルカ』ト
急イデ集合スルト、コノ野郎、全ク目的意識ノ無イ精神訓話ヲ始メタ
『貴様等ガ英軍ノ命令通リ真面目ニ労働ニ従エバソレダケ早ク日本ニ
帰レル。師団長閣下モソウイッテオラレル、終ワリ』ト敬礼サセテ
自己満足シテイル。軍刀ハ英軍ニ取リ上ゲラレテ無イノニ赤イ下ゲ緒
ヲツケ、参謀肩章ヲ「キラキラ」サセテ・・・。後姿ニ兵隊ガ罵声ヲ
浴ビセル。『アノ野郎、血色ノ良イ顔コイテ・・、自分デモ裸デ肥エ
汲ミ コケ・・・』。『何ヲッ』ト大声ヲ上ゲタ少佐ニ
『ワァーワァー』ハヤシタテルト「肩イカラセ」去ッテ行ッタ。
『オイ、アンナ参謀インパール作戦中イタカヤ、通信、知ッテイルカ』
『知ラネーナ、・・・・大方野良猫ダンベー』デ終ワリ。上級将校達ハ
タイ国共産党ガ投入スル民主化運動ノ「ビラ」ニ「怯（オビ）エ」、
反乱ニ「怯（オビ）エ」タカ、規律ヲヤカマシクイイダシ厳罰主義ノ
方針ヲ打チ出シ、営倉ヲ造リ『入レルゾ』ト オドカシタ。然シ
営倉ニ入ッタ方ガ楽ダッタカラ、処罰ノ恐怖ハ大シタモノデナク、
士官ニ聞コエヨガシ（悪口、皮肉ナドヲ当人ニ聞コエルヨウニ言ウ
コト）ニ『帰リノ海ニフタハネエゾ』トワメク奴マデ出ル。事実ソノ
気ニナレバ、殺シニナレタ連中ダカラ一人ヤ二人証拠ナシニ殺ス事ハ
タヤスイ状況ニアッタ。
労役ノ指揮者デ一人ノ大尉ガイタ。コノ大尉ハ困難ナ英軍トノ交渉ニ
進ンデ当タリ兵隊ヲ敬服サセ、秩序ヲ維持シタ。コノ大尉ノ功績ハ
大キカッタト思ウ。コノ人ハ学校出ノ予備役ダッタソウダ。・・・・
4:空中空母
16/03/02 06:06:00.52 cXqXu6l7P
★一 デ六百四十一
英軍トノ交渉ニ進ンデ当タリ兵隊ヲ敬服サセ、秩序ヲ維持シタ。コノ
大尉ノ功績ハ大キカッタト思ウ。コノ人ハ学校出ノ予備役ダッタソウダ
士官ニモ色々ナ奴ガイテ、兵隊ト距離ヲオイテ特権ヲ維持シヨウトス
ル奴、兵隊ニ迎合スル奴、権威モクソモアルカト兵隊ガ手ニ入レタ
食糧ノ提供ヲウケテスマシテイル奴、モットヒドイ奴ハ、仲間ノ事ヲ
英軍ニ密告スル奴マデ出テ、私の同年兵で本部勤務の少尉ニ
『取リ消セ』ト詰メ寄ラレル下ラナイ士官マデイタ。
コンナ連中ガ戦後ノ日本デドノ位役ニ立ッタカ知ルヨシモナイガ、
戦記ノ発行ニ、遺骨収集ニ、慰霊祭等ニ一番年次ノ浅イ、最後ノ
連隊旗手デアッタ私ノ同年兵、少尉デアッタ某氏デアル。又元士官デ
アッタ奴ノ一部ハ、『俺ハ偉イ人ナンダ』トバカリニ、戦友会ナド
デハ、『当然』トバカリノ顔コイテ上座（カミザ）ニ座リ、当時ノ
兵隊デ社会的地位ノ高イ人ニ向カイ、何々ト呼ビ捨テル通称馬鹿ヲ見
カケル。
＜インド兵＞インド兵ハ敵側ニモイタシ、味方ニモイタ。敵側ノ
インド兵ハ英軍キャンプノ一角ニイテ、作業ノ監督ナドモシテ
イタ。彼等ノ兵舎ニ遊ビニ行クト、独特ノカレーライスヲ振ル舞イ
『日本ガ再ビ白人ト戦ウ時ハ、我等モ銃を取リ、白人ヲアジアカラ
追放スルデアロウ』ト勇マシイ演説ヲブツ兵隊モイタ。彼等ハ
兵隊将校ノ区別ナク寛容デ、日本兵ガ少シ位悪事ヲ働イテモ
『イケマセン』位デスマシタ。日本軍ノ中ニハコノ寛容サト、日本軍
ニ対スル信頼ヲ悪用シ、組ミシヤスイトナルト増長スル「クセ」ヲ
出シ泥棒スル奴モ出テ、信頼ヲ失ッテ行ッタ。労役ノ帰リニ、英軍
ノトラック運転手ガインド兵ト見レバ手ヲ上ゲル。彼等ハタイテイ
マワリ道シテモ送ッテクレタ。然シ、日本軍ノ英軍ニ対スル態度ガ
卑屈ノタメ、信頼ヲ失ッテシマッタ。同ジインド兵デモ日本ニ味方
シタインド国民軍ハ、我々ト同ジ捕虜デアッタ。同ジ捕虜デモ
日本軍トチガッテ彼等ハレジスタンス精神旺盛デ、日本軍ガヤラサ
レテイタ糞尿汲ミ取リナド不名誉ナ仕事ハ断ジテ拒否シテイタ。
5:空中空母
16/03/05 06:29:53.34 2ij0SImsA
日本軍トチガッテ彼等ハレジスタンス精神旺盛デ、日本軍ガヤラサ
レテイタ糞尿汲ミ取リナド不名誉ナ仕事ハ断ジテ拒否シテイタ。
国民軍ノ士官ハドンナニナグラレヨウガ、蹴ラレヨウガ『士官ハ
働カナイ、国際法ニ明示シテイル』ト絶対ニ働カナカッタ。ソシテ
日本軍士官ニ云ッタ。『君達ハ奴隷カ、サムライデハナイノカ』
ト、ソシテ勝者ノゴ機嫌取リニ「キューキュー」トシ、唯々諾々ト
英軍ノ命令ニ従ッテイタ日本軍ヲ冷笑シテイタ。コノ精神ガ
今日（コンニチ）ノインドヲ築キ上ゲタノデハナイダロウカ。
＜日本兵ノ戦犯＞
《某軍曹》高崎市出身、私『筆者・反町』ト同村同年兵 刑・重労働
一年、チャンギ監獄（シンガポール・日本人小学校チャンギ校ノ近
ク） 理由トスル犯罪行為 大隊ノ命令受領者トシテ連帯命令ヲ
大隊長ニツタエタ罪。
《某兵長》後方勤務者四年兵 刑・重労働二年ビルマ（現・ミャンマ
ー）刑務所ラングーン、理由トスル犯罪行為 捕虜ニ山牛蒡（ヤマ
ゴボウ）ヲ食ワセタラ、木ノ根ヲ食ワセ捕虜ガ体ヲコワシタト
イワレタ。チナミニ現在（千九百八十年・昭和五十五年頃）アメリ
カデハゴボウガ美容食トシテ「モテモテ」デアル。
《某上等兵》兵站勤務五年兵 刑・重労働一年 犯罪行為 捕虜ニ
黒イ紙ヲ食ワセタ。コノ伍長ハ情ガ深ク内地カラ送ラレタ焼キノリ
ヲ捕虜ニ食ベサセタ。
《某伍長》後方勤務者五年兵 刑・重労働一年 犯罪行為 捕虜ニ毒
ヲタベサセタ。コノ伍長モ捕虜ヲ気ノ毒ニ思イ内地カラ送ラレタ
貴重品「梅干」ヲ食ベサセタ。
《某伍長》刑・強姦罪 犯罪行為 ビルマ人ニ求メラレセックスシタ
刑・重労働一年。
《某兵長》刑・強姦罪⇒無罪 コノ兵長ハ終戦ノ後オランダ人ノ娘サ
ント「セックス」テイル現場ヲ「エムピー」ニ捕ラエラレタガ相手
ガ「恋愛」ダト主張シタタメ、軍事裁判デ無罪
《二一五連隊第三大隊長市川少佐》絞首刑 犯罪行為 住民ヲ・・・
6:空中空母
16/03/08 17:25:36.65 kOcoCu6Qi
《某兵長》刑・強姦罪⇒無罪 コノ兵長ハ終戦ノ後オランダ人ノ娘サン
ト「セックス」テイル現場ヲ「エムピー」ニ捕ラエラレタガ相手ガ
「恋愛」ダト主張シタタメ、軍事裁判デ無罪
《二一五連隊第三大隊長市川少佐》絞首刑 犯罪行為 住民ヲ殺シタ罪
デ絞首刑
《二一五連隊中隊長三人》ガ銃殺刑ソノ他大勢ガ禁固十数年インパール
デ戦ッタ第一線部隊デ戦犯ヲ出シタノハ私ノ所属シタ二一五連隊ダケ
ダッタ。コンナ口実デ戦犯トシテ処刑シタノニ、広島・長崎ニ原爆ヲ
落トシタアメリカ人ノ犯罪ハドウナッテイルンダロウ。又、前線デ
一ツ シカモタナイ兵隊ノカンパンヲナグリトバシテ取リ上ゲタ将校
前線ニ食糧ヲ送ラズニ兵隊ヲ餓死サセタ軍司令官、病人ヲ注射デ殺
ロシタ病院関係者マダ息ノアル負傷者ヲ谷間ニ放リ込ンデ殺ロシタ
衛生隊、前線部隊ヲ乞食ト呼ンデメシヲクレナカッタ後方参謀ヤ
兵站部隊、自分ガ助カリタイバカリニ味方ヲ敵軍ニ売ッタ将校等々、
コンナ連中ハドウナンダロウ。 国際法ニコンナ意味ノコトガ書イテ
アル。『戦争ハ国家ノ行為デアリ、国ヲ裁クガ個人ヲ裁クモノデハナ
イ。』一般ニ戦争犯罪人トイエバ、サゾ凶悪ナ行為ヲシタト思ワレテ
イルガ、軍人ガ戦争デ人殺シヲスルノハ当タリ前ノコト、特別ニ悪事
ヲ働イタトハ思ワナイガドウダロウ。
＜生キ残リハ証言スル＞
（一）俺ハインパール撤退ノ事ハ一生忘レナイヨ。雨、雨、雨、補給ハ
ナク、マラリヤ、アメーバー赤痢、退却路ニハフクランダ死体、
半分白骨化シタ死体ガ「ゴロゴロ」『俺ハ死ナナイゾト極限状況ノ
中カラ「ヤット」生キテキタ事ヲ・・・・白骨街道ノ事ヲ・・・・』
（二）俺ハ「サガイン」兵站病院ノ事ヲ忘レナイヨ。負傷シタ足ヲヒキ
ズリ、尺取虫ミタイニ入院シタラ、ロクロクメシモクレズ、毎日
戦死戦病死ノ屍体ノ始末、一日平均二十カラ三十 大キナ穴ヲ掘ッテ
埋メタ。穴ガ一杯ニナルト又次ノ穴ヲ掘ッタヨ。苦情ヲイウト、
『メシヲクレネエゼ』ト衛生兵ガコキヤガッタ。『病院勤務者ニ対スル
ウラミツラミハ今デモ消エナイヨ・・・。』・・・・・・・・・・
7:空中空母
16/03/11 05:52:56.96 F5EJOZqrP
苦情ヲイウト、『メシヲクレネエゼ』ト衛生兵ガコキヤガッタ。
『病院勤務者ニ対スルウラミツラミハ今デモ消エナイヨ・・・。』
（三）『オレハ パレル カラ撤退途中、飢餓ノタメ、疲レ果テテ体力
ガ衰エ、路傍ニ倒レル者続出シタガ、救ウスベモナク、自分一人ノ身
ヲ運ブノガヤットダッタ。ドーニカ モーレ野戦病院ニ到達シタガ、
ジャングル内ノ病院ニハ夥（オビタダ）シイ患者ガ悲惨ナ姿デ置キ去
ラレ、勤務者ノ姿ハナカッタ。アノ人達ハドウナッタロウ。』
（四）『俺モソノ方面ダッタガ、テイロン河ノ谷ガ日本軍トインド
独立国民軍ノ死体デ埋マッテイタ。ソシテ河ノ流レニ数エラレナイ程
友軍ノ死体ガ流レテイタヨ。ヒドカッタナ・・・』
（五）『俺ハ塩ノ大切サヲ今デモ忘レナイヨ。米ハ一粒モナクナリ、塩
モマッチ箱一ツグライシカナクナッタ。コノ塩ヲ箸ノ先ニツケテナメ
ジャングル野菜トイッタ春菊ニ似タ草ヲ生デ食ッタッケ、塩不足デ
足ハムクム、視力ハ落チル、魚ヲ取ッテ食ッタガ塩気ナシデトテモ
食エナカッタ。コノ頃年ノセイカ、高血圧デ塩分取リ過ギト医者ニ
注意サレルガ、当時ノ事ガ頭ニアリ、塩ヲ多ク取ッテイルヨ。』
（六）『俺ハヨ、インパール攻撃ニ友軍機ガ来ルト通信隊ニ聞イタカラ
「ヤレヤレ」少シハ楽ニナルト思ッテイタラ、物凄イ対空砲火デ二機
撃墜サレテシマッタ。ワズカ 二分位ノ出来事ダッタ。他ハ一目散
ニ逃ゲテシマッタノデ、「何ダ、馬鹿見テエナモンダ。何ガハヤブサ
ダ」偉イ人ハ、ウソバカリイウト思ッタナ 』注・友軍機ガ爆撃ニ
来ルゾト伝達シ、士気ヲ上ゲル役ハ私ノ所属シタ通信隊ガヤッタ記憶
ガアル。ソシテ砲兵ニ『通信、飛行機ヲ「ドンドン」ヨコセトデンワ
カケロ電報ウテ』トヤラレタ事ヲ覚エテイル。
（七）『俺ハ ガランジャール（インド語）戦闘ノ時、コチラハ食ウ物
モナク、弾ノ補給モナク壕ノ中ニウズクマッテイタ時、敵サン 陣地
ニ寝ソベリ、タバコヲ「パカパカ」シャクニサワリ重機デ猛射ヲ浴ビ
セタラ、重戦車ガ出テキテ重機関銃ヲ吹キ飛バサレ、四人即死俺レモ
負傷、コノ時敵サン日本語デ「蛍ノ光」ノ曲ヲ流シテクレタヨ。
敵サン余裕ガアッタナ・・・・』・・・・・・
8:空中空母
16/03/14 07:49:33.54 QGaTkB+Km
重機関銃ヲ吹キ飛バサレ、四人即死俺レモ負傷、コノ時敵サン日本語デ
「蛍ノ光」ノ曲ヲ流シテクレタヨ。敵サン余裕ガアッタナ・・・・』
（八）『俺ハ第三大隊長末木栄少佐ガ「俺サエ生キテイナケレバコンナ
過酷ナ命令ハ出ナイダロウ」ト三コブ高地攻撃ノ時一人抜刀シ、敵陣
ニ突入シテ戦死シタコトヲ忘レナイヨ。』
（九）『俺モ伊藤大尉ガ一人自決スル如ク軍刀ヲフリカザシ、鉄条網ヲ
ノリ越エ敵陣ニ突入シタ事ヲ忘レナイヨ。上官ハ無情トイウカ、
非人情トイウカ平気デ人ヲ殺シタンダナ・・・・メシモクレズニヨ。』
（十）『俺ハナー ドコノ戦闘ダカ覚エテイナイガ、敵サンヲ追イ詰メ
捕ラエタラ二十二・三才位ノ白人兵ダッタ。負傷シテイルノデ治療
シテヤリ、「イタイカ」トキイテモ「イタクナイ、殺セ」トワメイテ
イタガ、モウ駄目ダト思イ、言イ残スコトナイカト聞クト
「オ母サン」トイッテ息タエタ。血ダラケデヨ・・・ソシテ彼ノ
ポケットカラ母親ラシキ人ノ写真ガデテキタヨ。俺ガヤッタンダガ、
殺ロスカ、殺ロサレルカダカラ仕方ガナカッタガ、今デモ彼ノ顔ガ
ウカブヨ。』
（十一）『俺ハナ・・・ガランジャール付近ダッタト思ウガ、白人ノ
負傷兵ガ岩陰ニ二十数名ヒソンデイタノヲ見ツケ、自動小銃ヲ向ケ
タラ皆ンナ手ヲオゲタ。一人将校ダケガ胸ヲタタキ、ヤレトイウ
動作ヲ示シタ。反射的ニ射殺シテシマッタガ少佐ダッタカナ・・・
嫌ナ思イ出ダヨ。』
（十ニ）『俺ノ分隊ガナー、グルカ兵ヲ数名追イ詰メタラ逃ゲラレナ
イト覚悟シタカ全員首ヲカッ切リ自殺シタッケ、勇猛ダッタグルカ
兵ハ名誉ヲ重ンジ捕虜ニナルヨリハ死ヲ選ランダンゾナ・・・・殺
シ馴レテイタ猛者モ青クナッタッケ・・・・。』
※グルカ兵 ネパール傭兵ノコトデ、ネパールノ山岳民族カラスカウ
トサレタ兵士。ヒマラヤ登山ノシェルパニモネパール傭兵ノ経験者
ガイル。
（十三）俺ハ偉イ（エライ）将校サンノ事忘レナイヨ。俺ガ兵隊数名
ツレテ 第三ストックケード（インド国ニ近イビルマノ山）マデ・
9:空中空母
16/03/17 06:42:46.58 ezeQZMtXZ
（十三）俺ハ偉イ（エライ）将校サンノ事忘レナイヨ。俺ガ兵隊数名ツ
レテ 第三ストックケード（インド国ニ近イビルマノ山）マデ退（サ
ガ）ッテキタラナ、今時コンナ立派ナ服装ノ奴ガイルノカト思ウヨウ
ナ中尉ガ（英軍カラ分捕ッタラシイ）ジープニノッテキテ、『ココヘ
抵抗線ヲハレ、小官ガ指揮ヲトル』トコキヤガッタ。敵機械化部隊ガ
スグ後ニ迫リ、敵ガ先廻リシテイルトキダ。「コンナ馬鹿ノ命令聞ク
コトネエ」ト思ッタガ、奴ノ敵カラ分捕ッタ「ジープ」ニ目ヲツケ
タ。『ヘイヘイ』トバカリニ散開シテイタラ、迫撃砲ガ「ガンガン」
キタ。ソシタラ将校サン、アノ急坂ヲ転ガルヨウニシテ逃ゲテ
行ッタ。「ジープ」モ荷物モソノママ、荷物ハ食糧、軍票（オ金）マ
デアリ、「ジープ」モイタダキ、幸イ運転出来ル奴ガイタカラ
「シィーン（作戦出撃本部所在地）」マデ一気ニ撤退、全員助カッタ。
思エバ偉イ（エライ）中尉サンダッタ。厚ク御礼申シ上ゲルト
書イテクレ。・・・元歩兵軍曹ノ話
（十四）『俺ハ負傷シ曙（アケボノ・ムーンタイク）マデ退（サガ）ッ
テキタラ、参謀ガイテ「コラ、インパールハ反対方向ダ、廻レ右」
トコキヤガッタ。ヤット、歩イテ病院ニ向カッテイル俺ニダヨ。飢餓
ニサラシテオキヤガッテナ・・・・ナニヲコク ト病院ニ向カッテ
イタラ、今度ハ馬ニノッタ赤ラ顔、デップリ肥ッタ将官ガ「コラ
停止敬礼センカ」トコキヤガッタ。「誰カ」ト思ッタラ
牟田口軍司令官ダッタソウダ。＜後デ聞イタガ・・・＞ カモウモノ
カト病院ニ行ッテシマッタガ、メシモクレズ、治療モシテクレナカ
ッタヨ。アイツラ兵隊ヲ消耗品扱イシヤガッタクセニ、権威ダケハ
守ロウトシテイタ。』
（十五）『曙トイエバナー俺ハ軍司令部勤務ダッタカラソコニイタガ、
君等ガ敗走ヲ続ケテイタトキ、軍司令部ニハ天照大神（アマテラスオ
オミカミ）ガ祭ラレ毎朝早クカラ狂気ジミタ軍司令官ノ声デ目ヲサマ
シタヨ。神様、天佑神助（テンユウシンジョ・天ノ助ケ神様ノ助ケ）
大和魂、コレガ国ヲアヤマッタナ・・・ソレニナー牟田口中将ハ一見
豪気ニ見エタガ猜疑偏狭ナ性格ノ男ダッタ』 ＜武器ヨサラバ＞・・
10:空中空母
16/03/20 05:57:53.22 x6HcA7KYd
大和魂、コレガ国ヲアヤマッタナ・・・ソレニナー牟田口中将ハ一見
豪気ニ見エタガ猜疑偏狭ナ性格ノ男ダッタ』
＜武器ヨサラバ＞昭和二十一年五月一日第一回復活メーデーノ日、ツイ
ニ祖国ニ帰リツイタ。ボロボロノ服シラミダラケ、丸腰、目バカリ光
ル乞食姿、歓呼ノ声ニ送ラレテ出征シタトキトハアマリニモ
対象的ダ。港デ「ディーディーティー」ヲ頭カラブッカケラレ、
三百円支給サレ「ドコヘデモ勝手ニ行ケ」ト街ニ放リ出サレタ。
メチャメチャニ破壊サレタ街ヲアメリカ兵ニブラサガッタ女達ガ歩イ
テイル。トニカク祖国ノ土ヲ踏ンダンダ。モウ戦場デハナイト思ッタ
瞬間胸ガ一杯ニナル。モウ人殺シヲヤラナクトモヨイ、殺サレル心配
モナイ。ホントウニ生キテキタンダ。サア親兄弟ノ待ツ我ガ家ヘト心
ガ急グ。目ニウツル街ハ全クノ焼野原デ街ガ一変シテイル。俺ノ家モ
ヤラレタカナートイヤナ予感ガシタ。コノ予感ガ当タリ我ガ家モ焼野
原ニナッテイタガ・・・・貨車ノドアカラ見覚エノアル建物ガ見エテ
キタ。アッ・・・・俺ノ機関区ダ、新鶴見機関区ダ、思ワズ大声ヲ
アゲタ。「ヨカッタ、ヨカッタ」日本ハ滅ビタガ、俺ノ職場ハ残ッテ
イタンダ。涙ガデテクル。汽車ガ徐行シテ一時停止スル。『オーイ、
帰ッテキタゾ』ト手ヲ振ルト、機関区ノ青イナッパ服ガ一斉ニ手ヲ振
ッテ答エテクレタ。感激ノアマリ大声ヲ上ゲテ泣イテシマウ。
同行者ガ一人二人途中下車シ、私モ高崎デ降リタ。モウ夜中ノ一時
近カッタロウ。リックサック一ツノ着ノミ着ノママ乞食姿、シラミ
カキカキ我ガ家ノ方向ヲタドル。コノ方向ト思ウガ、アマリニモ変ワ
リハテ我ガ家ガ見ツカラナイ。目通リ（メドオリ・立木ノ目ノ高サノ
直径）ニ木モアッタ欅（ケヤキ）ヲ目標ニ探スガ焼野原デワカラ
ナイ。確カニコノ辺ト思ウガ家ハナイ。ココト思ウ一軒ノ掘立小屋ノ
戸ヲタタクト、『オッカー野郎ノ声ダゼ、マタ今夜モキタ、死ニ切レ
ナインダ、「ナンマミダー、ナンマミダー・・・・」』親父ノ声ダ。
『オ父チャン、今夜ハ馬鹿ニハッキリシテイル。化ケテキタンダ。
「ナンマミダー、ナンマミダー」』 『オ母サン、俺ダ、帰ッテキタン
ダヨ』大声ヲ上ゲタ。『オ父チャン野郎ダ、ケェッテキタンダ』・・
11:空中空母
16/03/23 07:06:48.19 nLC/iqXp0
「ナンマミダー、ナンマミダー」』 『オ母サン、俺ダ、帰ッテキタン
ダヨ』大声ヲ上ゲタ。『オ父チャン野郎ダ、ケェッテキタンダ』
『馬鹿イウナ、化ケテキタンダ。幽霊ダヨ・・・・』私ガ、
「カタカタ」ト戸ヲ叩ク。『ホーレ鉄夫ダ。帰ッテキタンダ、幽霊ジャ
ネエ・・・・』ト母親ガ飛ビ出シテダキシメル。何事カト近所ノ人ガ
起キ出シ騒ギガ大キクナル。スグ近クノ同年兵某ノ父親ガ飛ンデキテ
『俺ガ野郎ハドウシタ、生キテイルカノ・・・・』ト私ニムシャブリツ
イタ。『生キテイル、スグ帰ル』ト言ッタガ戦犯デ捕エラレテイルノ
ヲ知ッテイルカラ「ナマラ」返事ヲシテイタ。母親ガ『上ガレ、
上ガレ』トイイナガラ空襲デヤラレコノザマダ、申シ訳ナイト泣キ
伏ス。今ハ、四十坪総二階ノ家ガアトカタモナク、三坪ノ掘立小屋デ
ハ上ガルトコロモナイト思ッタガ『オ母サン心配スルナ、俺ガ帰ッテ
キタカラニハ家ナドスグ造ッテヤル』トナグサメタ。『家（ウチ）ヘ
上ガレ、上ガレ』トセキタテラレルノデ、全身シラミダラケダカラ
素ッ裸ニナッテ座ッタ。翌日近所の人達が『鉄夫サンハ可愛ソウニ狂
ッテイル』ト話シテイルノヲ聞イテ苦笑シタ。一部ノ人達ハホントウ
ニ狂ッテイルト思ッタラシク遠ザカッテイタ。確カニスゴイ目付キヲ
シテイタノデ狂人ニ見エタロウ。当時ハ電話ハナカッタガ、田舎ノ事
ナノデ情報ガ早ク、私ガインパールカラ帰ッタト聞キ、各地カラ続々
トツメカケル。『俺ガ野郎ハドウシタ』『アタシノ夫ハドウシタデ
ショウ』ト問イタダサレルガ餓死シタトモ言エズ、『立派ナ最後デ
シタ』ト答エルノミ。中ニハ自分ノ子供ガ帰ラナイノデ、生還シタ私
ガ悪イヨウニ『何デオ前サンダケ生キテイル』トイウ人、又、『オ前
サンハ逃ゲ隠レシテバカリイテ、死ンダ自分ノ子供ハ勇敢ニ戦ッタン
ダ、キットソレニ相違ナイ』ト、ドズク奴マデイタ。私ハ特別勇敢
ダッタ訳デハナイガ、逃ゲ隠レシタ事モナカッタガ「ジィッ」ト我慢
シタ。帰還シテ三日モタツト、又マラリヤガ出ル。「アラカン」ノ
マラリヤダカラ悪質デ毎日決マッタ時間ニ四十度モ熱ガ出テ、「ブル
ブル」フルエ、フトンヲカブッテイルト、父母ガ『死ンジモウ、
死ンジモウ』ト大騒ギスル。 私ガ『大丈夫、大丈夫』トイッテモ・
12:空中空母
16/03/26 05:44:26.59 q9kmnXrWq
「ブルブル」フルエ、フトンヲカブッテイルト、父母ガ『死ンジモウ、
死ンジモウ』ト大騒ギスル。 私ガ『大丈夫、大丈夫』トイッテモ
信用シナイ。ドウニモ我慢ナラナイ時ダケ、一緒ニ帰ッタ軍医サンガ
一キロ足ラズノ所ニイタカラ往診ヲ頼ムガ、彼モ同ジ時間ニ熱ヲ出シ
フルエガ止マッタ頃キテクレタ。街ヘ行ッテ見ヨウトシテモ着ル物ガ
ナイノデ困ッテイルト、母親ガ芋（イモ）トシャツヲ交換シテキテ
曰ク『市役所デ復員者ニ衣服ヲクレルラシイカラ行ッテミヨウ』ト私
ヲ連レテ行ッタ。証明書ヲ見タ役人ガイッタ。『タイ国デ支給サレテ
イルカラ駄目ダ、支給出来マセン』トヌカシタ。タイ国デ上船時支給
サレタノハボロズボンダケダッタカラ、ソノ事ヲ話シオ願イシタガ駄
目ダト、野良犬デモ追ッ払ウヨウニアツカッテクレタ。兵隊気分ソノ
ママダカラ、『何ヲコノヤロウ、ソコニ山ト積ンデアルジャネエカ、
ヨコセ』トガナリナガラ、シャツトズボンヲ持チ出シ、靴ニ手ヲ
カケタラ、ソバニイタ警官ガ『コラシバルゾ』トコキヤガッタカラ、
『何ヲヤッテミロ』ト言ウヨリ手ノ方、イヤイヤ足デケアゲル方ガ
早カッタ。老人ノ警官ハ「ブルブル」フルエテイルカラ
『インパールカラ帰ッタバカリダ、ブッ殺ロスゾ』トガナリ立テタ。
ソシテイッタ、『俺ノ戦友ハ皆ンナ死ンダンダ俺モイツ 死ンデモ
ヨイ、銃殺ニデモナンデモコケ』ト座リコンダ。騒ギガ大キクナッテ
主事ガ出テキテ、『支給シマスカラ、オトナシクシテ下サイ』デ
治ッタ。帰リニ警官ニ向カイ、『又サッキ見テエナ事ヌカシテ見ロ、
タタキ殺スゾ』トドナリ散ラシタ。コレガ第一回ノ暴力行為、事後
数回暴力事件ヲ起コシ警察ノ御世話ニナッタ。兵隊前ハオトナシク、
泣カサレテバカリイタ私ガ、戦争ヲ経験シ、性格ガ一変、少シノ事ニ
モ腹ヲタテ、スグニ棒カ刃物ヲ手ニスル人間ニ変ッテイタ。又兵隊前
ハ ナニ事モ人ノ後カラツイテ行ッタ性格ガ コレモ復員後一変、何
デモ人ノ先ニタチ、国鉄労組ヲ振リ出シニ、人生街道左側ヲ一直線
終ニハ金属労組ノ天皇トカ、高崎ノ狂犬トカイワレ、ドコヘモ就職
出来ズ、ツテヲ求メ就職シテモスグ解雇、仕方ナクフリーノコンサル
タントニナッタリ、遂ニハ自分デ建築業ヲヤルハメニナッタ。・・・
13:空中空母
16/03/29 06:21:20.45 bm+WbGFg3
ツテ ヲ求メ就職シテモスグ解雇、仕方ナクフリーノコンサルタントニ
ナッタリ、遂ニハ自分デ建築業ヲヤルハメニナッタ。モシ戦争ガナカ
ッタラ平凡ナ鉄道員トシテ、ツツガナク定年ヲ迎エ、孫ノ子守カ魚釣
リデモシテノンビリ暮ラシテイタロウニ、戦争トハ人生ヲ狂ワセル
巨大ナ麻薬デアッタノカ。極限ヲ生キ抜イテキタ男ガ最近懸念シテ
イル事ガアル。昔ノ中国ノ事ダガ、平和ニ暮ラシテイル農民ヲ遊牧民
ガヨク攻撃シタ。食糧ガ不足シテイルカラト思ワレタガ、コレハ逆
デ、食糧ガナイ時ハ、攻撃スルドコロカ動ケナイ。遊牧民ハ食糧ガ
充分アルト農民ヲ攻撃シタ。我々モインパールデ同ジコトダッタ。
充分食糧ガアッタ時ハ「ドンドン」敵ヲ攻撃シタガ、腹「ペコ」ノ時
ハ、イクラ士官ニ「ヤレ、ヤレ」トイワレテモ動カナカッタ。今ノ
日本ハウマイ物ヲ食イ、元気一杯、攻撃ニ移ロウトイウ指導者ガ出テ
モ不思議デハナイヨウナ気ガスル。
＜アトガキ＞第二次世界大戦大戦ノ末期、最モ悲惨トイワレタ
インパール戦争ニ参加シ、負傷、マラリヤ等ノアラユル悪条件ニタエ
奇跡的ニ生還シタワズカ三年三ケ月ノ軍隊生活ダッタガ、一番新参者
トシテ第一線ノ通信兵トシテ、小銃隊ノ代ワリトシテ酷使サレ、今考エ
レバヨク生キテイタト思ウ。ソノ私ガ、昭和四十五年八月、ツタナイ
筆ノインパール物語ヲ出版以来、手記ヲ書キ続ケタガ、遂ニ時間ヲ費
ヤシ、又諸般ノ事情カラ出版スル事モ出来ナカッタ。今回戦友
小林、吉永、友人土田氏等々ノ御協力ニヨリ出版ノ運ビニナリ
マシタ。本書ハ私ノ体験ヲ中心トシタ一断面デアリマス。多クノ方々
ノ御批判ヲイタダキタク存ジマス。ソシテ忘却ノカナタニ去ロウトシ
テイル戦争ガ、若人ノ話題ニナレバ幸イデス。尚 期日戦死者ノ場所
等ハ私ノ記憶カラ資料ヲ調ベタモノデアリマス。モシ期日、場所等ヲ
正確ニ記憶、記録シテイル人ガイルトスレバ、ソノ人ハ戦闘ニ関係無
イ人々ト断言シマス。戦闘ニ関係シタ者ハ全員狂ッテイタガ、
コレガ正常人デアリ、正常ノ者ガ狂ッテイタカラデス。
＜著者反町鉄男＞ 大正十一年（千九百二十二年）高崎市ニ生マレル
電機学校、東京電機高等工学校（現東京電機大学）卒業・・・・・
14:空中空母
16/04/01 06:38:06.34 BtTbBdpE4
＜著者反町鉄男＞ 大正十一年（千九百二十二年）高崎市ニ生マレル
電機学校、東京電機高等工学校（現東京電機大学）卒業
昭和十八年四月三三師団二一五連隊要員トシテインパール作戦、
イラワジ河会戦ニ参加
昭和二十一年五月復員
・・・・・・☆☆☆・・・・・・ ☆☆☆・・・・・・☆☆☆・・・・
«義烈空挺隊»
棟田博 著 明治四十二年（千九百九年）～
昭和六十三年（千九百八十八年）
岡山歩兵第十連隊 伍長勤務上等兵 著作 拝啓カアチャン様
拝啓天皇陛下様 他多数
直木賞候補作家
硫黄島守備隊ノ全滅ノ日ガチカヅイテイタ三月初旬神兵皇隊（スメラギ
タイ）ニ対シテ、アラタナ緊急作戦命令ガ航空総軍カラクダサレタ。
作戦命令要旨 一、攻撃目標硫黄島飛行場 二、決行希望
日時三月（昭和二十年）十九日、二十日 三、終結日時地点三月
十二日西筑波 四、準備期間西筑波終結後一週間 五、連合訓練三日
間（十三日～十五日マデ） 六、爾後、神兵皇隊（スメラギタイ）ヲ
義烈空挺隊ト呼称スル。
※神兵皇（スメラギ）隊トハ空ノ神兵落下傘部隊ノ中ノ、挺進第一連隊
第四中隊中隊長奥山道郎大尉（陸士五十三期生）以下全員ガ爆薬ノ取
リ扱イニ習熟スル工兵科出身ノ部隊デアッタ。
訓練ハ航空士官学校ノ校庭ニ整備サレテアル ビー二十九ノ実物大模
型デ行ワレタ。ビー二十九ハ全幅四十二、九七メートル全長三十、一
七メートル重量は三十三、五二五トンノ巨大ナ姿ヲシテイタ。
訓練ハコノビー二十九ニ対シ、イカニ迅速ニ吸着爆薬ト、帯状爆薬ヲ
的確ニ、シカケルカニアッタ。吸着爆薬ハビー二十九ノ重要ナ部分ヘ
「ピッタリ」ト密着サセルモノデ、帯状爆薬ハ文字通リ帯ノヨウニ
細長クナッテイテ、「サッ」ト投ゲテ、ビー二十九ノ胴体ヘマキツケ
ルモノデアル。火薬ハ黄色火薬ヨリサラニ強力ナ性能ヲ持チ、・・・
15:空中空母
16/04/04 07:12:24.86 PzbD03Dt6
「サッ」ト投ゲテ、ビー二十九ノ胴体ヘマキツケルモノデアル。火薬ハ
黄色火薬ヨリサラニ強力ナ性能ヲ持チ、爆発スレバイカニ巨大ナ
ビー二十九トイエドモ一瞬ニ粉砕シテシマウモノデアッタ。輸送機ノ
隊長ハ第三独立飛行戦隊（独立・・実戦部隊）ノ諏訪部忠一大尉、
搭乗員ハ操縦士二十四名航法四名通信三名ノ計三十一名 奥山隊ハ
隊長以下百二十名兵ハ全員下士官ニ進級。
昭和二十年三月十七日硫黄島守備隊玉砕、決行時刻ハ十九日、二十日デ
アッタ。「フッ」ト暗イ影ガ隊員ノ胸ヲカスメタ。
シカシ、ムリニ気ヲトリナオシタ。守備隊ノ玉砕ノイカンヲ問ワズ
ビー二十九ソノ他ヲ爆砕スルコトハ帝都ノ空ヲ守ルコトデハナイカ。
ダガ出撃予定日ニ下達（カタツ）サレタノハ、『義烈ハ現在地ニ待機
シテ後命ヲ待テ』トイウイツモノミジカイツメタイ、トオリイッペン
ノ命令デアッタ。『アアマタカ！』⇒⇒
※昭和十九年十二月二十三日神兵皇（スメラギ）隊（義烈挺身隊ノ前ノ
名前・ビー二十九サイパン基地廃滅ヲ目的トスル特攻挺身隊）ニ対シ
硫黄島ニ対スル敵ノ砲爆撃ガ熾烈ニナッテ硫黄島ノ飛行場ガ使用デキ
ナクナリ、「後命アルマデ待機セヨ」ノ命令ガ出タ。
九七重爆ハ、硫黄島デ給油ヲ受ケナイカギリサイパン島ニハ飛ベ
ナイ。
⇒⇒ソシテ焦燥ノ日々ヲ「待機」ノ名
デ「サンザン」マタセタアゲクガ、マタモ『作戦中止』トクルニチガ
イナイノダ。筑波山麓ノ桜ノツボミガ膨ランダ。シカシコノ時期、
イヨイヨ苛烈深刻ニ転移シテイルノダッタ。＜天号作戦＞ガ発令サレ
タノハ、ソノ翌日デアッタ。⇒⇒
※天号作戦 昭和二十年三月二十日大本営ニヨリ下令サレタ作戦
《航空作戦 一、沖縄方面 二、台湾方面 三、南支方面 四、仏印・
海南島方面》
⇒⇒ソシテ、案ノ定 義烈空挺隊ニ対シテ硫黄島挺進作戦中止ノ命令ガ
キタ。『マタモ九州川南（カワミナミ）ノ古巣ヘ帰ラナクテハナラナ
クナッタ。マタゾロ、生キ恥ヲサラシテ、オメオメ トナンデ・・』
16:空中空母
16/04/07 06:45:08.54 M12gpESu6
⇒⇒ソシテ、案ノ定 義烈空挺隊ニ対シテ硫黄島挺進作戦中止ノ
命令ガキタ。『マタモ九州川南（カワミナミ）ノ古巣ヘ帰ラナク
テハナラナクナッタ。マタゾロ、生キ恥ヲサラシテ、オメオメト ナ
ンデカエレヨウカ。シカシワレワレハジャマ者ノゴトク追ッタテラレ
タ。九州ヘ向カウ足ガ重イ。イヤ、モット心ハ重イ。ヤリ場ノナイ
怒リト悲シミガ五体ニウズマクノダ・・・』
※九州川南駐屯地 宮崎県児湯（コユ）郡川南町（カワミナミチョウ）
和田伍朗元義烈空挺隊曹長・・・沖縄北飛行場ニ胴体着陸シタノハ六機
＜中＞飛行場ニハ二機ガ着陸シタ。四機ハ方向ヲ誤ッテ目的地ニタドリ
ツケズヒキカエシタ。和田五朗曹長ハソノ一人デアッタ。和田曹長ノ
手記『カッテ神兵トマデウタワレタ我々デアッタ。ソレガ今ハドウ
ダ。一度ナラズ二度三度イヤ、四タビモ死ヲ決シ、ソノタビゴトニ生
キ恥ヲカカサレタノデアル。死処ヲウシナッタモノノ モッテイキ場
ノナイアワレナ心情ハ我々ニシカワカルマイ』。
和田伍朗曹長ハ更ニ手記ニ書ク『特攻隊ノナレノハテノ悲哀。ダレカ
ガハキダスヨウニイッタ「特攻ルンペン」トイウコトバガ心ニ
シミル・・・』。
筑波山麓カラ九州ヘ、途中幾度トナク空襲ニサラサレナガラ、暗イ
夜汽車デ ダマリコクッタ、サエナイ顔ツキデ彼等ハ「シキイ」ノ
タカイ川南駐屯地ヘマタゾロ、マイモドッテイクノダッタ。彼等ガ
悄然ト川南へ帰リ着イタノハ四月五日ノ夜デアッタ。
＜神風特攻隊ノ敢闘＞アクル昭和二十年四月六日菊水作戦第一号ガ実施
サレタ。菊水作戦トハアメリカ軍ノ沖縄侵攻ヲ阻止スル目的デ実施サ
レタ日本軍ノ特攻作戦。作戦ハ第一号（千九百四十五年六月一日）〜
第十号（六月二十一日〜二十二日）マデ実施サレタ。特攻作戦デノ
戦死者ハ 海軍 二、〇四十五名（九百四十機）
陸軍一、〇二十二名（八百八十七機）・・・。
昭和二十年四月六日鹿屋（カノヤ）ヲ始メ、全九州ノ特攻基地ト、台湾
特攻基地カラ二百機ノ神風（カミカゼ）ガ飛ビ立ッタノデアッタ。
正午頃、ゼロ戦三十機ノ第一制空隊が南西諸島上空ヲ南下シテイク時
17:空中空母
16/04/10 06:40:20.23 EAOSTcydq
特攻基地カラ二百機ノ神風《カミカゼ》ガ飛ビ立ッタノデアッタ。
正午頃、ゼロ戦三十機ノ第一制空隊ガ南西諸島上空ヲ南下シテイク時
一時間モ前ニレーダーデ《カミカゼ》ヲキャッチシテイタミッチャー
中将ノ機動部隊カラハ、ムカエウツベク戦闘機ガトビタッタ。ソノ
コロ第ニ、第三、第四制空隊一〇〇機ハ洋上ヲ遠マワリシテ沖縄ヘト
向カッテイタ。サラニ陸軍司偵ハ沖縄ノハルカ東方洋上ニ飛ンデ、
サカンニ錫（スズ）ノテープヲ空中ヘ散布シテイルノダッタ。錫片ハ
敵レーダーニ機影トオナジ黒点ニウツルノデアル。マンマ トコノ
欺騙（キヘン・アザムキダマスコト）ハ図ニアタッタ。「敵大編隊、
南大鳥島（鳥島或イハ大東島）方面ヨリ近接中」「スワコソ！」
空母カラ アワタダシクグラマン戦闘機隊ガ飛ビ立ッテイク。
イッポウ、奄美大島南方ニ進出シテ、《カミカゼ》ヲマチウケテイタ
「ミッチャー」機動部隊ノ一部ハ、敵機、接近ノ報デ上空ヘ飛ビ上ガ
ッタ。ドットオシヨセテキタノハ《カミカゼ》デハナク、日本陸軍ノ
《隼》四十機デアッタ。空中戦ガ展開サレタ。ソノ時海軍一一〇機陸軍
ノ九十機ノ特攻機ハマンジトモエノ空中戦ヲカイクグッテ沖縄ヘト殺
到（勢イデ押シ寄セル事）シテイッタノデアッタ。沖縄ノ陸上デハ
《カミカゼ》ノ突入ヲ見テイタ将兵ハ感キワマッテ 戦友、相イ抱イテ
躍リ上ガリ、ナカニハ地ニヒザマズイテ、合掌スル者モアッタトイウ。
特攻機ガ爆破シタ艦船カラ「モウモウ」トタチノボル黒煙ハ、ヤガテ
天ヲ覆イ、アタリハマルデ白夜ノ「ホノ暗さ」ニナッタ・・・。
シカシ、コノ日ノ戦果ハ、撃沈駆逐艦及ビ輸送船六隻、大破炎上
二十五隻計三十一隻、日本軍ニトッテハ大戦果デアッタケレド、
一五〇〇隻ノ米艦船カラスレバ、ワズカノ損害デシカナカッタデ
アロウ。トモアレ、米軍将兵ノ心胆ヲ慄然ト（オソレテブルブルフ
ルエルヨウス）サセル《菊水作戦》ハコノ日（昭和二十年四月六日）
ヲ皮切リニシテ第一〇号マデツヅケクノデアル。
＜意気上ガル義烈空挺隊＞ソノコロ。ダシヌケニ九州川南駐屯地（宮崎
県児湯郡［コユグン］川南［カワミナミ］町）ノ義烈空挺隊ニ移動命
令ガ達セラレタ。行ク先モ目的モ、イッサイガ秘密ダッタ。・・・
18:空中空母
16/04/13 06:10:57.07 Q4+e+lczw
＜意気上ガル義烈空挺隊＞ソノコロ。ダシヌケニ九州川南駐屯地（宮崎
県児湯郡［コユグン］川南［カワミナミ］町）ノ義烈空挺隊ニ移動命
令ガ達セラレタ。行ク先モ目的モ、イッサイガ秘密ダッタ。
『ドコヘドウツレラレテイクノカワカラナイガ、生キ恥ヲサラシテ
川南デナンノスルコトモナク徒食シテイルヨリハ、ドンナ運命ガ待ッ
テイヨウガ、ヨホドマシトイウモノダッタ。シカシ、コンドノ移動ハ
同ジ九州ノナカデアッタ。ツイタトコロハ、熊本«健軍飛行場»ダッタ
ノデアル。ココデ、ハジメテ、ワレワレハ«義号作戦»ノコトヲウチア
ケラレタノダ。ワレワレハ深イ感動ノタメ、胸ガ痛イホドデアッタ。
奥山隊長ノ顔ニハ、ヒサシブリニアカルサガモドッテキタ。
「ヨカッタナア。ヨウヤット、ワレワレニモ名誉アル死別ガアタエ
ラレタ。」ワレワレモ同ジ思イダッタ。ミンナ現金ニ、スッカリ元気
ハツラツトシテキタ』・・・・和田曹長ノ手記
※熊本健軍飛行場 熊本県熊本市健軍（現熊本市東区）
義烈ハ熊本到着ト同時ニ、航空総軍カラ第六航空軍ニ配属ガエヲサレ
タ。六航空軍ノ司令官ハ菅原道大中将デアル。防衛庁戦史室編ノ「義
号作戦」ニヨレバ・・《第六航空軍ハ義烈空挺隊長奥山道郎大尉以下
ノ熱烈ナル志望ガアルタメ、コレニ沖縄飛行場ヲ攻撃サセル計画ト準
備ヲスルタメ、中央ニソノ認可ヲツヨクヨウボウシテイタ。六航軍ト
シテハ、コノ際空挺隊ノ使用ハハヤケレバハヤイホドヨイトイウ意見
デアリ、大本営陸軍部ト同意見デアッタガ参謀総長ハ、必死特攻的
使用ニツイテノ独自ノ信念カラ、コレニ容易ニ同意ヲシナカッタノデ
アッタ。》ガ、ツイニ五月十八日ニイタリ六航軍ハヨウヤク中央カラ
認可ヲエタ。ソコデタダチニ義烈ヲ輸送スル第三独立飛行隊ヲ熊本ニ
ヨビヨセテ具体的ナ作戦ノウチアワセヲオコナッタ。》・・トアル。
《義烈》ハ健軍飛行場ノハズレノ畑ノナカノ三角兵舎ニハイッテ、
サッソク訓練ヲハジメタ。営外居住者ノ宿舎ハ、熊本駅前ノ旅館
「松緑館」デアッタ。
＜儀号作戦発令サル＞儀号作戦計画書ノ「作戦方針」ハ次ノヨウデアッ
タ。《義烈》ヲモッテ沖縄北、中飛行場ニ挺身シ、ソノ機ニ乗ジテ・
19:空中空母
16/04/17 05:45:11.17 uerfpnKGP
＜儀号作戦発令サル＞儀号作戦計画書ノ「作戦方針」ハ次ノヨウデアッ
タ。『《義烈》ヲモッテ沖縄北、中飛行場ニ挺進シ、ソノ機ニ乗ジテ
陸海航空兵力ヲモッテ敵艦船ニ対シ総攻撃ヲ実施ス』ムロン、
生還ハ、望ミウベクモナイ。敵ノマッタダ中ニ舞イ降リルノダ。
イウナレバ、集団特攻トイエルデアロウ。《義烈》ノ乗機ハアノ
旧式ノ九七式重爆撃機デアッタ。コワレタトビラハ、ベニヤ板デ、
コワレタ風防ニハ「ブリキ」ガハリツケテアルトイウ、オンボロダッ
タ。速度モオソク、性能モ悪イ。ソコデ六航軍デハ、健軍飛行場ヨリ
日没スギルマデ、戦闘機ニ護衛サセルコトニシタ。シカシ健軍カラ
沖縄マデハ六六〇キロデアル。途中ニハ ピー五十一ヤグラマンガ
「ウヨウヨ」シイルノダ。ソノタメ、《義烈》ハマズ東支那海ニコース
ヲトッテ 三〇〇〇メートルノ高度デ飛ビ、沖縄ノ残破（ザンバ）岬
沖デ変針シテ、主力 八機ハ北飛行場ヘ、四機ハ中飛行場ヘツッコム
コトニナッタ。
輸送機隊長ハ、中止ニナッタサイパン、硫黄島挺進作戦ノ時
ト同ジ長谷部忠一大尉デアッタ。トキニ大尉、二十六歳。
搭乗員モスベテ同ジ特攻隊員デアル。「エックス」日ガ達セラレタ。
五月二十四日デアッタ。ココデ、マタ和田曹長ノ手記ヲヒラコウ。
《航空写真ニミル沖縄ノ状況ハ毎日ノヨウニ変化シテイキ、一週間マエ
トクラベルト「ガラリ」トカワリ、南部一帯ハスッカリ基地化サレテ
シマッテイル。ソレニシテモ、米軍ノ物量ニハオドロカザルヲ
エナイ。沖縄ノ海ハ船ガ七分、三分ガ海ノヨウダ。コレヲ見タダケデ
第三十二軍ノ辛労ガワカルガ、シカシ、ワレワレノナグリコミ
ニヨリ、一小部分ノ戦況ノ好転ハエラレタトシテモ、大局ハカワリハ
ナサソウニニオモエ、無謀カトモ考エラレルガ、シカシ、タトエ
「飛ンデ火ニイル虫」ニナロウトモ、ワレワレハ＜空ノ神兵＞ノ生キ残
リナノダ。ヤラネバナラナイ。ナニガナンデモヤラネバナラヌノダ。
最後ノ夜ガキタ。イマサラ ナンモ、イウコトハナク、思イノコスコ
トモナイ。人生二十五年デハナイカ。沖縄出身ノ山城准尉ハ私ニ向カ
ッテ『俺ハ幸福者（シアワセモノ）ダ。故郷（フルサト）デ・・』》
20:空中空母
16/04/20 06:23:12.02 Cfxye+aW3
訂正 レス十九番＜儀烈＞⇒＜義烈＞
※第三十二軍・沖縄防衛ノ責任部隊別名「球」軍司令官牛島満陸軍中将
第九師団＜武兵団＞、第二十四師団＜山兵団＞、第六十二師団＜石兵
団＞独立混成第四十四旅団、第五砲兵団、海軍陸戦隊。後、米海兵隊
沖縄上陸直前ニ第九師団＜武兵団＞ハ台湾防衛ノタメ台湾ヘ移動
人生二十五年デハナイカ。沖縄出身ノ山城准尉ハ私ニ向カ
ッテ『俺ハ幸福者（シアワセモノ）ダ。故郷（フルサト）デ死ネルン
ダカラナア！』トシミジミイッタ。隊長ガ、『今夜ハナンデモ好キナ
ゴ馳走ヲドシドシ注文シロ』トイウガ、兵隊ノ注文ハタイシタモノハ
ナイ。「ゼンザイ」トカ「スシ」ソレクライノモノダッタ。軍服ハ
絵具デタガイニ迷彩ヲヌリアッテ、壁ギワニカケテアル。全員ノ総意
デ鉄カブトハ返納シテ、セメテ弾丸ヲツクルタシニデモシテクレル
ヨウニタノンダ。アスハ午後一時軍装検査午後六時搭乗。
離陸六時四十分デアルソシテ突入午後十時の予定ニナッテイタ。
サア、モウネヨウ、ネヨウ》。
＜オレモ散ロウヨハナヤカニ＞義烈ノ武器ハ、拳銃、九九式短小銃、
軽機、擲弾筒、被甲爆雷、一キロ爆発罐（カン）、三式手投爆雷デア
ッタ。出発ヨリ目的地マデノ中間食ハ、ノリ巻、イナリズシ、
キャラメル、力モチ、ウメボシ、ソノホカニハ、熱地戦力源一錠、
防吐ドロップ五個、着陸三十分後ニ服用スル撃滅錠一個、制渇錠若干
昭和二十年五月四日。コノ日ハ曇天デアッタガ、南方ノ空カラ
アカルミガサシテキテイタ。第六航空軍司令官菅原道大中将ノ手カラ
ヒトフリズツノ短刀ガ、一五ニ名ニ手ワタサレタ。十ニ機ノ乗機ハ
ハヤクモエンジンノ音ヲトドロカセテイル。《義烈》、搭乗ノ前ニ
全員肩ヲ組ミアッテ、義烈隊歌ヲ合唱シタ。
明日ハ初陣（ウイジン）軍刀ヲ 月ニカザセバ 散ル桜
意気デ咲ケ サクラ花 俺モ散ロウヨ ハナヤカニ
今夜散ル若者ノ歌声ガ夕空ニ流レタ。
『出撃ッ！』奥山道郎大尉ノ号令デ、《義烈》ハ姿ヲ消シタ。
十二機ハ、健軍上空ヲ一周シタアト、翼ヲフッテワカレヲツゲテ・・
21:空中空母
16/04/23 08:22:56.40 nFwazJ66e
訂正 レス二十番二十一行目 昭和二十年五月四日
⇒昭和二十年五月二十四日
『出撃ッ！』奥山道郎大尉ノ号令デ、《義烈》ハ姿ヲ消シタ。
十二機ハ、健軍上空ヲ一周シタアト、翼ヲフッテワカレヲツゲテ
一機、マタ一機・・・・ト宵ノ明星ガ輝ク南ノ空ヘ消エテイッタノデ
アッタ。成功ヲ念ジナガラ第六航空司令部ハ奥山隊長カラノ報告ヲ
待ッタ。時間ノタツノガマドロシカッタ。ト――午後十時十分。
『ワレコレヨリ突入ス』ノ無電ガ入ッタ。
＜若桜沖縄ニ散ル＞北飛行場ニ胴体着陸シタノハ六機、中飛行場ニハ
二機ガ着陸シタ。四機ハ方向ヲアヤマッテ目的地ヘタドリツケズ
ヒキカエシタ。「和田伍朗曹長モソノ一人デアル」シカシ、突入シ
タゼンインハ戦死ヲトゲタ。翌朝、陸軍司偵機ハ沖縄ニ飛ビ、帰還シ
テ報告シタ。『両飛行場トモ大混乱中デアル。北飛行場ハ使用不能ノ
状態、中飛行場ハヨウヤット使用デキル状態デアル。』イッポウ、
「アメリカ海兵隊戦史」ニヨレバ北飛行場デハ日本兵ハ手榴弾ト焼夷弾
ニヨッテ在地飛行機九機ヲ炎上破壊シ、二十九機ニ損傷ヲ与エ七万ガ
ロン（二十六万四千九百五十リットル）ノガソリンガ炎上、⇒
※二十六万四千九百五十リットル・約二百六十五キロリットル
最大タンクローリーハ積載量十九トン、積載容量ハ二十四キロリッ
トルダカラ、最大ノタンクローリー 十一台分・二百十トンノ航空機
用ハイオクタンガソリンガ燃エタコトニナル。
⇒米軍ノ死傷者約二十名デアッタ。コノタメ北飛行場ハ二十五日午後
八時マデ使用不能ニナッタ、トアル。ツマリ、二十五日中、両飛行場
ハ使用デキナカッタワケデアル。コノチャンスヲトラエテ出撃スル
予定ダッタ海軍特攻機ハ、シカシ、コノ日、九州地方ノ天候ガ悪化シ
タメニ出撃デキナカッタノデアッタ。トモアレ太平洋戦争ニハジメテ
「デビュー」シテ「パッ」ト咲イタ空ノ神兵落下傘部隊ハ海軍ハ
サイパン島ニ、陸軍ハ沖縄ニ、歌ノゴトク、「バッ」ト散ッテイッタ
ノデアッタ。オモエバ、オオシクモ悲シキ若桜タチデハナイカ！
＜義烈空挺隊ノ決死行＞沖縄 北・中飛行場ニ強行着陸シ基地制圧ノ・
22:空中空母
16/04/26 06:50:44.65 WWWPKc0Tv
＜義烈空挺隊ノ決死行＞沖縄 北・中飛行場ニ強行着陸シ基地制圧ノタ
メ＜義烈空挺隊＞（奥山道郎大尉以下百二十人）ガ九七式重爆十二機
ニ分乗熊本健軍飛行場ヲ飛ビ立ッタノハ昭和二十年五月二十四日夕。
北）六機、中）二機着陸成功ト報告サレタ。北飛行場ニ突入シタ
九七式重爆ハ諏訪部忠一大尉以下三十二人ノ搭乗員（第三独立
飛行隊）。着陸後戦闘。米軍発表デハ北（読谷・ヨミタン）飛行場ニ
ニ、一機ガ着陸、米軍側ノ損害九機炎上、二十九機損傷ノ損害。
隊員ハ機関短銃、爆薬、手榴弾ナドデ武装、文字通り決死ノ攻撃攻撃
ダッタ。四機ガエンジン不調ナドノタメ引キ返シ不時着シタ。
米軍ガ収容シタ隊員ノ遺体ハ六十九人ト記録サレテイル。
☆―――☆ ☆―――☆
◇大東亜戦争従軍記 野アザミノ花 樋口秀次郎 二松学舎専門学校
（現二松学舎大学）卒 大正九年（千九百二十年）生
昭和十七年二月一日現役兵トシテ歩兵第一一五連補充隊（東部第三十八
部隊・高崎市）第三大隊第三機関銃中隊（真下隊）入隊。
☆陸軍二等兵《肩章ノ星一ツ》
昭和十七年四月一日陸軍予備役幹部候補生。☆陸軍一等兵。《肩章ノ星
二ツ》
〃 四月二十日陸軍予備役甲種幹部候補生。☆陸軍上等兵《肩
章ノ星三ツ》
〃 五月十日前橋陸軍予備士官学校第一機関銃中隊（妙義隊）
入校。
〃 七月一日 ☆陸軍伍長。《肩章金筋一本ト星一ツ》
〃 九月 ☆陸軍軍曹。《肩章金筋一本ト星二ツ》
〃 十月三十日前橋陸軍予備士官学校卒業。☆陸軍曹長。
《肩章金筋一本ト星三ツ》
陸軍兵科見習士官ヲ命ゼラレ原隊復帰。
〃 十一月一日☆士官勤務ヲ命ズ。
一年後ノ昭和十八年十二月一日 ☆陸軍少尉
昭和十七年十一月二十三日北支派遣軍派遣内命。十二月十日北支派遣
23:空中空母
16/04/29 05:32:08.95 nudb3Oksz
昭和十七年十一月二十三日北支派遣軍派遣内命。十二月十日北支派遣
独立歩兵第二〇大隊派遣命令。休暇帰省。十二月十四日東部第三十八
部隊出発
昭和十七年十二月十六日門司港出港 十二月十七日釜山港上陸。
〃 十二月十九日日本・満洲 国境安東通過。
昭和十七年十二月二十二日満洲・支那国境山海関通過。
〃 十二月二十五日山東省青島市。第十二軍独立混成第五旅団
司令部（北支派遣桐第四二七一部隊）着。第三中隊（谷山隊）附。
《幹候（幹部候補生）ノ速成教育ト内務班》
町役場の兵事係カラ昭和十七年（千九百四十二年）二月一日東部第三十
八部隊（歩兵第百十五連隊補充隊。高崎市）入隊命令通知書（赤紙・
一銭五厘。召集令状）ガ届ケラレタ。二月一日入隊、第二大隊第三
機関銃中隊（真下隊）ヘ入リ、軍服ガ支給サレ、カクシテ現役二等兵
（肩章ノ星一ツ）トナッタ。田舎デハ旧制中学以上ニ進学スルコトハ
各別ノエリート視サレイタ時代デアル。ソレダケニ教育係上等兵ヤ各
内務班ノ班長以下、先任兵長、初年兵係、二選抜以下ノ古年次兵、
及ビ中隊下士官連中等々ノ陸軍予備役幹部候補生要員ヘノ態度ハ体当
タリノ殴ル、蹴ル、叩クノ「」イジメドコロデハナイ残虐非道ノ
連続デアッタ特ニ、二月一日ヨリ三月末日マデノ初年兵教育期間ハヨ
クイワレル「地獄」、「死ノ家」、非人間的、狂人集団デアッタ。
陸軍内務班ニツイテハ、野間宏著ノ『真空地帯』、棟田博著ノ『陸軍
ヨモヤマ物語 用語デ綴ル「イラストエッセイ」』、安田武著ノ
『戦争体験一九七〇年ヘノ遺言』ヤ軍関係取材小説、等ヲ管見（自己ノ
意見ヲケンソンシテ言ウ言葉）シタガ、『少シ異ウ（チガウ）ナ』、
『少シ古イナ』、『コレハ違ウ、コンナコトハアリエナイ』等々ノ感ヲ
必ズ抱クガ、内務班以下軍隊ノコトハサマザマナ事実ヤ雰囲気ヲ理解
サセルヨウナ表現ハ不可能デアリ、伝承不能ダトイウコトヲ改メテ
痛感スルバカリデアル。日清、日露ノ勝利ニノボセアガッタ過信ガ、
四十年モ続イテ近代化シナイ伝統ノ残影カモ・・・トモ思ワレル。・
24:空中空母
16/05/02 05:57:04.15 lFkTd1jXQ
日清、日露ノ勝利ニノボセアガッタ過信ガ、四十年モ続イテ近代化シナ
イ伝統ノ残影カモ・・・トモ思ワレル。
コレハ銃後ノ竹槍稽古ノ白兵戦マガイノ滑稽ニモミラレルトコロデ
アル。サラニ軍隊用語ニ漢字ノ音読ヲ多用、ワザワザ難解ニシテイテ
非能率権威主義デアッタコトモアル。若干例ヲ上ゲルナラ
次ノ通リデアル。
物干場［ブッカンバ］、洗面所［面洗所（ヒックリカエシニ言ウ）］
編上靴［ヘンジョウカ］、上靴［ジョウカ］、営内靴［エイナイカ］
巻脚絆、帯革［タイカク］、衣袴［イコ・上衣トズボン］、袴下
［コシタ・ズボン］、長靴［チョウカ］、使役、襦袢［シャツ］、
物入［モノイレ・ポケット］、書簡［手紙トハ言ワナイ］、
衛戍地［エイジュチ・軍隊ガ一定ノ地ニ留マッテ警備スル場所］、
浴槽、娑婆［シャバ・軍隊以外ノ社会・世ノ中］］等々デ滅茶苦茶
ニ多ク、権力主義ニ溺レ、腐敗シテイタ思イデモアッタ。
軍隊トハ“無理篇ニ拳骨（ゲンコツ）ト書ク”所トモイワレ、
終日「ピンタ」ニ苛メヌカレ、コズカレ、鉄鋲ノ編上靴デハリ倒サレ
タリ、蹴ラレタリ、血ヲ流シタリ、歯ヲ折ラレタリ、
耳ヲ聾（ツンボ）サレタリ、発狂寸前マデ追イツメラレタリスル。
何カデ（何カノ理由ワケデ）帯革デ左顔面から首筋ヲブチノメサレテ
出血、衛生室ヘ入室シタコトモアル。鼻血ヲ出シテイル兵ハ
ザラニ（イクラデモアッテ・珍シクモナイ）見カケル。護摩スリト
要領第一ト員数合ワセノ世界、サシクル（盗ミ）、サシクラレルハ
日常茶飯事（ニチジョウサハンジ）、陰デ「コソコソ」人ノ足ヲ
引ッ張ル。
「一ツ軍人ハ要領良クスルヲ本分トスベシ」、「軍隊ハ運隊」卑シク
悪知恵横行、屈辱ヲ知ラヌ人間ドモノ陰湿極マリナイ世界デ、
将（マサ）ニ消灯ラッパ ハ『新兵サンハ可哀ソウダネー、マタ
寝テ泣クノカヨー』ソノモノデアッタ。
軍隊ハスベテラッパ、「掻ッコメ掻ッコメ」食事ラッパ、ラッパノ
操リ人形ノヨウナモノデ、寝ルモ起キルモミナラッパ、食ベルモ・・
25:空中空母
16/05/05 06:25:55.05 j6vUTbxKl
ラッパノ操リ人形ノヨウナモノデ、寝ルモ起キルモミナラッパ、食ベル
モ垂レルモミナラッパ。ラッパ止マッテイルノハ厠（カワヤ・
ベンジョ）ノ中ダケ。
幹部候補生要員トシテ「軍人ニ賜リタル勅諭」（軍人勅諭）ヲ
暗記シタノハ、皆便所ノ中ノ用便中ノ三分カ五分程度ノ間ダケデアッ
タ。内務班ハ二階デアッタガ階段ガ昇レナイホド疲レタリ、
ブタレタリノ連日デアッタガ、飯上ゲ、食缶返納（炊事場デ又苛メ
ラレル）、入浴時ノ戦友古兵ノ背流シ、着替エノ洗濯物等ハ欠カセナ
カッタ。ソレデモ、内務班ニ暇ヲモテ余シテ退屈、トグロヲ巻イテ
イル古兵ノ意地悪ニ叩カレナガラ、「タコ釣リ」、「鶯（ウグイス）
ノ渓（タニ）ワタリ」、靴紐（クツヒモ）デ靴ヲ首ニ吊リ隣・トナリ
内務班マデ「ワンワン」スルト、待ッテマシタ式ニ意地悪スル古兵、
慄（フルエ）ナガラ「一ツ軍人ハ忠節ヲ尽クスヲ本分トスベシ」ト
言ウト、ヤット「ソノ通リ」ト言イ 且ツ「ピンタ」ガトンデクル。
コレガ上官ノ命令ハ直チニ朕ノ命令、命令ハ絶対デアリ、彼奴（キヤ
ツ）等ガ朕ノ股肱（ココウ・最ットモ頼ミトスル部下・手足）デアッ
タワケデ、アノ時アノ屈辱的姿勢ノ極限、人間ノ姿勢、言動、人間ノ
ヤル事デナイ生活ノ日々ヲ体験シタモノハ屈辱トトモニ生涯忘レル
コトハナイト思ウ。
＜前橋陸軍予備士官学校＞
昭和十七年五月十日、甲種予備役幹部候補生ハ、前橋陸軍予備士官学校
入学ヲ命ゼラレタ。同校ハ榛名山中腹、北群馬郡桃井（モモノイ）村
（現榛東村・シントウムラ）・現陸上自衛隊相馬原駐屯地デアリ
盛岡陸軍予備士官学校ヨリ移転第一期ノ
第七期生トイウコトデ、第一機関銃中隊（妙義隊）第一区隊所属。
同時入校ハ近衛師団、宇都宮第十四師団管内カラノ甲幹デアッタ。
昭和十七年七月一日 伍長ノ階級ニ進ム。
〃 九月一日 軍曹ノ階級ニ進ム。
〃 十月三十日 曹長ノ階級ニ進ミ卒業、陸軍兵科見習士官ヲ命
ゼラレ各原隊復帰シタ。陸軍予備士官学校ヲ、・・・・・・
26:空中空母
16/05/08 06:07:32.42 JHO03QUK8
昭和十七年十月三十日 曹長ノ階級ニ進ミ卒業、陸軍兵科見習士官ヲ命
ゼラレ各原隊復帰シタ。陸軍予備士官学校ヲ、学生間デハ「気狂
（チガ）イ学校』ト自称、中隊長、区隊長、教育助手ノ見習士官、
軍曹以外ハ仲間、気違ジミタ厳シサノ中ニモ明ルサヤ笑いイガ底流
シテイタ。東条首相来校ノ折、校内清掃ニ努メタガ、彼ハ、
便所ノ扉ヲ一枚開ケテ見タダケデ演習場ヘ向カッタ。コンナ所ハ
軍人上ガリノ要領ノ才ヲ持ッテイタラシイ。
軍帽ノヤヤ「アミダ被リ（帽子・笠ナドヲ後ロニ傾ケテ被るルコト・
阿弥陀様ノ後光のヨウニ見エル）」ガ機関銃ノ後ロカラ目標ヲ見テ
イル写真モアル。
侍従武官ノ差遣（派遣）モアッタシ、下痢学生ノ暑気による演習中ノ
死亡ト校葬モアッタ。
＜北支山東省諸城県ノ戦線ヘ＞
昭和十七年（一九四二年）十月三十日前橋陸軍予備士官学校卒業、即日
帰隊ノ命令デ原隊ヘ向カイ相馬ケ原ヲ下ッタ。
原隊の部隊長ヘ申告、ノチ元ノ中隊ヘノ配置トナリ中隊長ヘ申告、
中隊附キ将校ヘ報告、准尉以下ノ中隊事務室ヘ挨拶、宿泊ノ部屋モ
キマリ、七人ホドデ始メテノヨウニ寛ギ歓談。思イ出ニ時ヲ過ゴシタ
入隊後九カ月ブリデアッタ。
階級オンリーノ軍隊デハアッタガ、入隊後僅カ九カ月、シカモ初年兵
教育ヲ受ケタ原隊ノ中隊ノ、特ニ准尉、曹長以下ノ下士官ラハ、吾々
ノ顔ヲ見ルト敬礼ヲ先ニシナケレバナラナイノデ、目ヲ俯（フ）シテ
過ギル対応以下、「ギクシャク」シタモノガアッタシ
吾々モ多少ノコダワリヲ持ッテイタ。
昭和十七年十一月一日付命令デ、士官勤務ニナッタ。十一月二十三日
北支派遣ノ内命、十二月十日北支派遣独立混成第五旅団
（桐部隊）転属命令、三日間ノ帰省休暇ノ後ノ出征、出発トナッタ。
十二月二十三日午後ノ一時スギ、母ヤ祖父母、弟妹ニ挨拶シ、古里ノ道
ヲ独リフミシメナガラ、「烏川」ノ流レ、遠ク浅間ノ噴煙ヤ上信ノ
山波、天狗、相馬ノ榛名ノ山々ヤ尾根ノ波ウチヲ見納メノヨウニ眺メ
27:空中空母
16/05/11 06:32:50.29 lDfjHZKKQ
訂正 レス二十六ノ二十八行目 十二月二十三日 ⇒十二月十三日
古里ノ道ヲ独リフミシメナガラ、「烏川」ノ流レ、遠ク浅間ノ噴煙ヤ
上信ノ山波、天狗、相馬ノ榛名ノ山々ヤ尾根ノ波ウチヲ見納メノヨウ
ニ眺メ、コミアゲル涙ヲソノママニ、十六キロ程アル部隊
（高崎第一一五連隊補充隊・高崎東部三十八部隊）マデ道ヲ歩キツヅ
ケタ。カクシテ部隊最後ノ夜ヲ迎エタ。十二月十四日、原隊屯営出
発。高崎駅ニ祖父ガ見送ッテクレタ。上野駅ヤ東京駅、
宮城前広場ノ思イ出モ束ノ間、品川駅デ軍用列車編成トナッテ
東海道ヲ西進、富士山ヲハジメトスル故国ノ山河、市町村、海、
空ハ、画然ト美シク心ニシミル思イデアッタ。
山陽線岡山市郊外アタリデアッタロウカ、田デ働イテイタ顔モヨク見
エナイ遠クカラ、吾々ニオ辞儀スル娘ナドガ車窓ニ見エ、
皆車窓カラ見エル限リニ手ヲ振リ返シタ。 コノ時ノ感動ハ
前線ニアッテモ忘レルコトナク、祖国ノ思イニ通ッテイタ。
昭和十七年十二月十六日門司港乗船。祖国ノ土ヲ踏ム最後カモトイウ
感傷ハ時ニ圧シ流サレテ、船上カラ暮レカケル祖国、門司港ヲ眺メテ
イタラ涙ガニジンデキタ。
深ク広イ船倉ノ中ニ、三段ノ蚕棚式ノ段ガ設ケテアリ、馬匹モ一緒ノ
仮説船室ハ、腰ヲカガメテ歩カナケレバ頭ガ上段ニ当タル高サ、
莚（ムシロ）ノ床敷ニゴロ寝。厩舎ノヨウナ馬臭ガ鼻ヲツクノト
船酔イニ夕食ハ食ベラレナカッタ。輸送指揮ノ将校ト下士官連ハ
マシナ船室ラシカッタ。
敵潜水艦ノ奇襲ノ危惧モ伝ワッテキタガ、ママヨ、ト言ッタ
船酔イダッタ。出征ノ緊張モ、見習士官ノ階級モ馬ト同格以下ニ
崩レテイッタ。
昭和十七年十二月十七日ノ明ケ方、釜山港上陸。釜山駅ニ発車ヲ
待ツ間ノ、吾々ノ吸ッタタバコノ殻ヲ、待ッテイテ拾ウ少年ノ
ニ、群レニ異土ノ思イガワイテイタ。
釜山カラノ鉄道ハ広軌（レール幅一、四三五メートル・＜日本内地ノ
鉄道ノレール幅一、〇六七メートル＞）デアリ、満洲、北支那ノ・・
28:空中空母
16/05/15 07:39:21.32 Di7BNq6JL
釜山カラノ鉄道ハ広軌（レール幅一、四三五メートル・＜日本内地ノ
鉄道ノレール幅一、〇六七メートル＞）デアリ、満洲、北支那ノ鉄道
モ広軌デアッタ。吾々ノ鉄道ハ木製椅子デアッタ。又一度ダケ、
軍用帰還列車トスレチガイ、「ゴ苦労」「頼ムゾ！」ノ声ヲ
交ワシタ。昭和十七年十二月十九日、日満ノ国境安東駅ヲ通過、
鴨緑江ノタユトウ流レノ夕空ヲ見ツツ鉄橋ニ祖国日本ヲ離レル思イガ
浮カビ、迫ッタ雪深イ異国ノ山河ハ、暮レテ夜行ニ入リ疲レト共ニ
寝入ッタ。
夜明ケモ雪谷ノ中ヲ縫イ続ケテイタ列車ガ白雪皚々（ガイガイ・一面
ニ白ク見エルコト）ノ奉天（ホウテン・元ノ満州国ノ首都・
現 瀋陽）駅ニ入リ、兵站カラ朝食ヲ上ゲ遅イ朝食トナッタ。奉天駅
デノ車内待機時間ハ長カッタ。
大小便ノ凍ッタ小山ガ連ナリ、異国臭ヲ放ッテイタ。
十二月二十一日奉天駅ヲ発車。翌二十二日昼近ク万里ノ長城ガ右ニ
見エダシ、ヤガテ万里ノ長城ガ海岸ニ終ワッテイル万・支国境山海站
（タン・站ハ駅ノコト）ニ停車。駅ノ兵站（ヘイタン・戦場ノ後方ニ
アッテ、食糧軍需品ノ供給補充輸送ニアタル所）カラ食事ヲアゲル。
コノ駅ニ吾々ガコレカラ向カウ旅団本部（山東省青島「チンタオ」
市ニ司令部）派遣ノ案内役下士官ガ出迎エ、乗リ込ンデキタ。
説明カタガタ、地雷ニヨル列車爆破ヤ敵襲ノ危険モアルコトヲ
コトモナゲニ伝エテイタ。多少脅シトハ思ッテモ敵国占領下ノ軍用
列車ダトイウ緊張ガワイタ。
十二月二十五日ヨウヤク、旅団本部（桐部隊指令部）ノアル山東省
青島站着。港町青島ハ 支那トハ別ノ国・異国ノヨウニ美シイ。
旧独時代ノ建物ハ欧風デ皆彩ガル。松ヲハジメトスル緑モ多イ。
中腹ノ旧独時代ノ建物ラシイ格好ノ建物ニ「桐第四二七一部隊」ノ
門標ガアッタ。旅団長ハ年配ノ少将デアッタ。型通リノ申告、
副幹部の将校ガ配属部隊（独立歩兵大隊）ヲ指示、訓示。
下士官カラ部隊別交通機関ト出発時刻ノ連絡。スデニ迎エノ
軍用トラックガ来テイタ部隊モアッタ。同行三十四名ハ司令部デ・・
29:空中空母
16/05/18 06:11:40.33 KeOv7p+Ql
下士官カラ部隊別交通機関ト出発時刻ノ連絡。スデニ迎エノ
軍用トラックガ来テイタ部隊モアッタ。同行三十四名ハ司令部デ互イ
ノ武運ヲ約シ、五組ニ別レタ。七名ニナッタ吾々ハ桐第四ニ七六部隊
（独立歩兵第二十大隊）ノ配属トナリ夕刻 青島站ニ向カッタ。
膠済線ヲ折リ返シノ 列車ニ乗リ、翌二十六日昼近ク高密站
（タン・駅）ニ下車、迎エノ部隊本部下士官ガ来テ、兵站デ昼食スル。
高密站ハ交通ノ要所ダケデ小規模ノ町デアッタ。迎エノトラック自
動車ニ乗ル。迎エノ下士官ガ助手席、警乗兵五・六人ト吾々ハ荷台、
雪原ノ一本道ヲ一直線ニ南下、二時間程走ッテ小村デ小休止。
夜ニカカルト危険地帯ガアルカラト、小便タイム程デ出発シタ。
警乗兵ガ小銃ニ弾ヲ込メル音トトモニ、敵地ト言ウ実感ト緊張ガ
走ル＜鷹狩リ（タカガリ・鷹・隼ナドヲ飼イ馴ラシテ野鳥ヲ捕獲スル
狩猟法）＞ノ群レヲ見タホカハ雪又雪ノ平原デ、二筋ノ轍ガ直線ニ
ツヅイテ、時折土造リノ異国ラシイ家並ノ寒村ヲ通貨シタ。
雪原ノ中ニ黒ク城壁ガ見エ出シ、間モナク城門ニツイタ。警乗兵ハ
銃ノ弾ヲ抜イテイタガ、諸城ダト言ッタ。速度ヲ落トシテ城門ニ
入ル。城南街ノ広サハ分カラナカッタガ、交差スル大通リノ中央部ヲ
抜ケ、東北部ト思ワレル大隊本部衛兵所前ニ到着シタ。
桐第四二七六部隊ノ門標ノアル衛門ヲ入ルト、廟（ビョウ・死者ノ霊
ヲ祭ル所）カ県庁ダッタラシイ建物ノ入口ニ
「桐第四二七六部隊本部」ノ大キナ木板ガアッタ。私物ノ将校行李
（コウリ・柳、竹ナドデ編ンダ旅行用ノ入レ物）ヲ降ロシ、
案内役下士官ノ副官ヘノ連絡ヲ待チ、服装ヲ整エ整列待機スルコト
数分ニシテ、中尉ノ副官ト、八ノ字髭ノ大佐ガ出テキタ。
緊張シテ申告シタ。
『敬礼、申告致シマス。陸軍見習士官某々以下七名独立歩兵
第二十大隊配属ヲ命ゼラレ、只今異状ナク到着イタシマシタ。ココニ
謹ンデ申告致シマス。敬礼』トイッタ、ゴ定法（オキマリ）ノ申告ガ
終ワッタラ、髭ノ老大隊長ハ擧手（キョシュ）ノ返礼トトモニ
『ウン、ゴ苦労！』ト言ッタダケデ、軍刀ヲ握リナガラ本部内ヘ・・・
30:空中空母
16/05/21 06:52:43.11 uWUpeEsr4
髭ノ老大隊長ハ擧手（キョシュ）ノ返礼トトモニ
『ウン、ゴ苦労！』ト言ッタダケデ、軍刀ヲ握リナガラ本部内ヘ入ッテ
イッタ。今度は副官へ申告デアル。
副官ハ商事会社ノ課長ガ軍服ヲツケタヨウナ感ジデアッタ。
各人ガ名ヲ告ゲルヨウに言ワレ、右寄リ、陸軍見習士官、某々
（二人目カラハ同ジク某々）ト 名告ル（トナノル）。
配属中隊、中隊駐屯地へ出発、今夜ノ宿舎、夕食ハ将校会会食等
「コマゴマ」ト指示ガアル。副官ノ次ニ本部管内ノ中隊長以下ヘノ
申告、挨拶ヲ終ワル。将校連ニハ関西弁ガ感ジラレタ。
各人ガ将校行李（コウリ）ヲ担（カツ）イデ衛兵所前方ノ
旧建物改装ノ今夜ノ宿舎ヘ入ッタコロハ、
モウ、夕闇ガ迫ッテイタ。
☆北支方面軍（甲）
＜北京市＞岡村寧次（オカムラヤスジ）大将
第十二軍（仁）＜済南市＞
独立混成第五旅団（桐）＜青島市（チンタオ市）＞
一、桐第四二七一部隊 旅団司令部
二、桐第四二七二部隊 独立歩兵第十六部隊
三、桐第四二七三部隊 独立歩兵第十七大隊
四、桐第四二七四部隊 独立歩兵第十八大隊
五、桐第四二七五部隊 独立歩兵第十九大隊
六、桐第四二七六部隊 独立歩兵第二十大隊・・・⇒筆者所属
七、旅団司令部直属ノ通信隊以下ノ特科中隊数個中隊。
《左胸部貫通銃創受傷》＜初陣 魯中中部粛正討伐＞
昭和十八年一月四日、山東省済南市ノ第十二軍（仁部隊）幹部教育隊
ヘ派遣サレタ。一命病気ノタメ北京市ノ陸軍病院ヘ入院ノホカハ、
桐部隊同期見習士官全員ガ再開。幹部教育隊長ハ朝鮮王族出身ノ
中佐、中隊長ハ単純ナ呑兵衛ラシカッタ。教育、演習ハ、
当然ナガラ陸軍予備士官学校ノ比デハナク、万事、ゴ粗末。
昭和十八年三月二十日ヨリ青島市ノ旅団集合教育隊ヘ派遣サレ、・・
31:空中空母
16/05/24 06:43:04.08 jI3XFhrZH
昭和十八年三月二十日ヨリ青島市ノ旅団集合教育隊ヘ派遣サレ
四月十五日終了。現地下級指揮官教育ハ主トシテ旅団ノ通信隊内デ
行ワレタ。乗馬訓練ヤ風光明媚ナ青島市ノ印象ナドノ思イ出ガアル。
軍オヨビ旅団ノ幹部教育トモ、総ジテ学生上ガリノ見習士官連中ダケ
ニ思想教育ガ効果的デアッタ。
四月十八日帰隊途次ノ列車ガ邦人小学校校庭前ヲ通過ノ折、小学生ラ
ガ駆ケ来テ見エル限リニ手ヲ振ッテイタ姿ハ今モ思イ出ス。
中隊長ヘ帰隊報告。四月二十一日、実戦体験ヲノ配慮カラカ、本部
直轄小隊長トシテ「魯中中部粛正討伐」隊ヘノ追急ヲ命ジラレタ。
私ニトッテ勿論コレガ初陣デアッタ。「魯中中部討伐」ノ名称ハ、
戦闘終了後ノ旅団司令部ヘノ報告書「戦闘詳報」用ノ命名デアリ、
魯中トハ山東省魯中道（コノ［道］ハ北海道ノ道ト同ジ）ト言ウ
地域地名デアル。
進攻作戦名ハトモカク、警備隊ノ戦闘ハ計画通リニ運ブコトハ少ナイ
ノデ、大方ノ戦闘名ハ「戦闘詳報用」ニ後カラ命名サレルコトガ通例
デアッタ。
追急ハトラック輸送ト行軍。初陣ダケニ緊張シテイタガ、数個大隊
連合ノ作戦行動ダッタノデ危機感モ少ナク昼夜ノ行動ヲ続ケテイタ。
諸城→高密→膠県→洪蘭→悼泥溝（ドウデイコウ）［交戦］→劉家庄
→洪覧→膠県→東信興→諸城トイウ行動デ、四月二十四日帰隊。
翌日ニハ後ニ名付ケラレタ「魯南中部粛正討伐」隊第三中隊
第二小隊長トシテ出発シタ。将ニ東奔西走ならぬ北奔南走ノ
戦闘デアッタ。
行軍トハ、完全武装ハ兵種ニヨリ違ウケレド、歩兵のノ場合、実包ハ
前盒二ツ（盒・ゴウ・弾丸ヲ入レル頑丈ナ小箱）ニ、各三十発、後盒
ニ六十発（計一二〇発） 三八式歩兵銃（三、九五キログラム）背嚢
雑嚢、水筒、鉄兜、円匙（小型シャベル）、外被、飯盒、防寒用帽、
防寒用帽子、胴着、編上靴、帯剣、手榴弾六発、食糧その他デ凡ソ、
三十余キロ。九二式重機関銃五十五、三キログラム。
弾薬箱等ヲ馬デ運ブ他四人デ担ギ弾薬箱ハ 一人一、 二箱背負ウ・
32:空中空母
16/05/27 07:29:59.27 UaMaw/MRk
九二式重機関銃五十五、三キログラム。弾薬箱等ヲ馬デ運ブ他四人デ
担ギ弾薬箱ハ 一人一・二箱背負ウコトモアル。
コノヨウナ武装デ一時間ノ中、行進四十五分、休憩十五分（コノ間ニ
馬ノ荷ヲ下ロシ、馬脚ヲ藁束ナドデコスル・ソッコウ）。これに
四キロ行軍、五キロ行軍、六キロ行軍、八キロ行軍「ホトンド
駆ケ足」等ノ種別ガアル。
歩幅ハ 七十五センチ、戦地戦闘ノ場合又地形昼夜ノ状況ニヨリ、
種々デアル。又、部隊ノ規模ニヨリ、一万人以上ノ師団ノ場合ハ一日
ノ行程四・五キロデアッタ。
＜烽火・狼煙・（ノロシ）＞支那戦線ノ経験者ハ不気味ナ「烽火
（ノロシ）」ノ思イ出ヲ忘レナイト思ウ。日本中世ノ「烽火・ノロシ」
ハ支那伝来ノモノデアリ、支那烽火（ノロシ）ノ使用ハ
紀元前カラトイウ。杜甫ノ「春望」中ノ「烽火連三月」ハ戦乱ノ意デ
アル。「烽火（ノロシ）」ニハ煙ダケノモノ、赤・青・白ノ色彩ガ
アルモノガアリ、ソノ打チ上ゲ方ヤ色彩ニヨッテ、敵襲ノ兵力、方向
等ガ伝エラレルヨウニナッテオリ、山岳ヤ丘陵ノナイ場合ハ、オヨソ
二十キロ間隔、烽火（ノロシ）台ノナイ場合デモ、工作員ガイル
ラシク、昼夜ニ上ゲラレ連絡ガ取ラレテイル。打チ上ゲラレル高サハ
二十メートルタラズデアル。唐代ノ西域カラ長安ヘノ烽火（ノロシ）
連絡ハ、千八百キロヲ四時間ノ速度デアッタトイワレテイル。
常備状態ニモ、ヨルコトダガ、地方ノ烽火（ノロシ）ニヨル連絡速度
モ、新幹線列車速度以上デアッタヨウニ思ワレル。
夜ノ戦野ニ音モ タバコノ火モ忍バセテ伏セテイルト、様々ナ烽火ガ
不気味ニ続キ、行動ヲ起コストソノ方向ニ烽火（ノロシ）ガ続ク。
殺気トトモニ遠ク異国ノ戦野ニイル境涯ヘノ思イガ迫リ、
仰向ケニ夜空ヲ見上ゲタコト度々デアル。
「魯南中部粛正討伐」ノ初日、中隊後尾ノワガ小隊ガ、
宣撫地区（センブ・占領地区ノ住民ニ自国のノ政策ナドヲ伝エ人心ヲ
安定サセルコト）ノ平屋店子トイウ村ノ西ノハズレ百メートル
タラズニ小休止シタ。ソノ途端、ワガ小隊ニ最モ近イ家ノアタリ・・
33:空中空母
16/05/30 14:45:33.01 o5SJaTlO7
平屋店子トイウ村ノ西ノハズレ百メートルタラズニ小休止シタ。
ソノ途端、ワガ小隊ニ最モ近イ家ノアタリカラ白煙ノ烽火（ノロシ）
ガアガッタ。後尾分隊長ガ駆ケ出シタ兵ヲ見テ
『捕マエマスカ』ト言ッタノデ、私ガ『ウン』ト言ツテ駆ケ出シタ時、
二個分隊ホドガ駈ケテイタ。
烽火（ノロシ）ノ上ガッタ付近ニ、三十人ホド突ッ込ンダガ、
ワカラナカッタ。苦力（クーリー）ヤ百姓ノ掌（タナゴコロ）ニハ
胼胝（タコ）ガアッテ、兵ノ掌ト区別ガツクノデアルガ、百姓ヲ
シナガラノ工作員ガイタラシイ。敵ノホームグラウンドダケニ、
コノ辺ハ歯痒イ（ハガユイ）ホド弱い所デアッタ。
＜魯南中部粛清討伐＞
警備隊ハ 少数兵力、甲・乙・丙ノ、 丙装備、最低ノ旧式装備デ
村ヤ町ノ占領地域（点）トコレラヲ結ブ鉄道ヲ始メトスル交通路
（線）ヲ確保スル イワユル点線警備デアッタ。
敵ノ装備ハ悪イガ兵員ハオオク、カツ、戦場ハ敵ノホームグラウン
ドデアル。コレニ対応スル機動性ノ発揮デキル線ノ確保ガ必須デ
アッタノデアル。コノ線ノ確保モ困難ニナッテ、末期ニナルホド
分屯隊ノ玉砕ガ多クナッテイル。
点線確保ノタメノ戦闘ヲ粛正討伐、討伐ト通称シテイタ。討伐ハ
警備管内ノ行動デアルカラ、一週間、長クテ一カ月クライノ
作戦行動デアル。討伐ニ対シテ侵攻作戦ハ某々作戦ト称シ、新地域
ヤ敵基地ヘノ攻撃デ、コレハ数カ月カラ一年ニ及ブ行動ガ多イシ、
装備モ甲、兵力モ万単位ニナッテイル。
警備行動ハ暗号無線ニヨリ逐一上級司令部ヘ報告シテイルガ、
一区切リツクト「戦闘詳報」ヲ提出、報告スル。従ッテ討伐名称ハ
後ノ命名ノ場合ガ多イ。上級部隊カラノ命令作戦ノ場合モ、
部分的ニハ同前デアル。
魯南ハ道名（地域名）デアルガ、魯南中部粛正討伐ノ名称モ後ノモ
ノデ、主タル目的ハ、南方ノ第四中隊駐屯地ノ日照県トノ［線］
確保上ノ情況悪化ノタメノモノデアッタ。軍隊ノ最小単位ハ生活・
34:アスペルがー名乗る
16/05/31 22:42:04.93 p+1yGHgAT
悟られてんのに自覚なし 悲しい人生
35:空中空母
16/06/02 07:08:46.56 ZTqGLIy52
南方ノ第四中隊駐屯地ノ日照県トノ［線］確保上ノ情況悪化ノタメノ
モノデアッタ。軍隊ノ最小単位ハ生活・戦闘行動トモ中隊ガ
原則デアル。第三中隊 第二小隊長トシテ参戦シタ討伐隊ノ行動ハ、
諸城ヨリ南下、平家店子→許孟集→狗眼口（交戦）→朱家荘
（交戦）→ 柳樹店子→南石橋→両城鎮→腰村→湖河五菫（キン・スミ
レ）山西南麓（交戦）→湖河→五菫山東南麓 （交戦）戸部苓
（レイ・ミミナグサ）→皇華練→諸城帰隊
四月三十日ノ六日間デアッタ。
山砲隊ト協同（協同ハ両方ガ平等、協力ハドチラカガ主体性ヲ持ツ）
数人ノ負傷者ダケデ格別ノ戦果モナイ、典型的縄張リ争イ的討伐デ
アッタ。
連日連夜ノ機動行動ニ疲レテクルト、ムシロ戦闘ガアルコトヲ
期待シ会戦ニナルト蘇生シタヨウニ、疲レモ「フットンデ」
シマイ、皆 活気ガミナギリ、敏捷ニナッテクルモノデアル。
夜風ノ異様ナ音ト共ニ暗イ夜ヲ徹シテノ隠密行動ハ、車ヤ馬、靴ニ音
ヤ火花ガ出ナイヨウニ種々ノモノヲ巻き付ケル。小休止ニハ鉄兜ヤ手
拭、布キレヲ覆ッテ煙草ヲ吸ウ。馬ノ荷ハ降ロシテ馬脚ニ「ソッコウ
ヲカケル。（束藁・束ネタ一握リノワラデ、馬の下肢部ヲ コスリ
マッサージスルコト）・「揉ミユスル事」。
長イ人間ノ習性デ夜ハ眠クナルガ、相乗シテクル。睡魔トハ誰ノ
言イ出シタ語カ知ラナイガ、マサシク魔物然デ始末ガ悪イ。
兵ハ歩キナガラ寝テイル。小休止ニ前ノ者ニブツカッテ目ヲサマス。
出発時ニ人数確認ヲシナイト寝テイル奴ヲ捨テテシマウコトニナル。
捨テラレレバ捕虜ニナルカ殺サレル。冬ナラ凍死必定デアル。
コノ点ハ古兵ヤ分隊長ノ馴レデ救ワレテイル。冬ヤ雪中行軍ハ昼夜
トモ歩ク方ガ暖カク、凍傷ニナラナイ。従タガッテ将校用乗馬モ
交代デ弱ッタ者ヲ乗セル。
夏ノ馬上モ睡ムク、交代ヲスルノガ常デアル。討伐戦ハ夜通シノ
急行軍ヤ自動車輸送デ、払暁前ニ包囲線ヲ形成シ、払暁ヲ待ッテ急襲
スルノガ、常道デアル。山砲や大隊砲ノ射程マデ包囲戦を縮メ、払暁
36:空中空母
16/06/05 06:36:06.31 CdO1msa71
急行軍ヤ自動車輸送デ、払暁前ニ包囲線ヲ形成シ、払暁ヲ待ッテ急襲
スルノガ、常道デアル。山砲や大隊砲ノ射程マデ包囲戦を縮メ、払暁
ニ焼夷弾等ヲブチ込ム。重機関銃ヤ迫撃砲ガ接近制圧、歩兵隊ガ
焼夷擲弾筒ヤ軽機関銃ノ射撃ヲ浴ビセナガラ小銃弾モ浴ビセル。
窮鼠ガ猫ヲ噛マナイ様ニ、敵ガ大部隊ノ場合ハ退路ヲ開イテ攻撃シ、
敵ノ降伏カ退却ヲ待ツ。
コチラノ犠牲ヲ少ナクスルタメニ、地形ヤ地理ニ詳シイ敵ノ
ホームグラウンドに深追イシナイ場合ガ多イ。昼頃マデニ目鼻ガツカ
ナイ場合ハ、無理ヲシナイデ対峙シタリ引キ揚ゲル場合ガ多イ。
戦死者ヤ負傷者ガ出テクルト、兵隊ハ一斉ニ殺気立ッテ狂奔（キョウ
ホン）、狂気ニ生キ物ノ闘争心ヲ爆発サセ、憎シミヲ行動化スルタメ
ニ神速ナ知恵ガ展開、猪突猛進ガ盲進ニナリカネナイカラ、
コノ辺ニ小隊長ヤ分隊長最前線ノ戦況判断ト、的確迅速ナ指揮ヤ行動
ガ求メラレルノデアル。幾多の戦闘を体験スルウチニ次第ニ戦闘馴レ
シテ、戦闘ノ状況判断、呼吸ニ賢クナル。
演習は戦闘実戦の体験ニハナラナイ。
演習ハアクマデ技術訓練演習デ、マネゴトデアリ、実戦場裡（リ・裏
ノ異体字・俗字）ニハホトンド役立タナイ形式的ナモノデ、
実戦場ノ呼吸トイッタモノハ皆目ツカメナイ。
敵弾飛来スル音デ自ラト弾丸トノ距離ガ判断サレ鉄兜（テツカブト）
ナドモ、ソレマデハ重ク頭ニ痛イカラ背負ッテイルガ、弾音ニヨ
ッテ各自ガ被リ始メル。敵弾ノ狙撃ヲ判断シツツノ進度、方向、
姿勢ヲ決メテ行ク。コレラハ将ニ生物天与ノ知恵。生得物トイエル。
又、突撃戦ニナッテ駆ケタリ、走ッタリシダスト、無我夢中、
何ガ何ヤラワカラナクナリ、遅レナイヨウニ一緒ニ
突ッ込ンデユク。
カクシテ死ヌ奴ハ死ヌ、負傷スル奴ハ負傷スル。コンナ白兵戦
（ハクヘイセン・白刃、ムキミ、銃剣ニヨル接近戦）ノ時間帯
モアル。戦死者ノコトヲ、帰隊後仲間ガ、
『彼、今度ノ戦闘行動ニ何トナク影ガウスカッタ。』トカ『ツイテ』
37:空中空母
16/06/08 06:21:41.16 7eK+MAzw5
コンナ白兵戦（ハクヘイセン・白刃、ムキミ、銃剣ニヨル接近戦）ノ
時間帯モアル。戦死者ノコトヲ、帰隊後仲間ガ、『彼、今度ノ戦闘行
動ニ何トナク影ガウスカッタ。』トカ『ツイテイナカッタンダ』ト言
ッテイルノヲ聞イタコトモアル。敵ニ近ヅクト急ニ無口ニナリ、
体ガ何トナク熱発シタヨウナ、軽イ悪寒ト戦慄ノホテリヲ覚エ、
排尿ガ盛ンニナルモノデアル。敵兵トイッテモ個人対個人ノ何ノ恨ミ
辛（ツラミ）ナドナイガ、戦友ガ殺（ヤ）ラレレバ、憎シミニ殺気立
ツノデアル。
戦争トハ徹底的ナ破壊、殺人、侵略デアルガ、ソレハ国対国ノ関係デ
個対個ノ問題デハナイ。
部隊長ハ直轄部隊ヲ率イテ、中隊長ニ命令ヲ伝エル。中隊長ハ指揮班
ヲ従エテ上級ノ命令ヤ独自ノ命令ヲ、伝令ヲモッテ小隊長ニ下ス。
小隊長ハ伝令マタハ直接ニ分隊長ニ命令ヲ伝エル。シカシ、コレラハ
大概（オオムネ・大体）デアル。刻々変化スル目前ノ情況ニ対応シテ
中隊、小隊、分隊各兵ハ独自ノ判断デ適切、迅速ナ行動ヲ展開スル。
ダガ戦闘ガ膠着、激戦状態ニナリ出スト、兵ハ、指揮官ト敵状ヲ
半々見出シ、何トナク、分隊毎（ゴト）ナドニ小寄リ
（小サク固マリ）スル態勢ニ陥ル。コレガ敵ノ目標トナルコトサエ忘レ
タ状態ニナルト、
『固マルト危ナイゾ』ト怒鳴リツケル。
戦場場面ノ映画ナドデドラマ性ヲ割引キシテモ、「ナゼアノヨウニ殴
ルノカ」ト質問サレタコトガアル。私ハ、
『戦場ハ銃砲ノ音デ言葉ガ聞コエナイカラ、体ヲ引キズッタリ、
殴ッテ危険カラ救イ合ウノダ』ト答エルコトニシテイタ。
機関銃手ハ目標シカ見テイナイ。敵ガ迂回シテ丸見エノ目標ニナッ
テ危険ダカラ、足ヲ殴ッタリ引キズッテ退（サ）ガラセル。
敵情の変化に即応即決するために、言葉ガ通ジナイ銃砲声ノ中ノ
方法ノコトデアッテ、
内務班ノ殴ル蹴ルトハ大違イデアリ、戦場デ内務班内ノヨウナ無茶苦
茶ノピンタ、叩ク、殴ル、ガアッテ、殴ラレタ者ガ、怒ッタラ皆実弾
38:空中空母
16/06/11 07:45:29.48 fOgXO8zBO
内務班ノ殴ル蹴ルトハ大違イデアリ、戦場デ内務班内ノヨウナ無茶苦
茶ノピンタ、叩ク、殴ル、ガアッテ、殴ラレタ者ガ、怒ッタラ皆実弾
ヲ持ッテイルノデ、ドウナルカ分カラナイ戦場デ仲間ノ一人デモ
失ウコトハ、自分ノ危険度ニ直面シテクルノデアル。憎シミナド毛頭
モナイ。切羽詰マッタ状況下ノ動作デシカナイノデアル。
山東省ニハ、五岳中ノ東岳・泰山（一五二四メートル）ガアルガ、
海抜千メートル以下ノ低山ヤ川ハ比較的多イ。東方ノ古イ榔椰地方
（ロウヤ地方？）ヲハジメトシテ、山岳部ハ敵ノ本拠ガ多カッタ。
五菫山塊ヲメグル魯南中部粛清討伐ノ戦イハ、山岳戦デアッタル。
山岳戦ハ山砲ニヨル陣地攻撃カラ始マッタ。山砲ノ砲撃援護下ヲ
歩兵ガ前進、丘陵ヲ駈ケテイタ時ノコトデアル。敵ノ狙撃ヲ警戒シナ
ガラ両線ノ段丘ニトリツイタ途端「ヒヤッ」トシタ。
仰向ケニ屍ガコロガッテイテ、服ハ「ボロボロ」殆ド全裸デ、
体ハ赤黒ク焦ゲ、目ヤ腹ハ鳥カ獣ニヤラレタラシク抉ラレテオリ、
頭髪モナイ。手足ノ指ノアルノガ異様ダッタ。十メニナリカケテ、
「ボロボロ」ノ肉塊ハフクレテイタ。地獄絵巻ト言ウヨリ、大地ニ還元
シカケテイル化石ノヨウナ無気味サデアッタ。
何カ月カ前ノ支那人同志ノ戦ノ折ノ死体ラシカッタ。
何モ散ラバッテイナイトコロハ、兵器ヲハジメトシテ使用可能ナモノ
ハ持チ去ッタラシイ。吾々モ激戦中戦死者ノ屍体収容ガ不能ノ状況下
デハ、ソレゾレノ小指ヲ切リ取リ、兵器ヲ持チ去ルダケニ終ワルコト
ヲ知ッテイタ。小指ガ背ノ飯盒ノ中デ歩クタビニ音ヲタテル。
コノ戦友ガ戦死スレバ小指ハソノママデアル。マタ、戦死者ヤ小指
ガ収容デキテモ、ヒトマトメニ火葬、分骨シテ官氏名ヲ付スノガ
通常デアッタ。
「葬」ノ象形ハ、草ノ中ニ死デアルガ、五菫山稜デ垣間見タ敵兵ノ
屍ニ、生ノ終焉ノオゾマシイ（オソロシイ）恐怖ガ迫リ、人間同志ト
シテ手ヲ合ワセル気モ起コラナイウチニ、自ラノ身ヲ守ルコトニ
先走ッテ駆ケテイタ。山岳戦ニ限ラナイガ、砲撃シテモ反応ノナイ
モヌケノ殻、逃亡ノ後ノ場合モアル。連日連夜ノ行軍ヨリモ、・・・
39:空中空母
16/06/14 05:44:21.62 Jvp7aFdBI
山岳戦ニ限ラナイガ、砲撃シテモ反応ノナイモヌケノ殻、逃亡ノ後ノ
場合モアル。連日連夜ノ行軍ヨリモ、銃砲声に生気ガカエルモノデア
ル。従ッテ敵ニ遭遇デキナイト無性ニ腹立タシクナッテクル。
兵ガ谷底ノ川原ノ白鷺ノ群レニ、軽機関銃ヲ乱射シテイタ。
威嚇ヲ兼ネテハイタガ、高所カラ派手ニ戦イヲ挑ミタイ衝動ソレデモ
アッタト思ウ。末端ノ小戦闘ニハ戦術モ、ヘチマモナイ。兵隊ゴッコ
ト同ジデアル。警戒ヲシ、敵ヨリ早ク相手ヲ見ツケ、早ク高所ヲ
占メルダケノコトデアル。
白鷺ノ群レハ歩哨ヲ立テテ警戒シテオリ、歩哨ノ一声デ翔ビ立チ、
啼キ合イナガラ川下ノ方ヘ移ッテイッタ。戦闘ガナケレバ山紫水明ノ
桃源郷デアル。欲ノ皮ノ突ッ張ッタ人間ドモガ、業ノヨウニ闘争ニ
命ヲカケ、殺シ合ウ。白鷺ハ自衛スルダケデ、「アホー、アホー」ト
「アホー」連中カラ遠ザカッテイッタコトヲ思イ出ス。
ナオ五菫山尾根ノ傾斜ニ密培サレテイタ、ケシ（芥子、罌粟）ノ花畑
ノ美シサニ、ハットシテ、戦闘中ニ駆ケッテイル現実ヲ忘レタ
瞬（トキ）ノアッタ記憶モアル。
＜諸城北部粛正討伐 受創＞ 魯南中部粛正討伐カラ期待シタ翌日、
兵器ヤ馬匹ノ手入レヲシ、戦備ヲ整エ、翌々日ノ五月二日ニハ、
諸城県北部ニ向カッテ出発シタ。文字通リ寧日（ネイジツ・平穏無事
ナ日）ナキ南奔北走（ナンホンホクソウ・東奔西走ニ似セタ私語）
相州鎮ハ北部宣撫地区ノ中心デ、ココヲ前進基地トシタ。
部隊本部ニナッタ町役場庁舎ノヨウナ建物ハ洋風、焼キ煉瓦造リノ
ハイカラ造リデ支那風離レシテイタ。
男の職員ガ茶ノサービスヲシテイタ。今ニ覚エテイルノハ、
白陶製洋式男子用便器ノ小便ノ当タル所ニ、赤味ニ彩色サレタ女陰ヤ
陰毛彫刻マデシテアッタコトデアル。ソウイエバ、後ニ便器ヤ
浴用水槽ノ陶器ニ、コノ手ノモノヲ見カケルコトガ度々デアッタガ、
彩色サレテイタノハ、ココダケデアッタ。相州鎮カラ北進シテ、
学究→コウ（門ガマエノ中ニ共）鶏台→李戸庄（交戦）→学究→
相州鎮ト行動、五月四日ニハ帰隊シタ。第一小隊長トシテ、急遽・・
40:空中空母
16/06/17 05:55:17.00 dxix/Y32l
学究→閧鶏台（コウ・門ガマエノ中ニ共）→李戸庄（交戦）→学究→
相州鎮ト行動、五月四日ニハ帰隊シタ。第一小隊長トシテ、急遽
トラック輸送デ折リ返シ相州鎮カラ夜行軍トナッタ。学究→閧鶏台ト
進ミ、ココカラ中隊毎ニ進路ヲ変エ支那自衛隊モ協同行動、
七日夜ノ隠密行動デ安邱県東利見、西利見ノ敵ヲ捕捉包囲、八日ノ
払暁トトモニ山砲隊ノ砲撃カラ攻撃ヲ開始シタ。淮河（ワイガ）ノ
支流汶河北側ノ東利見ニ突入シタガ、モヌケノ殻、敵ハ川ノ西側
西利見ニ入ツテイタ。河ノ段丘ヲ利用シタ西利見ハ、日干シ煉瓦ノ
城壁ヲ甲羅ノヨウニメグラシテイタ。
カナリノ兵力ガ集結シテイタラシイコトト、支那自衛隊共々ノ包囲ガ
完全ナタメ、袋ノ鼠、窮鼠猫ヲ咬ム式ニ頑強ノ抗戦デ、山砲ノ砲撃
ニモナカナカ降伏ノ気配ガナカッタ。中隊ハ東側ノ小銃射程外ノ
凹地ヘ散開、歩哨ニ警戒サセナガラ、土手ヲ背ニ昼食ヲトッタ。
支那自衛隊ハ、サラニ後方ニ散開シテイタ。
昼食後ノ十三時五分頃（日本時間ヲ使用シテイタ）総攻撃ノ命令ガ
下ッタ。機関銃、迫撃砲ノ射撃デ私ノ小隊ハ東南凹地カラ接近、
迫撃砲弾ニ怯ンダノカ城壁カラノ狙撃ガ散発的ニナッタノデ、
退却ヲ始メタカト思イ、高クモナイ城壁ハ越エラレソウニ見エタノ
デ、追撃シヨウト兵隊ラト、タイシタ幅モナイ川ヲ渡リ、
叢（クサムラ）ニ伏セ各分隊ノ様子ヲ見ルベク顔ヲ上ゲタ時、小隊
ノ第一分隊長ノ軍曹ガ叢（クサムラ）ノ中デ「ガックリ」ト頭ヲ伏セ
タママ動カナカッタ。前進ノ間ヲ取ッテイルノカトモ思ッタガ、微動
モシナカッタノデ、「殺（ヤ）ラレタノカ」ト、上半身ヲ「ヤヤ」上
ゲ、大声デ呼ンダガ動カナカッタ。後デ分ッタ話デアルガ、軍曹ハ
声モ立テズ鉄兜ノ星章ワキヲブチ抜カレタ貫通即死、「ウー」モ
「スー」モナカッタワケデ、蒼ザメ果テタ顔面ニ夏ノ木洩（コモレ）
レ陽（ビ）ガ灼（ヤ）ケツキ、「ピタリ」ト時間ガ停止シテイタ。
鉄兜ノ厚サハ五ミリ、小銃弾ノ直径ハ六、五ミリダカラ直角ニ当タ
レバ貫通デアル。ソレニ弾ノ防護ガ鉄兜デアル。鉄兜ヲ厚クスレバ
防護性ハアガッテモ重ク、カツ頭ガ痛ム。経験科学的厚サラシイ。・
41:空中空母
16/06/20 06:45:27.29 3Z8S/Chi/
ソレニ弾ノ防護ガ鉄兜デアル。鉄兜ヲ厚クスレバ防護性ハアガッテモ
重ク、カツ頭ガ痛ム。経験科学的厚サラシイ。敵弾モ「バラバラ」ニ
ナッテイタノデ軍曹ノ収容ヲ怒鳴リナガラ城壁ニ接近スベク
上半身ヲ上ゲタ、コノ間抜ケタ瞬間ニ、敵ノ確カナ狙撃ヲ喰ッタワケ
ダガ、コレハ後デ気付イタコトデアル。五月八日十三時十分頃ノ敵ノ
小銃弾ニヨル穿透性（セントウセイ）左胸部貫通銃創デアッタ。
コノ受傷ヲ「ドジ」ト言イタイ奴ハ言エ、デアル。
「ドスッ。」何トモ表現シヨウノナイ背中ノ衝撃、ソレハ空気ガ
凝縮（ギョウシュク）シテ「ドスッ」ト大壁ヲ打チ抜クヨウニ押圧シ
テキタヨウナ、或イハ、大石ノコンクリート電柱ガ直ニ飛ンデキテ
薙ギ倒シ、ブチノメシテキタヨウナ感覚デアッタ。呼吸ハ勿論デキナ
カッタガマダ意識ハアッタ。
敵弾ニ当タッタトイウ経験ハ勿論ナカッタノデ、撃タレタ
トイウ実感ヲ意識スルマデニハ、一寸ノ瞬（トキ）ヲ要シタ。
前カラ当タッタトイウ思イハナカッタ。弾ハ命中確率ヲアゲル為ニ
三条ノ螺旋突起ヲ銃身内ニツケテアルノデ回転ガツイテ飛ンデイルタ
メ、前ノ心臓三センチホド上ノ入口ヨリ、左肩甲骨下ヲ抜ケタ破裂口
ハ胸骨骨折トトモニ大キクナリ、背中ニ当タッタショックノ方ガ
大キク、背中ニ当タッタトイウ感覚ガアル。
『死ニタクナイ。生キタイ。コンナ所デ死ニタクナイ。ヤレルダケノ
コトハヤッタ。マジメニヤッテキタンダカラ、コンナ所デ死ニタクナ
イ。』コンナ思イガ一瞬突ッ走リ、過去ノスベテガ、フイルムヲ巻キ
戻スヨウニ甦ッテクルヨウナ奇妙ナ衝撃ニ襲ワレ、ウッスラト残ッテ
イタ意識ノ中ニ、故国ノ、ワケテモ群馬ノ三山一水（イッスイ・
一筋ノ流レ）、上信ノ山波、古里ノ榛名山ノ相馬・天狗ノ山々、
遠浅間ノ煙、烏川ノ流レガ走馬灯ノヨウニ突ッ走リ流レ、空ニハ母ノ
畑仕事ニ髪ヲ「ボウボウ」トシタ顔ヤ、祖父母、弟妹ノ顔ガ稲妻ノ
ヨウニスバヤク閃キ大写リシテキタ。ト同時ニ、生キタイ、古里ヘ
帰リタイ、死ヌマデニモウ一度故国ノ肉親ヤ山河、空ガ見タイト痛感
シテイタガ、肺ガ破ラレテノ出血ガ気管ニ入リ呼吸不能トナリ、脳ニ
42:空中空母
16/06/23 06:17:53.19 tuX4JUl73
死ヌマデニモウ一度故国ノ肉親ヤ山河、空ガ見タイト痛感シテイタガ、
肺ガ破ラレテノ出血ガ気管ニ入リ呼吸不能トナリ、脳ニ血が廻ラナイ
ノカ意識ハ「ボヤケ」テイッタ。ソンナ中デモ
『俺ハ死ヌカモシレナイ。後何分ノ命カ、何秒ノ命カ。コンナ所デ
死ンデ野良犬ヤ鴉（カラス）ノ餌食ニ屍ヲサラシタクナイ。助カリ
タイ。生キタイ。死ヌノナラ母ニ、祖父母ニ会イタイ。』ヲヒタスラ
ニ思イ続ケテイタ。泣イテイタノカ、涙ガ出テイタノカ覚エガナイ
ガ、目ハアケテイナカッタ。叢（クサムラ）ヲ駆ケル音ヤ、ハゲマシ
ノ声ハ聞コエタ覚エガアル。
口カラ鼻カラ鮮血ガ噴キ、呼吸ガツマリ、喘ギ、悶エ、全身ヲ
ノタウチ苦シム断末魔ニ、狙撃ノ敵兵ヲコン畜生ト恨ンデイタヨウニ
思ウ。コレラスベテ閃メキ（ヒラメキ）ノ瞬（トキ・マタタキ）
ノモノデアッタ。
テレビヤ映画デ、刀デ切ラレタリ、ピストルデ撃タレタ時ニ、ヨク
大仰ニノケゾル大写シガアルガ、アレハ画面効果ダケダロウト思ウ。
一瞬ノケゾルニシテモ前屈スルノガ自然デアルコトハ、背中ノ破裂
ガ大キクトモ、前屈シテノタウチマワッタ実体験カラ、言エル
ヨウニ思ウ。
戦友ガ目前デ地雷ニヤラレタ時モノケゾルヨリハ前倒デアッタ。
トモアレ、夏ノ叢（クサムラ）ノ イキレ（熱・熱気）モ、時間モ、
スベテガ停止シテ意識ハ消エタ。左胸部貫通銃創ノアノ限界状況下ノ
体験ヲ越エル現実ナドハコノ世ニハナイノデハナイカ。アルトスレバ
死ダガ、意味ノアル死ナドトイウモノハコノ世ニ存在シナイ。
死花（シニバナ）ナンテ嘘中ノ嘘、死ヌ者貧乏、死ンデ花ガ咲ク
モノカノ通リデアルヨウニ思ウ。ソレニシテモ、ヨクゾ心臓ヲ狙ッタ
モノ。三センチホド上部ヘズレタノハ、狙撃兵ノ恣意（キマグレ）
デモ、コチラノ弾速内ノ咄嗟自動動作ナドデモナイ。全クノ、誰ノ、
何ノワケニモヨラナイ「偶然」デアリ、ソレガ我ガ運命デアリ、
生キラレタワケデアル。三センチズレノ命得タ受傷デアッタ
ワケデアル。生ト死ヲ決スル瞬間ガ、ドンナニ無造作デ、ドンナニ・
43:空中空母
16/06/26 05:47:07.50 rLYqyMr+j
三センチズレノ命得タ受傷デアッタワケデアル。生ト死ヲ決スル瞬間ガ
ドンナニ無造作デ、ドンナニサリゲナクヤッテ来ルモノカ。ソシテ
ソノヨウナ瞬間ノ長イ連続ノ時間、極限状況下ニ、人間ガイカニ無力
ノ存在デアルカヲ痛感サセラレモシタ。
生キルヨリモムシロ死ヌ方ガ楽ダ、フト思ウ状況ノ中デ、執拗ニ生キ
残ルコトヲ考エツヅケルコトガ、如何ニ苦シク困難ナコトカ。
人間ノ心トイウモノガ長イ緊張状態ヤ瀕死ノ苦痛ニイカニ脆イカモ、
「イヤ」トイウホド痛感サセラレタ。祖国ノタメニ命ヲ捧ゲヨウト覚悟
シテ出征シテキテイル。祖国日本民族のために、天皇陛下ノタメ、
親ヤ肉親、親族ノタメ、歴史文化ノタメニ命ヲ捧ゲル。コレヲ拒否
スルコトハ、自殺カ逃亡シカナク親、弟妹、親族郷党ヲ辱シメル国賊
トイウ時代相デッタ。コウシタ思想ハ軍部ニ、カキタテラレタ
モノダケデハナイ。祖国ヲ守リ、万世一系トイッタ皇紀ヲ
守ルコトハ、歴史ガ吾々青年男子ニ課シタ崇高ノ使命デアルト認識、
使命感デアッタ。シカシ死ヌカモシレナイ、生キタイトイウ瀕死ノ
断末魔ノ瞬間ニ、カッテ明治神宮外苑ノ代々木練兵場デ
ゴ親閲ノ天皇ヲ遠ク見ナガラ分列行進シタ以外ハ、写真ヲ拝スルダケ
ダッタ天皇ノコトハ浮カバナカッタ。
心ニ煌（キラメ）キ閃（ヒラメ）イタ母ノ顔ニ、声モ出ナイノニ
「母サン」ト叫ビタカッタコノ母ト、天皇トハ、全ク次元ノ違ウモノ
デアッタコトハイウマデモナイ。
最初ニ意識ガ戻ッタ数秒カ数十秒後ノ間ニ、楊柳（ヨウリュウ・
ヤナギ）ノ寝方ニ横タワリ、軍医カ衛生兵カガ体ニフレル気配トトモ
ニ野薊（ノアザミ）ノ花ノ紅紫ガカスンデ意識ハ消エテイッタ。
※ノアザミ（野薊）キク科アザミ属ノ多年草、花ハ春カラ初夏ニ咲ク。
コノ、ノアザミノ花ノ彩リモ後々ニ、又故郷ノ自然ノ景色トトモニ、
或イハ幻覚ダッタカ、 モノ思イガウカビ、ハッキリシナイ。
再ビ蘇生シタ時、支那民家ノ入口ノ板戸ノ上ニ寝カサレ、四人ニ
担ガレテイルコトガ分ッタガ、揺レノ苦シサニ喚キ、ウナッテ
イタラシイ。肺カラノ出血ニ意識ガ消エル。何時間担ガレタ・・
44:空中空母
16/06/29 05:15:22.41 xmeLREF1d
四人ニ担ガレテイルコトガ分ッタガ、揺レノ苦シサニ喚キ、ウナッテ
イタラシイ。肺カラノ出血ニ意識ガ消エル。何時間担ガレタノカ
「生キタイ、生キタイ」ト蘇生ノ意識毎ニ繰リ返シテイタ。西利見ノ
戦闘ハ私ガ受傷シテ後、間モナク敵ノ退却ガ始マリ、コノ追撃モセズ
終了。分隊長ノ軍曹ノホカ三名ホド戦死、戦傷数人デアッタコトハ後
デ聞イタ。夕暮レ近ク相州鎮ニ着イタコトガワカッタ。
※左胸部貫通銃創受傷時刻ハ日本時間午後一時十分・陸軍ハ日本時間ヲ
使ッテイタ。
ココデ軍医カラ茶碗半分位ノヌルマ茶ヲ与エラレタ。
受傷後七・八時間後ノ喉ヘノ潤イニ、イクラカ落チ着キカケテイタガ
スグニ咳キ込ミ、吐血、オヨソ助カルカモ・・ノ思イガワクヨウナ
状態ノ苦痛デハナカッタ。ココカラトラックデ衛生兵添乗、夕闇ノ中
ヲ諸城ノ大隊本部マデ輸送サレココデ衛生下士官、兵、
警乗分隊添乗ノトラックデ走リ膠済線高密站ヘ着、担架ノママ汽車ニ
乗セラレテ、衛生下士官、兵添乗、野戦病院青島（チンタオ）陸軍
病院ヘ送ラレタコトハ、咳キ込ミ、喀血、呼吸不能モ時ニ断続スル
意識ノ中ニ分カッテイタ。
「パタパタ」ト看護婦ガ出入リシ、軍医ノ検診ガアッテ個室入院ガ咳キ
込ム吐血ノ苦悶ノ中ニ了（リョウ・終了）シタノハ夜モカナリ遅カッ
タヨウニ思ウ。受傷後十数時間、将ニ生死彷徨（生死ノ間ヲサマヨ
ウ）ノ一日デアッタワケデアル。
＜青島（チンタオ）陸軍病院入院生活＞一次入院二カ月
昭和十八年（千九百四十三年）五月九日ヨリ、野戦病院青島（チン
タオ）陸軍病院入院生活ガ始マッタ。咳キ込ンデハ真ッ白ナ布団・
枕・敷布サラニハ床ノ上マデ鮮血ヲ吐キ、アゲクノ果テニ意識ヲ
失ウ。意識ガカエルト白衣ノ看護婦ガコレヲトリ替エ病衣モカエル
コトヲ続ケテイタ。
一人咳キ込ンデ血ヲ吐イテイル夜ノ、苦痛トノ闘イヲ、不寝番ノ
看護婦ガ見廻リ、励マシノ声ヲカケテクレルコトモ度々デアッタ。
「生キタイ。ナントシテモ生キタイ。」ト無宗教ノ私ハアテモナイ・・
45:空中空母
16/07/02 07:18:48.31 posbl27pA
不寝番ノ看護婦ガ見廻リ、励マシノ声ヲカケテクレルコトモ度々デアッ
タ「生キタイ。ナントシテモ生キタイ。」ト無宗教ノ私ハアテモナイ
祈リヲ続ケテイタコトヲ思イ出ス。十日目ゴロカラ吐血ノ咳キ込ミ
回数モ少ナクナリ、心身ガ落チ着キ始メテイタ。一カ月ホドノ間
私ノスベテハ文字通リ看護婦ノ献身ニ支エラレ、薄紙ヲ一枚一枚
ハガスヨウニ恢復ニムカッテイタ。一カ月余リニシテ将校病棟食堂ニ
ハジメテ出タ。白衣ニ階級章ヲ付ケタノガ先着順ニ並ンデイタ。
入院シテマデ階級順デ、上級者ガ着席スルマデ立ッテ待ッテイタ。
ソシテ上級者ガ箸ヲトッテカラ、食ベ始メタ。食後疲レ気味ダッタノ
デ席ヲ立ッタトコロ、上席デナヲ食ベテイタ中尉ガ「オイ、見習士官
皆ガ食ベ終ラナイノニ席ヲ立ツトハ失礼ダロウ」ト大声デ
タシナメテキタ。私ハ食堂ノルールト言ウヨリ、将校集会所ノルール
ヲ忘レテイタ。「ハイ、失礼イタシマシタ」ト敬礼シテ席ニツキ、
食ベ終ワッテ上官ガ退室シ終ワルマデ、疲レ気味ノ姿勢ニ
耐エテイタ。
「何ヲ上官ブッテ病院内マデ」、ト内心不快ナガラモ、「ココハ軍ノ
病院ナンダ」 ト反省シテイタ。
体力ノ回復モ順調トナリ、青島（チンタオ）市内ヘノ外出モ二度ホド
アッテ、美シイ青島（チンタオ）ノ町ノ散策ヲ楽シンダ。
昭和十八年七月一日退院トイウコトニナッタガ、負傷入院時ノ血ダラケ
ノ見習士官ノ服ヤ母カラ送ラレタ千人針等ハドウナッタノカ、服ニ
関スル記憶ハナク、退院時ノ軍服ハ原隊カラ届ケラレテイタ。
汽車、自動車ノ連絡便デ久方ブリニ帰隊、大隊本部及ビ中隊ヘ
帰隊報告、軍医ヘノ挨拶ヲシタガ、ソノ夜カラ発熱軍医ノ世話ニ
ナツテシマッタ。私ノ伝令ガ、私ノ死亡ヲ予想シタラシク、入院中
私物ノ将校行李ヲ開キ、中カラ預金通帳、印鑑ヲ持チ出シ部隊本部経
理部デ現金ヲ引キ出シテイタコトガ判明シタ。ソノ金ノ使途ヲ問イ
詰メタ所、支那娘ヲ買イ、匿（カクマ）ウ家ヲ借リテ通ッテイタラ
シイ。残金ノナイノニ腹モ立ッダ、命ガアッタノデ腹モ立ツノダ、表
沙汰ニシテモ致シ方ナイ、 イクラズツデモヨイカラ「返金シロ」・
46:空中空母
16/07/05 06:42:17.28 sR0k86Xdj
残金ノナイノニ腹モ立ッダ、命ガアッタノデ腹モ立ツノダ、表沙汰ニシ
テモ致シ方ナイ、 イクラズツデモヨイカラ「返金シロ」ト言ッテ、
中隊本部ニハ知ラセナカッタ。返金ハ一度カ、二度アッタヨウニ思ウ
ガコノ一等兵ハ三、四カ月後ニ転属シテイッテシマッタ。
帰隊後ハ、ケダルイ夏ノ熱発ツヅキデ、勤務ニハ耐エラレナイ熱発ガ
続キ、隊長以下静養スルヨウ言ッテクレタガ、快方ヨリ、苦痛ノ
悪化ダッタカラ、軍医ガ入院ノ必要ヲ説イタノデ、隊長モ了承、
再入院ヲセザルヲ得ナカッタ。帰隊後僅カニ、四十二日ノ八月十二日
申告後、連絡便ノ自動車デ高密站（駅）ヘ。列車デソシテ連絡便
自動車デ青島站（駅）ソシテ連絡便自動車ニヨリ、左胸部貫通銃創
胎後症（当時ハ後遺症トハ言ワナカッタ）デ青島陸軍病院ヘ再入院
シタ。軍医、看護婦ヲハジメ勝ッテ知ッタ再入院ニ将校病棟ノ大部屋
ダッタガ、深刻サハナカッタ。熱発モ収マツテ体力回復ノタメノ静養
ノ日々デアッタ。青島陸軍病院ハ青島市ノ北郊、田舎ニアッタガ、
日曜日邦人タチガ数十人見舞イニキテイタ。前線デ貰ッタ小学生ノ
慰問文ニ返事ヲ出シ、町名ト名前ヲ覚エテイタガ、日曜日外出日ニ
尋ネテミタラ、親切ナ町内会役員ラシイ人ガ探スコトヲ約束、ヤガテ
探シ出シテ教エテクレタノデ、ハガキヲ出シタラ、次ノ日曜日ニ
大柄ナ女ノ子ガ、姉サンラシイ娘サン付添イデ花束ヤ手製ノ菓子ヲ
持参、見舞イニ来テクレ、遊ンデ帰ッタ。顔ノ真ッ黒ニ驚イタロウガ
私ニトッテハコノ小学生姉妹ノ花束ヤ菓子ハ感激デアッタ。ソノ
小学生ノ女ノ子ハ、ソノ後隔週毎ノヨウニ見舞イニ来テハ遊ンデ
行ッテクレタ。美シイ子ダッタシ、ウチトケルヨウニナッタ。
外出ノ折リニ、ソノ子ノ小学校ヤ家ヲ一度オ礼ニ尋ネタコトモ
アッタ。小学校ノ隣ノ高等女学校ノ制服姿ノ美シサニ感激シタコト
モ覚エテイル。
昭和十八年十一月三十日現役満期。十二月一日任陸軍少尉、
予備役編入同日臨時招集、補独立歩兵第二十大隊附キト言ウ身分上ノ
命令ニヨル変化ガアッタ。昭和十八年十二月二十二日治癒退院、
軍医、看護婦、入院中ノ将校等ノ歓送ヲウケル。・・・・・
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16/07/08 05:41:50.40 fuu4cXQ1T
身分上ノ命令ニヨル変化ガアッタ。昭和十八年十二月二十二日治癒退院
軍医、看護婦、入院中ノ将校等ノ歓送ヲウケル。
「死ナナイデ」ト言ッテクレタ看護婦タチノ言葉ガ印象的デアッタ。
汽車ノ中デ同ジ部隊ノ公用出張帰リノ下士官ト一緒ニナッタ。
吾々ガ乗ッタノハ国際列車ト通称サレテイルモノデアッタガ、日本ノ
グリーン車輛相当の車両にハ支那役人ヤ上流人種ガ一緒ダッタ。
混ミ合ウ通路ニ立ッテイタ他部隊ノ下士官ガ、時計ヲ掏ラレタノニ
気付キ、通路ヲ離レテイク、支那人ノ中年ノ男ヲ、
人混ミヲワケテ捕ラエ、ドナリナガラ殴リツケテイタ。後ロノ下士官
モ「アイツダ」ト大声ヲアゲテ近寄ッテイッタ。シカシ、ソノ
掏ッタ男ハスデニ別人ニ渡シタラシク持ッテイナカッタ。間モナク
同乗中ノ支那人ラガ何ヤラ騒ギタテ始メタ。他部隊ノ将校ガヤガテ
「オイヤメトケ」ト言ッタノデ、渋々殴ルノヲヤメタガ時計ハ掏ラレ
ジマイデアッタ。同乗支那人ガ騒ギタテタノハ、掏ッタ人物ヘノ同情
ト殴ルコトヘノ非難トミラレタ。同行下士官ガ、掏ッタコトヨリ
彼奴（キヤツ）ノ面子（メンツ）ヲ多勢ノ前デツブシタト非難シヤガ
ルノダ、ト教エテクレタ。
面子ヲ重ンジル国民性トハ聞イテイタガ、犯罪行為ヨリモ面子ヲ他人
ノ為ニカバイ合ウノニ呆レタノデ、今ニ覚エテイル。
退院後モ左胸部貫通銃創胎後症（後遺症）ノ熱発ハ続キ、ケダルイ
半病人生活デアッタ。
私ノコノ後ノ勤務ヤ運命ハスベテコノ胎後症（後遺症）ニ起因シテ
イタ。幸カ不幸カワカラナイ。復員後モ胎後症ノ熱発ハ時々ブリカ
エシテイタガ、医療対象ニハナラナイモノデアッタ。
受傷後十五年モ経ッタ頃、背中カラ黒光リノ弾ノヨウナ物ガ落チタ。
金槌デ、貫通ダカラ弾デハナイダロウト思イナガラタタイタラ、粉々
ニナッテシマイ、血ノ塊ガ押シ出サレタモノデアッタ。
コノコトガアッテカラ、雨ヤ曇リノ天気予報ガデキルヨウニ疼イタリ
季ノ変ワリ目、暑さ、寒サ、疲労等々ニ必ズ板ヲ打チツケラレテイル
ヨウニ痺レル鈍痛ヤ熱発ハ軽クナッタ。シカシ受傷カラ五十余年ノ・
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16/07/11 06:05:14.49 CuDH7eNsc
季ノ変ワリ目、暑サ、寒サ、疲労等々ニ必ズ板ヲ打チツケラレテイルヨ
ウニ痺レル鈍痛ヤ熱発ハ軽クナッタ。シカシ受傷カラ五十余年ノ今モ
サムサ、暑サ、疲レニハ疼キ続ケテイル。傷跡トコノ疼キハ、私ノ
生涯ニ消エルコトモナサソウデアル。ソシテ、戦争トイウモノヲ許ス
コトハデキナイデアロウ。
＜黄河鉄橋警備 中洲の幕舎生活＞
昭和二十年（千九百四十五年）一月五日、我々ノ小隊ハ、河南省京漢線
（現京広線）黄河鉄橋対空警備ノタメ鄭州市黄河南岸覇王城ノ
野戦高射砲第七十四大隊配属ヲ命ゼラレ、開封站ヲ後ニシタ。隴海線
（リョウ［ウネ田畑ノウネ・丘］カイセン）ヲ西北進、思イ出モアル
新郷站ニテ京漢線ヘ乗リ替エ、黄河南岸站覇王城ヲ経テ、北支派遣
甲第七八三一部隊（高射砲大隊）ニテ申告、樋口隊（「タニ」
「ヒ」）トシテ鉄橋上流ワ百メートルホドノ中州ニ幕舎二ツ設営、
雪中ノ対空警備ニツイタ。射撃用ノ陣地、個人用ノ防空壕ハ
二、三日中ニ数カ所ヲ配備シ終ワッタ。
鉄橋の長さ 三，九九五メートル、高サ五〇メートル、北站（駅）、
南站（駅）ノ寒駅ガアリ、北岸ハ平原、南岸ハ比高百メートル程ノ
給料ガ東方近クニ終ワリ、鉄路ガ続イテイタ。中洲ノ長サ二キロ弱、
鉄橋ノ上流百メートル程マデ続き、幅ハ五百メートル程、南岸ヘ
丸太橋ガ架ケテアリ、細流ガ数条アッタガ、本流ハ北側、二千数百メ
ートルニ見エテイタ。高射砲大隊ノ本部ヤ主力宿舎ハ、南岸丘陵北麓
黄河ニ面シテ穴居。 小隊ノ飯上ゲハ三食共、穴ノ中ノ炊事場カラ
運ンデイタガ、川風ヤ吹雪デ危険性モアッタ。北岸ニハ迫撃砲隊、
橋上ニハ機関砲隊ガ配備、高射砲隊陣地ハ南岸丘陵上ニ配備シテイタ
支那戦線ノ兵器ガ皆ソウデアッタガ、ココノ高射砲モ射程
八千クラスノ旧式デ、十門位アッタラシイ。各地ヘ転戦シナガラ、
機会ガアッタラト密カニ憧レテイタ大黄河ノ流レ、ソノ水ハ名ノ如ク
冬デモ夕立雨ノ後ノ濁流ノヨウニ、上流ノ黄土層ノ土ヲ流シテイタ。
流水幅ハ三キロ前後、流速ハ三メートル弱大河ノ貫禄タップリニ
千古ノ水ヲ流シ、人間ドモノ儚イ（ボウ・ハカナイ）闘争ノ歴史ヲ・
49:空中空母
16/07/15 09:02:38.84 htmS5aLF7
流水幅ハ三キロ前後、流速ハ三メートル弱大河ノ貫禄タップリニ千古ノ
水ヲ流シ、人間ドモノ儚イ（ボウ・ハカナイ）闘争ノ歴史ヲ黙視シナ
ガラ、東方ノ地平線ノ果テニ消エテイタ。
鉄橋爆破ニ来襲スルノハ、上空カラ鉄橋ガ狙エルヨウナ晴レタ日ニ
限ッテイタ。基地ハ西安デアッタラシイ。黄河沿イニ東進シ、
進行方向ヲクラマシナガラ、、時ニ南岸カラエンジンヲ止メテ音モ
ナク進入シテクルコトモアッタガ、多オクハ北方ヲ迂回、鉄路沿イ
ニ音モナク進入シテキタ。
鉄橋ニ並行進入、直角進入、並行進入投弾後直角方向ヘ旋回ナドガ
アリ投弾スレバエンジンヲカケテ急上昇スルノガ普通デアッタ。
来襲ハ基地カラ数時間ラシク、大方ノ来襲時間帯ハ、十一時カラ
十五時頃ノ間デアッタ。基地ヲ飛ビ立チ黄河沿イ コースニ入ル頃
カラ、ソノ進行方向、編隊機数、機種ナドノ情報ハ逐一本部ニ
打電ガアリ、吾々ニモ有線電話デ流サレイタ。敵ノ爆撃機、戦闘機ハ
大体高度ハ五百メートルカラ千メートル前後デ、エンジンヲ止メテ音
モナク進入、二百キロ級爆弾五・六発ヲ投下、エンジンヲカケテ
急上昇南岸丘陵カ西方丘陵 スレスレニ飛ビ去ルノガ例デアッタ。
吾々ノ重機関銃ハ大方射程外ノタメ射撃スルコトハ稀デアッタガ、鉄
橋ニ近イ方ノ陣地カラハ射撃スルコトモアッタ。射程ヨリモ興奮カラ
デアッタカモシレナイ。雪ノ中州デノ警戒ノ日々、来襲ガアレバ
ブッ放シタクナル。コレハ生理デアリ、精神衛生上時ニハ トイッタ
感ジデアッタ。中洲ニモ陣地ガアルトイウトイウコトヲ知ラセル意味
ノ効果モアッタワケデ中洲上ヘ向カッテ旋回スル敵機ハナカッタ。
高射砲陣地ニハ丸太ヲ塗装シタ実物大模型ガ、実物ノ三倍クライ陣地
ヲ造ッテイタ。来襲毎ニ写真ヲ撮ラレテイルノデ、模型ニモ、兵ガ
付キ、動カシタリ発煙シタリ、陣地移動ヲヤッテイタ。
高射砲ニハイツモ弾ガ込メテアルガ、第二発目ヲ発射スルニハ二十秒
余リヲ要スル。弾速ノ秒数ヲ入レルト三十秒カカッテ目標ニ達スル
ノデ飛行機ハコノ間数キロ飛ンデシマウカラ一発勝負、『命中ナンテ
マグレデスネ』ト言ッテイタ。破裂有効半径百メートルハ・・・・
50:空中空母
16/07/18 05:40:13.33 ccn1pS6zv
弾速ノ秒数ヲ入レルト三十秒カカッテ目標ニ達スルノデ飛行機ハコノ間
数キロ飛ンデシマウカラ一発勝負、『命中ナンテマグレデスネ』ト
言ッテイタ。破裂有効半径百メートルハアルカラ、命中シナクトモ
効果ハ期待デキルモノノ、高度八千以上ニハトドカナイ。マア接近サ
セナイダケノ効果中心ト、予想ヨリ悲観的ナ話デアッタ。爆弾ガ鉄橋
ニ命中シタコトハナカッタガ、二百キロ クラスノ爆弾数発ノ爆風ハ
強烈ナノデ敵機ガ去ッタ後必ズ橋脚ヤ線路ヲ綿密ニ点検、汽車モ徐行
シテイタ。隊ノ陣地ハ土嚢ヲ厚ク築イタ掩体壕中デアッタガ、個人、
兵器、弾薬、ノ掩体壕モ大小蛸壷式ニ作リ、分散シテイタ。
爆弾ノ爆風ハ凄マジク、投下ヲ見ルト必ズ瞬時ニ、目ト耳ヲ両手デ
押サエ、掩体壕内ニ上半身ヲ伏スノデアル。
ソウシナイト、目ガトビダシ、鼓膜ガ破レテイマウノデアル。ナオ
爆風ニヨッテ「ドッ」ト砂ガ崩レ膝、時ニハ胸近クマデ埋マッテシ
マウ。マタ爆風ニヨル砂ニ顔ヲ殴ラレ、顔ガ硬直スル。後方陣地ノ
兵ガ必ズ円匙ヲ持ッテ掘リニキテクレル。
腰ヤ胸近クマデ埋ッタ場合ハ呼吸困難ヲ来タスノデ、深ク埋マッタ
方カラ先ニ掘ル。膝マデ埋マッタ者デモ自力デハ仲々出ラレナイノデ
掘ッテ貰ウコトニナル。敵機ノ爆弾投下毎ニコレヲ繰リ返スノデ
アル。機関銃ハ毎朝各陣地ヘ取リ付ケ、警報時以外ハ吹雪ヤ風、砂ヲ
除ケテ覆イヲカケテオク。夕方ハ幕舎ヘ持参スル。
無人ノ中洲ダガ昼夜ノ立哨ハ続ケテイタ。朝モヤ カ夕方、低空デ
司偵（司令部偵察機）ガ「ユックリ」ト通過スルコトガアル。正月ノ
慰問袋ガ珍シク配給ニナッタガ、中ハカビノ花盛リ。小学生ノコロ
慰問文ヤ絵ヲヨク書カセラレ、満洲ノ兵隊サンニ送ッタコトヲ思イ
出シテイタガ、山東省駐留ノ時、青島市日本人小学校カラ
慰問袋ヲ送ッテ貰イスグニ礼状ヲ出シタ。
当時、内地カラノ慰問文ヲモラッタ老 島崎少尉ガ二度目ノ慰問文ニ
写真ヲ送ッテ下サイトアリ、慰問文ノ主ハ女学生デ、少尉ダカラ若イ
ト思ッテイルニ違イナイ。「ロートル」ノ写真デハ可哀想ダカラ、ト
私ノ同期ノ少尉ノ写真ヲ返信シタト聞イタ。ソノ写真ノ彼ハソノ後・
51:空中空母
16/07/21 06:09:38.71 b9nPzCqS/
「ロートル」ノ写真デハ可哀想ダカラ、ト私ノ同期ノ少尉ノ写真ヲ返信
シタト聞イタ。ソノ写真ノ彼ハソノ後戦死シテシマッタ。
三月下旬、私ハ母カラノ金釘流ノ鉛筆書キノ便リヲ受ケ取ッタ。中
ニ、一月二十七日ニ祖母死亡ノコトガアリ、大キナショックニ沈ンデ
シマッタ。当時内地カラ我々ノ戦線ヘノ手紙ハ一カ月半位ヲ要シタコ
トガワカル。婆チャン子ダッタ私ハ、幕舎ノ外ノ雪原デ泣イタ。
祖母死去ノ日ノ日誌ヲ見ルト、ソノ日ハ曇天デ、十数人デ見カケタト
イウ牛ヲ追ッテ、中洲ノ西、上流ノ果テマデ探シ遂ニハイナイコトニ
ナッタ日デアッタ。祖母ハ明治十年丑年生マレデ、名ヲ「ウシ」トイ
ッタ。死ンデ既ニイナイ祖母、イルハズノナイ牛ヲサガシタ日ノ偶然
ヲ思イヤッテ、語呂合ワセトハ思イナガラモ、地上カラ消エテユク
祖母ヲ追ッテイタコトノヨウニ、ソノ不思議ヲ思イ続ケタ日ノ記憶
ガアル。 ＜一度ダケノ敵機撃墜＞
雪ノ中ノ幕舎二穴居、無聊（ムリョウ・退屈ナコト）ノ生活ヲ繰リ
返シテイタ。或ル日、命令次第、敵機影ヲミナクトモ、高度五百カラ
千メートルヲ目標ニ弾幕ヲ作ル旨ノ指示ガアッタ。忘レモシナイ
昭和二十年三月十日、日本時間十三時ゴロ北方カラ ノースアメリカン
ビー二十五 二機、鉄路上南下ノ情報ガ入リ、爆音ガ微カニ風間ニ
聞コエルヨウダッタ。⇒⇒
※ノースアメリカン ビー二十五爆撃機 動力 ライト製 アール
－ 二六〇〇サイクロン（一七〇〇馬力）×二 乗員六（内訳操縦二
航法・爆撃手一、回転銃座・機関士一、無線・側面銃座一、尾部銃座
一、）全幅二十、六メートル、全長十六、一メートル、
自重九、五八トン、最大全備重量十九トン、最大速度
時速四百四十二キロメートル、航続距離四、三〇〇キロメートル
上昇限度七、六〇〇メートル、武装 十ニ、七ミリ機銃×十二
機首ニ対艦攻撃用七十五ミリ砲一 爆弾 一、四四トン
（一千四百四十キログラム）
①昭和十七年（一九四ニ年）四月十八日どーリットル空襲 航空母艦
ホーネットカラ飛ビ立ッタ十六機ノビー二十五ガ日本本土ヲ初空襲シタ
52:空中空母
16/07/23 06:04:23.65 HoQVjkkM7
①昭和十七年（一九四ニ年）四月十八日ドーリットル空襲
航空母艦ホーネットカラ飛ビ立ッタ十六機ノビー二十五ガ日本本土
ヲ初空襲シタ飛行機トシテ知ラレテイル。
②昭和二十年七月二十八日 ニューヨーク エンパイアステートビルニ
衝突シタ飛行機デアル。
⇒⇒命令指示通リ北站カラ射撃ガハジマッタ。陣地ヘノ旗ヲ振ッテ
射程距離ニカマワズ射撃ヲ命ジタ。又、兵ニハ各壕ニ速ヤカニ入ルコ
トヲ命ジ、自ラモ壕ニ入ッテ鉄橋ノ空ヲ見テイタ。射撃開始後一分足
ラズニ爆音ヲ消シタ二機ガ北方カラ、低空進入シテキタ。鉄橋上へ
進入スルト見ルマニ弾幕ニ入リ片翼カラ火ヲ噴キ、鉄橋上北站ヨリ
三分ノ一位ノ所カラユータウン、北岸ノ川岸ニ火達磨トナッテ落チタ
他のノ一機ハ高度ガ高ク、エンジンヲカケ、橋ノ中程カラ東方川下ノ
方ヘ旋回、消エテイッタ。
射撃は止み、「万歳」ガ各所カラ一斉ニ起コッタ。「万歳」トハ
コンナ時ノ言葉ト痛感シタ。背飛ビ上ガリ、小躍リシ、雪の中ニ獣ノ
ヨウナ喊声ヲ上ゲテイタ。敵機ハ、弾ノ爆スル音、ガソリンノ爆発音
等ヲ轟カシナガラ、午後ノヒヲアビテ燃エツヅケテイタ。
対空部隊ノ喜ビハ雪原ニ踊リ続ケテイタ。四時頃火ハ消エ調査ガ始マ
ッテイタ。分隊長ト兵四名ヲ見学ニ派遣シタ。三月十日ハ
旧陸軍記念日デモアッタ。夕食ハ、トッテオキノ赤飯ト酒ガアガリ、
兎料理モハジマッテハジマッテイタ。分隊長ノ報告ヲ全員デ聞キ乾杯
宵ヲ徹シテ祝ッタ。分隊長ノ話ノ中デ覚エテイルコトハ、七十五ミリ
砲ガ（ノースアメリカン ビー二十五双発爆撃機ハ対艦攻撃用ニ
七十五ミリ砲ヲ機首ニ搭載シテイタ）焼ケテイタコト。機関砲五、
搭乗員五人ラシイコト、完全ニ燃エテシマッタガ川岸ニ、スリッパノ
片方、少シ離レテ、トランク一、トランクノ中ニ女ノ写真、
女ノ下着（シュミーズナドトイウ言ウ言葉ハナカッタ）、猿又
（パンティ）等ノアッタコト、釣竿ラシイモノ一、ナドデアル。
『アメ公スリッパデ爆撃デスネ。』ト言ッタノハ分隊長デアッタ。
『女ノ下着ヲ飛行機マデ持参トハ、アメサンラシイ、オ守リノワケ・・