21/08/29 09:09:05.20 FkoAfY+T.net
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エヴェレットは、実在そのものの似姿である波動関数の決定論的時間進行として、量子力学を解釈できる道を示した。そのために彼が払った代償は、限りなく分岐して数を増やす途方もない多世界という存在論的怪物であった。エヴェレット自身怪物の存在にすこし気を病んだのか、彼自身は自分のメタ理論を「量子力学の相対状態による定式化」と呼んで、その後に拡まる呼称「多世界理論」「多世界解釈」を用いることは決してなかった。
量子力学の登場とともに一時ゆらいだかにも見えたラプラス的一元論的実在論は、数の増え続ける並行多世界という途方もない存在論を伴ってではあるが、現在揺るぎなく復活を遂げたという意見も物理学者の間で有力である。
量子力学のコペンハーゲン解釈は今でも正統派の位置にあり、それが含意するのは、波動関数を実在全体の記述とは見なせないという事であり、畢竟量子力学は世界全体の理論ではあり得ないということである。さらには、量子力学の非実在的な解釈には極めて主観的主義な「情報理論的」「認識的」分派があって、そこでは物理学の役割は厳格に限定的、実用主義的に解釈されている。