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●「架空の映画への試み―第三次世界大戦演出記―」堀川弘通※
(藝術新潮 昭和35年9月号)より
特殊技術はあくまで特殊技術で、それには明らかに限界がある。それらしく
見せるというのが精一杯で、特殊技術を過信すると『宇宙大戦争』というような、
お子様向き冒険漫画映画が出来上がる。
特殊技術の宿命的欠点は、いかに本物らしいものを作っても、それがミニチュ
アである限り本モノには見えないという点である。結局は質感の問題だ。
20分の1の軍艦はどんなに精巧なものでも模型であり、どんなに精巧な波起
こし機を作っても実際の波を作ることは難しい。要は特撮を出来るだけ量少なく、
効果的に、ロケ、或いはセット撮影の中に挿入するかという問題が、我々の架
空映画の場合、最も深刻で現実的な課題となってくるのである。(以下略)
※堀川は当初「第三次世界大戦」(後の『世界大戦争』松林宗恵監督)の予定
監督だった。