04/02/18 02:06 aN+MuQBQ.net
作品の意図としてはあったのかどうかしらないが、
一種の暗喩がちりばめられているように思えた。
武は軍国少年。名前のとおり。
戦前の素朴な日本だ。
勉強部屋に山本五十六の写真を張っている。
「あ、戦艦陸奥かあ。いいなあ」
とバックルを見る冒頭の場面はいじらしい。
進二はリベラル的な良識優等生。
武に支配されていた子供達だが、
時期が19年も押し迫って敗色濃くなった頃、
(名前は忘れたが)、頭のいいクラスの優等生が帰ってくる。
こいつがルームメイトをけしかけて武を追放する。
政治的な実に陰湿なやり方だ。
(戦前、戦後の変化を予想させる)
こういう人物は労働組合運動などで、
左翼的なオルグにたけた人物。
現実の社会生活の中にもよくいる存在だ。
戦後、急に威張りだした左翼人士を思い浮かべた。
貧しい家に生まれた武はけなげに妹の守をしながら、仕事を手伝い
勉強する。戦前の奉公、滅私、節制という価値観を具現している。
その武のいた、苦しかったが古き良き戦前の時代。
あのトンネルに入って武と別れるシーンは、日本人が永久に失った
別世界だった。・・・
公開当時は確か昭和天皇が崩御し、マスコミなどでは
とたんに「戦争責任」ブームが湧き上り、戦前=悪
というイメージが作られていた。
そんな中でよく作ったと思った。