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軍事研究否定、見直し検討 年内に見解
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日本の科学者の代表機関「日本学術会議」は、戦後堅持してきた軍事目的
の研究を否定する原則の見直しに向け検討を始めた。20日の幹事会で、「安全
保障と学術に関する検討委員会」の設置を決定。政府が軍事用にも民生用にも
使うことができる「デュアルユース(軍民両用)」技術の研究を推進する中、「時代に
合わない」との意見が出てきたためだ。第二次世界大戦で科学者が戦争に協力
した反省から導かれた教訓が見直される可能性が出てきた。
学術会議は1950年の総会で「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」
とする声明を決議。その後、日本物理学会の国際会議が米軍から補助金を受けた
ことが問題となり、67年の総会でも改めて「軍事目的のための科学研究を行わない」
との声明を出した。
しかし、昨年度から防衛省が防衛装備品に応用できる最先端研究に資金を配分
する「安全保障技術研究推進制度」を始め、大学などの研究9件が対象に選ばれた。
今年度から始まった国の「第5期科学技術基本計画」でも関連技術の研究開発
推進が盛り込まれた。ロボット分野などで従来の原則に従うと研究を進めにくくなるとの
指摘もあり、幹事会は防衛省や文部科学省の担当者から意見を聴取し、検討委の
設置を決めた。
検討委の委員は、会長の大西隆・豊橋技術科学大学長や山極寿一・京都大学長
ら15人。軍事研究の線引きや防衛省からの研究資金受領の是非などを議論し、年内
に見解をまとめる。検討委は公開し、見直しに慎重な立場の会員もいるため、意見を聞
く場も設ける。
大西会長は「戦争を目的とした科学研究を行うべきでないとの考え方は堅持すべきだが、
自衛のための研究までは否定されないと思う。周辺環境が変わっており、長年議論もない
ことはおかしい。科学者は何をやってよくて何をやってはいけないのか、議論を深める時期に
来ている」と話す。【千葉紀和】