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かっぽう着のリケジョ」に見る若手研究者の育て方‐渡辺敦司‐
URLリンク(benesse.jp)
簡単な作業であらゆる細胞になる万能細胞の一種「STAP細胞」を作製して世界を驚かせた
独立行政法人理化学研究所(理研)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)
は、かっぽう着姿の「リケジョ」(理系女子)としても注目を浴びました。そんな小保方さん
の経歴を見ていると、個人的に優れた資質・能力の上に努力を重ねたということはもちろん、
近年進められてきた教育・科学技術改革がうまく後押しした側面もあったようです。
小保方さんが2002(平成14)年に早稲田大学理工学部応用化学科(当時)に入学したのは、
AO入試の一種である「創成入試」(同)の1期生としてでした。AO入試は学力不問入試など
と批判されることも多いのですが、やり方によっては「とんがった学生」(学部時代の
指導教員だった常田聡教授)を選抜できる入試改革であることの証明でもあるでしょう。
(略)
博士課程進学と同時に日本学術振興会の特別研究員となったのは、若手研究者を支援する国の
政策によるものです。さらに今回の成果に直接つながるハーバード大学への留学は、国際的に
卓越した教育研究拠点を作ろうとする文科省の「グローバルCOEプログラム」(当時)に採択
された早大「『実践的化学知』教育研究拠点」の支援によるものでした。
2013(平成25)年からは理研のユニットリーダーに抜擢(ばってき)されるのですが、研究室
のスタッフ5人は全員女性です。これは単に女性の登用を進めようというだけでなく、性別や国籍
などの多様化を進めることで研究にも新しい発想と成果を生み出そうという「ダイバーシティー
(多様性)」という考え方が反映していると言えます。
過去に世界的な科学雑誌『ネイチャー』に論文を投稿した際に「細胞生物学の歴史をばかにして
いる」とまで酷評されるなど「泣き明かした夜も数知れない」(小保方さん)窮地に対して、その
つど国内外のトップ科学者から支援があったのは「人間力の高さがあったからではないか」と
常田教授は評しています。これから研究者を目指すリケジョはもとより男子学生にとっても、
小保方さんの軌跡から学ぶことは多いのではないでしょうか。