20/04/04 00:31:19 cI96Il6d.net
なあ、お前と飲むときはいつも白○屋だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
俺が公務員浪人生で、お前が月20万稼ぐ信金マンだったとき、
おごってもらったのが白木屋だったな。
「俺は、毎晩こういうところで飲み歩いてるぜ。金が余ってしょーがねーから」
お前はそういって笑ってたっけな。
俺が就職して公務員になって入社して初任給19万だったとき、
お前は月25万稼ぐんだって胸を張っていたよな。
「毎晩残業で休みもないけど、地域のためなんだ!」
「後輩どもにもこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」
「俺はいろんな会社の社長と知り合いなんだぜ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、白○屋だったな。
あれから20年たって今、こうして、たまにお前と飲むときもやっぱり白○屋だ。
ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。
別に安い店が悪いというわけじゃないが、ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。
油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない。
なあ、別に女が居る店でなくたっていい。
もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物を出す店を
いくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは?
でも、今のお前を見ると、
お前がテカテカのスーツから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、
俺はどうしても「もっといい店行こうぜ」って言えなくなるんだ。
コロナで大変って聞いたよ。お前がストレスで体壊したのも知ってたよ。
新しい支店で、一回りも歳の違う、20代の若い営業に混じってカブカッパしてるのも、
使えない粗大ゴミ扱いされて、それでも必死に卑屈になって信金マン続けているのもわかってる。
だけど、もういいだろ。
20年前と同じ白木屋で、20年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。
そんなのは、隣の席で浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんだよ。