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★意識調査検証 「脱原発依存」の根拠にするな(8月30日付・読売社説)
将来の原子力発電比率などに関する国民の意識調査を都合良く分析し、脱原発に政策のカジを切る根拠に使うのは、あまりに乱暴ではないか。
討論型世論調査などの結果について政府の有識者会議が、「少なくとも過半の国民は、原発に依存しない社会の実現を望んでいる」とする総括案をまとめた。
これを踏まえ、政府はエネルギー政策の基本方針を近く決定する。
だが、世論の過半が「脱原発依存」だと結論づけた総括案は説得力に欠ける。
政府は意識調査の結果を過大評価せず、一定の原発利用を続けていく現実的なエネルギー政策を推進すべきである。
2030年の原発比率に関する「0%」「15%」「20~25%」の三つの選択肢のうち、
討論型やマスコミ各社の世論調査で0%と15%を選んだ割合を合計すれば7~8割に達する。「脱原発依存が過半」とした総括案の根拠だ。
とはいえ、「0%」以外を選んだ比率も、合計すると5~7割になる。一定程度は原発が必要と考える人も相当に多い。
有識者会議で「原発に依存しないというより、原発を減らしたいと解釈できる」との指摘が出たのはもっともだ。「脱原発依存」が多数派とは断定できまい。
さらに、討論型世論調査などの参加者には原発政策に進んで意見を言いたい人が多く、主張が脱原発に偏る傾向がある。
こうした数字をもとに、全国民の世論を推し量るのは無理がある。
有識者会議でも「討論型世論調査が国民全体の意見になるという実証的な検証はない」「比率をそのまま正しいと考えるのは危険」など、
数字の偏重を戒める意見が多く出された。(続く)
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