18/04/28 17:36:13.43 TMOOws9G.net
青春詩集 愛のあとさき 大川隆法
後世への最大遺物 (「社内報」1982.9・10月号より26歳)
私の尊敬する思想家に内村鑑三という人がいます。
時は明治27年、33歳の内村は、箱根山上にて青年たちを前に情熱を込めて人生のあり方を説きました。
これぞ世に有名な「後世への最大遺物」という演説です。
「私に50年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、このわれわれを育ててくれた山、河、
これらに私が何も遺せずに死んでしまいたくはない。
後世の人に私をほめてほしいのではない。しかし、ただ、私がドレほどこの地球を愛し、ドレだけこの世界を愛し、
ドレだけ私の同胞を思ったかという記念物をこの世に置いてゆきたい」
そう内村は自らの希望を語ります。
では後世への最大遺物とは何かを、内村はさらに青年たちに説いてゆきます。
「善いことのために金を残すことも、治水や探検等の大事業も、
あるいはまた、ロックや山陽のように時代を動かす思想を遺すことも、後世への遺物といえるかもしれない。
けれど金も、事業も、思想も、特殊な才能と運がなければ私たち一般人には遺せない」
ここで内村は生つばをごくりとのみ込むと一段と声を張り上げて語ります。
「それでは後世への最大遺物とは一体何であるか。それは、だれにも遺すことのできる遺物で、利益ばかりあって害のない遺物である。
それが何であるかならば、『勇ましい高尚なる生涯』である」
そう彼は結論づけます。
この内村鑑三の思想との出会いは、私の生涯にとって一大転機となりました。
当時大学生だった私は、清く、しかも無欲に生きたいと願う自分と、後の世に名を残すような何かをやってみたいという野心、
暗くメラメラと燃えあがるあの思春期独特の情欲にも似た成功願望に魅かれてゆく自分とが、日々相克を繰り返しておりました。