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碧巌録(へきがんろく) 第1則?達磨廓然無聖(かくねん むしょう)
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垂示(すいじ)
山を隔(へだ)てて煙を見て、早くこれ火なることを知り、牆(しょう・土塀(どべい))を隔てて角(つの)を見て便(すなわ)ちこれ牛なることを知る。
挙一明三(こいつみょうさん)、目機銖両(もっきしゅりょう)、これ衲僧家(のうそうけ)尋常の茶飯(さはん)。
衆流(しゅつる)を截断(せつだん)するに至っては、東湧西没、逆順縦横、与奪自在(よだつじざい)なり。
正当(しょうとう)恁麼(いんも)の時、しばらく道(い)え、これなん人の行履(あんり)の処(ところ)ぞ。
雪竇の葛藤(かっとう)を看取せよ。
注
挙一明三:一を挙げて三を知るような明敏さ。
目機銖両:目機は目で重さを量る。「銖・両」は小さな重量単位。
衲僧(のうそう):禅僧。
正当恁麼(しょうとういんも)の時:まさにこのような時
恁麼(いんも):このような。如是。
衆流を截断する:あらゆる知見・煩悩の流れを断ち切る。
葛藤:からみつく悩み。言語や言語表現のこと。
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現代語訳
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山を隔てた向こうの方に煙が立つのを見て、素早く火事だとを知り、垣根の向こうに角を見て牛が通っていることを知る。
このように一を見て三を知り、「銖」とか「両」のような僅かの重さもすぐ分かるのは禅僧にとっては日常茶飯事である。
また優れた禅僧はあらゆる知見・煩悩の流れを断ち切り東湧西没、逆順縦横、与奪自在の働きをする。
そのような自由な働きをする人とはどのような人だろうか。
ここに雪竇が提出する問題をじっくり見て参究せよ。