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今回の衆議院選挙で、共産党は公示前の10議席から8議席に後退した。
派閥の裏金問題など、自民が大幅に議席を減らす大きな要因を党機関紙「赤旗」が報じて存在感を示したが、比例得票数も減らした。
なぜか。専門家や元党職員は「党の閉鎖性に問題がある」と口をそろえる。【隈元悠太、宮城裕也】
「赤旗」がスクープを連発
投開票日の10月27日夜、田村智子委員長(59)は「赤旗」が自民党の裏金疑惑を掘り起こしてきたことを強調し、「共産党と赤旗が暴いた事実が選挙全体の情勢に大きく貢献している」とアピールした。
赤旗は2022年11月、自民党の主要5派閥が政治資金パーティー券の収入2500万円分を不記載にしていたと特報。「脱法的隠蔽(いんぺい)だ」と指摘し、裏金問題の先べんをつけた。
選挙終盤には、裏金で自民党公認を得られなかった候補者が代表を務める自民党支部に、公認候補と同額の2000万円が党本部から振り込まれていたとスクープした。
田村氏が言うように、共産党の問題提起、追及は自民党を単独過半数割れに追い込む逆風を吹かせた。だが、共産党への順風にはならなかった。
衆院選では8議席の獲得にとどまり、比例得票数も416万票だった前回の21年衆院選から19・3%減の336万票となった。
「日本共産党―『革命』を夢見た100年」の著書もある中央大学法学部の中北浩爾教授(政治学)は、党員の高齢化による組織の弱体化など複数の要因があると前置きしつつ、こう分析する。
「注目すべきは、れいわ新選組が躍進し、共産党の議席数を追い抜いたことです。両党には政策面の類似性があり、いずれも急進左派と位置づけられますが、組織のあり方は対照的です」
れいわの比例71・7%増
れいわ新選組は今回、公示前の3倍増となる9議席を獲得。比例得票数は前回の21年衆院選から71・7%増の380万票となった。
共同通信が実施した当日出口調査によると、10~30代の若年層の投票先で、共産党は2・8~3・3%だったのに対し、れいわは5・1~6・3%にのぼった。
「欧州の急進左派の主流は、現在、民主的社会主義政党となっています。例えば、スペインのポデモスやギリシャのSYRIZA(急進左派連合)といった政党は、反緊縮政策を掲げ、移民をはじめとする多様性をキーワードにしたポピュリズム的なアピールで人々を巻き込んでいます。れいわ新選組もこのくくりに入ります。障害者を候補者に立てて、演説会に幅広い層が集まり、対話する。これに対して、共産党は民主集中制を原則とし、画一的で閉鎖的な組織になっています」
共産党の抱える「閉鎖性」
中北教授が挙げる「閉鎖性」を象徴する出来事として、昨年から続く処分問題がある。
元共産党職員の松竹伸幸氏(69)=京都府=は、党首公選制導入などの党改革を主張。「共産党の内情がよく分かる」との触れ込みで、著書を刊行した。
共産党は「党の決定に反する意見を勝手に発表しない」とする規約違反や「党に敵対する行為」に当たるなどとし、松竹氏を除名処分とした。
3月の党大会では、この処分に疑義を呈した神奈川県議が糾弾された。8月には松竹氏の処分見直しを求めた福岡県委員会の議論をブログに記した元党職員の神谷貴行氏(54)=福岡県=も除籍処分となった。
除名・除籍の撤回や慰謝料の支…(以下有料版で,残り903文字)
毎日新聞 2024/11/27 05:30
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