24/06/14 07:21:32.77 tchSptPu0.net
「ああ、Sさん……」
行く手を阻んだ男たちの中に、顔見知りがいた。水谷は反射的に彼の名前を呟いた。
次の瞬間、水谷の視界に3冊の警察手帳が飛び込んできた。
「警視庁公安部です」三人が警察手帳を眼前に抱えていた。
「え、なんですか?」
「君が待ち合わせた男は来ない。話を聞きたいから一緒に来なさい」
顔見知りのSは、以前、内閣情報調査室に出向してきていた元公安警察官だった。
「公安部外事一課をなめるんじゃない。我々は君を1年間ずっと見ていたんだ。君のことはすべて知っている。全部喋ってもらうからな」
自国の組織内部にいる敵のスパイのことを「モグラ」と呼ぶ。
世界の諜報機関は、敵国に「モグラ」を養成しようと権謀術数を駆使している。また同時に、自国の組織内にいるかもしれない「モグラ」に怯え続けてもきた。