23/09/09 08:18:16.05 zo/Mb3wK9.net
2024年度当初予算の概算要求が巨額の借金頼みで過去最大に膨らむ中、税金などで設立した国の基金でも、管理費を支出するだけの「休眠基金」や、必要以上の余剰金を抱える基金など、ずさんな管理が問題になっている。残高は21年度末時点で計13兆円近くに上り、政府は「低調な執行が続く基金は意義や有効性に問題がある」(行政改革推進会議)とするが、見直しの動きは鈍い。白?大の藤井亮二教授(財政学)は、透明性を確保してチェック機能を働かせるための法整備の必要性を訴える。(聞き手・山口哲人)
◆補正予算で基金を積み増す背景
?基金の残高が膨れ上がっているのはなぜか。
「最近は補正予算で大盤振る舞いしており、大規模な予算で新たな基金をつくったり、既存基金へ積み増したりしているためだ。22年度第2次補正予算では基金だけで8.9兆円も計上された」
?基金になぜ補正予算を充てるのか。
「『規模は30兆円』とまず経済対策の額が示され、各省庁はそれに乗じて当初予算で削られた事業を再度盛り込むことがあるからだ。中長期的に必要な基金は当初予算に計上するのが本来の在り方なのに、要求額を満たすため、一刻を争うほどではない『研究開発』の基金に補正予算を積むなど、本末転倒の結果になっている。『補正予算は特に緊要な支出の追加』と定める財政法の趣旨を逸脱している」
政府が独立行政法人などに造成する基金について話す白?大の藤井亮二教授=東京都千代田区で
政府が独立行政法人などに造成する基金について話す白?大の藤井亮二教授=東京都千代田区で
?基金は複数年度にわたって機動的に支出できる利点もある。
「確かに、厚生労働省所管の『特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給基金』などは、当初予算時点で患者数を見込めず、ある程度の予算を確保しておく必要があるが、そうではない基金も多い。経済産業省の『国内投資促進基金』は21年度に事業費を375億円と想定したが、実際は36億円で90%も乖離かいりするなど、見込みが甘いものも見受けられる」
?他の問題点は。
「厳しい財政事情の中、終了予定時期が未定の基金が多数存在し、膨大な国費を積み立てている。事業をほぼ行わず、管理費の支出だけを続ける基金がかなりの数あることを考えれば、存続させている間、事務経費などの不要な経費を払い続けることになる」
◆基金のあり方、基本法が必要では
?所管省庁などは使途を適切に監督できているか。
「各府省は基金に予算を積むのは熱心だが、カネの効率的な使い方や適切な執行にまで関心を持ち続けていないのが実態だ。財務省は各府省の予算要求を査定するが、その後の直接的なチェックはあまり行われていない。会計検査院も基金に特化した検査は不定期で、常に一定の視点で追っているわけではない」
?どう改善すべきか。
「基金が設置された団体は事業の委託、再委託を繰り返すケースがあり、責任の所在が不明瞭になる上、透明性が確保されているとは言えない。基金を規定する法律もない。基金の在り方に関する基本法を制定し、『白書』を作成すべきだ」
藤井亮二ふじいりょうじ 1961年生まれ、山口県出身。慶応大法学部を卒業し、参院事務局に入局。在職36年間のうち28年間、予算などの調査業務を担う。参院予算委員会調査室長を経て2022年から現職。財政政策や予算制度、基金に関する論文を多数執筆。
東京新聞 2023年9月9日 06時00分
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)