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>>1の続き
一方、米国でのフェンタニルの流行とともに薬物過剰摂取による死者は急増し、米疾病対策予防管理センター(CDC)によると、2021年には10万7622人に上り、その約3分の2に当たる7万238人はフェンタニルによるものだという。
■致死量はわずか「食塩20粒程度」
2022年12月12日の有力紙ワシントン・ポストは、米国では2000年代初頭からの約20年間で、フェンタニルを含むオピオイドによって累計75万人近くの命が奪われたと報じた。また、連邦議会が行った分析では、オピオイドが米国のコミュニティー(地域社会)にもたらした経済的損失は2020年だけで、1.5兆ドル(約195兆円)に達するという。
このような悲惨な状況にもかかわらず、米国政府はオピオイドの蔓延を食い止めるための有効な解決策を見いだせていない。連邦麻薬取締局(DEA)は2022年にフェンタニルの粉末4.5トンと錠剤5060万錠を押収したが、これはなんと3億3190万人の「米国人全員の命を奪うのに十分な量」だという。
フェンタニルの最大の特徴は致死量が少ないこと。重さにして2ミリグラム、食塩で例えると20粒程度のひとつまみにも満たない量で体の呼吸機能をつかさどる脳細胞が損傷を受け、呼吸が停止して死に至る可能性があるということだ。