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上林陽治・立教大特任教授
非正規の図書館職員の女性がツイッターで始めた署名運動が話題を呼んだ。けれども地方の非正規公務員の実態はまだ十分に知られているとはいえない。
いつのまにか急速に
地方公務員の非正規化は急速に進んだ。図書館職員の例でいえば1987年の統計をみると1割が非正規で9割が正規だった。これが5年ごとに10%ずつ逆転し、現在は2割が正規で8割が非正規になっている(文部科学省調査より)。
これだけ急速に進んだにもかかわらずそのことが世の中ではあまり認識されていない。理由の一つは、非正規化を進めている人たちにとって不都合な真実だからだ。
地方公務員数のピークは94年の約328万人だ。そこから約15%、約48万人減って約280万人(2021年)になっている。しかし、その間、地方公務員の仕事はむしろ増えている。
生活保護受給世帯が増え、児童虐待も増えている。生活困窮者の自立支援、消費生活相談、DV相談など新しい仕事も増えている。国の政策に従って定員を減らしたが、仕事は増えるので正規を非正規に切り替えていったからくりがある。
政策としては仕事に対して人を付けることが普通の考え方だ。仕事が増えているのに人を減らすことが先に立っているためにひずみが生じ、それを埋めるために非正規が使われてきた。政策失敗の事例集に載せるべき事態になっている。
総務省が本格的に調査をしたのは05年になってからだ。92年には自治省(現総務省)の公務員部長が自治労の調査を使い、ひとごとのように「ある調査によると20万人いるらしい」(地方公務員月報)と言っている。自治体が非正規公務員に頼っている実態を認めた