23/02/05 14:04:13.02 Rg2qC0Sz9.net
香港/東京(CNN) 時吉秀弥氏(54)が英語教師としてのキャリアを東京でスタートしたのは、およそ30年前のことだ。
それ以降、同氏の給料はほとんど横ばいだった。そこで3年前、昇給への望みに見切りをつけ、本の執筆を始めることにした。
本を書いて売ることで新たな収入源を得ているのを幸運に思うと、時吉氏はCNNに語る。それがなければ賃金はいつまでも上がらなかっただろうとし、おかげで何とかやっていくことができたと振り返る。
時吉氏を含む世代の日本の労働者は、その職業人生を通じほとんど賃上げの経験がない。現在、数十年に及ぶデフレの後の物価上昇を受け、世界3位の経済大国は生活水準の低下という重大な問題の考察を余儀なくされている。企業もまた、賃上げへの強い政治的圧力に直面する。
岸田文雄首相が企業に強く求めるのは、従業員を支援して生活費の高騰についていけるようにすることだ。先月、岸田氏は企業にインフレの水準を超える賃上げを要請。一部企業は、既にこうした呼びかけに耳を傾けている。
世界の他地域と同様、日本でもインフレは主要な頭痛の種となっている。昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は前年同月比で4%上昇した。欧米に比べると依然として低いものの、日本国内では41年ぶりの高水準となる。国民が比較的慣れているのは、物価下落の方だ。
「名目賃金が30年以上増えていない国では、(インフレの)結果として実質賃金が相当急速に下がっていく」。ムーディーズ・アナリティクスの東京在勤シニアエコノミスト、ステファン・アングリック氏はCNNの取材に答え、そう指摘した。
先月発表された昨年11月の賃金は、インフレの影響を考慮した実質で、過去10年近くでの最大の下落幅を記録した。
長期にわたる問題
経済協力開発機構(OECD)によると、2021年の日本の平均年収は3万9711ドル。これに対し1991年は3万7866ドルだった。
つまり労働者の賃金上昇率は5%に満たないことになる。一方でフランスやドイツといった他の主要7カ国(G7)は同時期で34%の賃金上昇を記録している。
専門家らによれば、賃金の停滞には一連の理由がある。日本は長く、今とは真逆の問題に苦しんできたというのがその一つ。つまり物価の下落だ。90年代半ばに始まったデフレは、輸入コストを押し下げる円高と国内の資産バブルの崩壊が原因だった。
「過去20年間、基本的に消費者物価インフレには変化がなかった」。OECDで日本担当エコノミストを務めるミュゲ・アダレット・マクガワン氏は、そう指摘する。
その上で、現在まで消費者は財布に打撃を受けることがなく、賃上げを求める必要も感じていなかったと付け加えた。
しかしインフレの高まりを受け、人々は給料が上がらないことに対する強い不満を口にし始める公算が大きいと、東京大学の山口慎太郎教授(経済学)は予測する。
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