22/11/09 08:34:16.37 Jki6rSo50.net
シンガポール在住の兼元成嗣さん(59歳・仮名)は、ニュースを見て、目の前が真っ暗になった。
現在の日本の税制では、海外に財産を移し、本人と財産を受け取る子どもなどが5年間海外に住んでから贈与を行なえば、贈与税がかからない。
その「5年」が「10年」に変更される、というのだ。
IT関連で起業して成功。50代半ばで会社を譲り、株式公開で値上がりした自社株を売って大きな富を手にした。
資産額は約32億円。日本は税金が高い。必死に働いて資産を築いても、税金で半分取られてしまう。
一方、シンガポールは相続税も贈与税もない。株や不動産の値上がり益にも税金はかからない。日本からも近いし、インフラも整っている。
兼元さんは資産を守るために、移住した。
優雅に思えた海外暮らし……実態は帰国できる日を指折り数える日々
しかし、海外での暮らしは想像していた以上につらい。
妻は「日本以外には住めない」と言ってついて来なかった。娘は欧州に留学中だ。
金はあっても、やることがない。最初は美味しく感じたシンガポール料理も、毎日となると苦痛だ。
寿司屋など日本料理の店もあるが、高いし、日本のそこらの店のほうがずっとうまい。
シンガポールには、日本人のたまり場となっている飲み屋がたくさんある。
結局、毎日そこで過ごすようになった。
自分と同じように節税のために移住してきた富裕層もいるが、その多くが日本に帰る日を指折り数えて待っている。
移住による節税を指南してくれた税理士からは、「5年では駄目だ、1年は余分にいたほうがいい」と言われている。
5年ちょうどで帰国すると、「租税回避」と見なされて追徴課税される恐れがあるという。
楽しみは年に数度の一時帰国だが、それも多すぎると危ない。
「1年の半分以上、183日海外にいれば大丈夫だ」という話もあるが、税理士によればこれは俗説で、
「日本非居住者」かどうかは“生活実態などから総合的に判定”されるため、なるべくシンガポールにいろ、と言う。
あと2年半で日本に帰れる。そう思って耐えてきたのに、それが5年も伸びるとなったら……。
税金を余計に払ってもいいから、もう帰ろうか。兼元さんはそう思い始めている。