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兵庫県佐用町口金近で14日早朝、古い牛舎で飼われていた紀州犬が死んでいるのが見つかった。おなかのあたりに食いちぎられたような跡があった。牛舎の周辺にはクマの足跡があり、クマに襲われたとみられる。県森林動物研究センター(同県丹波市)は「外で飼育されている動物がクマに襲われた事例は、県内で聞いたことがない」とし、注意を呼びかけている。
クマに襲われたとみられるのは、畜産農家の田邊美代子さん(64)が長年、番犬として飼っていた雌の「はな」。はなの息子で、一緒に飼っていた「白豆」もおなかに大けがを負った。もう1匹の「茶豆」も牛舎にいたが、行方が分からなくなっている。3匹とも首輪をして鎖でつないでいたが、はなは首輪が外れ、茶豆は鎖が切れていた。
田邊さんがはなの死骸を見つけたのは14日の午前3時半ごろ。牛の世話に向かう途中だった。はなは犬小屋として使っていた牛舎から、道路を挟んだ草むらに横たわっていた。道路には血だまりと、はなの白い毛が残っていた。田邊さんは「ショックで3日ほど眠れなかった」と話す。
口金近地区は、ゴルフ場や別荘がある自然豊かな地域で野生動物がよく出る。クマも出るらしいが、住民は「外飼いの動物が襲われた話は聞いたことがない」「人が遭遇したら、と考えると怖い」などと不安げな表情を浮かべる。
「はなはいい番犬だったので、クマに立ち向かってやられたのでは」と語る田邊さん。「皆さんも注意してほしい」と、本紙「イイミミ」に連絡して紙面に掲載された。牛舎には電気柵を設置し、残った白豆は電気柵内で飼うようにしたという。
■ドッグフードや飼料、においが漏れないよう保管を
県森林動物研究センター森林動物専門員の野口和人さん(54)によると、クマは臆病な性格で、自ら人間や野生動物に近寄ることはあまりないという。ただ驚いたり、威嚇されたりすると、自己防衛のため攻撃行動を取ることがあるという。
同センターの調査では、クマの餌になる県内のドングリ類は今年、おおむね豊作だったが、クマは気に入った味に執着する傾向もあり、野口さんは「もしも獣の味を覚えた場合、クマが再び家畜を襲う可能性はゼロではない」と指摘。「ドッグフードや飼料はにおいが外に漏れないように保管するなど、クマが近寄らない工夫も必要」とする。(真鍋 愛)
神戸新聞
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画像 生き残った「白豆」。おなかなどに爪痕や手術の痕が残る=佐用町口金近
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