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ロシア極東サハリンでの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に外国企業が参加するのを引き続き認めるかどうか、全ての決定権を持つ運営会社をロシア政府が新たに設立する―。プーチン大統領が6月30日にこうした内容を記した命令に署名した。写真は2006年10月に撮影された、ユジノサハリンスク近郊のサハリン2プロジェクトのLNGプラント(2022年 ロイター/Sergei Karpukhin)
サハリン2、ロシア側に無償譲渡 プーチン氏が大統領令 出資の三井物産と三菱商事、新枠組みで排除も
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ロシアのプーチン大統領は6月30日、同国極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の運営をロシア側が新たに設立する法人に移管し、現在の運営会社の資産を無償譲渡するよう命じる大統領令に署名した。同事業に日本から参加する三井物産や三菱商事は今後、運営の枠組みから排除される可能性が出てきた。
大統領令は新たな運営主体としてロシア側が設立する有限法人を指定。三井物産や三菱商事が出資する現在の運用主体であるサハリンエナジーから、すべての資産や従業員、権利関係を引き継がせる。
サハリンエナジーの外国株主は新しい有限法人の株主として参加できるが、ロシア当局から提示された条件に同意することが前提だ。条件をのめなければ、日本の商社はサハリン2への関与を失うことになる。
大統領令によると、外国企業はロシア政府が新会社を設立してから1カ月以内に株式取得に同意するかを通知する必要がある。出資継続が認められない場合はロシア政府が定めた基準を満たすロシア企業に株式が売り渡される。
契約はロシア法に基づいて実施し、係争が生じた場合はモスクワの仲裁裁判所で審議するとも明記した。プーチン政権は2020年の憲法改正で、国際法に基づいて国際機関が下した決定がロシア憲法に反する場合は履行しないとして、自国憲法を優先すると定めた。同国憲法は大統領令による幅広い権限行使も認めている。
現在の運営会社サハリンエナジーには、ロシア国営ガス会社ガスプロムが約50%、英シェルが約27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資する。サハリン2の液化天然ガス(LNG)生産量は年1000万トンで、うち日本向けは約600万トン。日本のLNG輸入量の約1割を占める。
三井物産は1日午前、「事実関係を確認中としかいえない」とコメントした。サハリン2は6月30日時点でもLNGを生産しており、日本への輸出も続いている。日本の電力会社や都市ガスはサハリンエナジーと10年単位の購入契約を結んでいるが、不透明感が強まっている。
サハリン2から日本勢が排除されれば収益への影響も避けられない。三井物産は22年3月期にサハリン2を含むLNGなどで純資産の減額を806億円、減損損失など209億円を計上。三菱商事もサハリン2で減額500億円を計上した。追加の減額や減損の可能性は「契約の中身がどうなっていくのか次第だ」(商社)と含みを残す。
ロシアによるウクライナ侵攻開始を受け、シェルは2月末に撤退方針を表明していた。報道によると同社はインドのエネルギー企業連合と権益の売却交渉を進めている。中国のエネルギー企業も買収に関心をもっているという。一方、日本の商社は株主としてサハリン2の事業に参画し続ける方針だった。
※別記事(読売新聞)
>大統領令は「複数の国などによる非友好的な行為に関する特別経済措置」とし、ウクライナ侵略を巡り対露制裁を科した日本などへの報復とみられる。
大統領令では、露政府が新たに設立する有限会社に、サハリン・エナジー・インベストメント社の「権利と義務を全て移譲」するとしている。ガスプロムの出資は維持されるが、その他の株主は、新会社の株式取得に同意するか否かを1か月以内に決定しなければならない。同意する場合、露政府に申請を行い、認められれば出資を維持できるとしているが、露側の対応は不透明だ。…
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