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■日本では女性の幸福度が低下していない
アメリカでは女性の幸福度が低下傾向にあるわけですが、日本ではどうなのでしょうか。
この点に関する日本の研究を見ると、「女性の幸福度は低下していない」という結論を得ています。
例えば、2000年から2010年までの日本の男女の幸福度の推移を分析した国際医療福祉大学の光山奈保子准教授と国際協力機構緒方貞子平和開発研究所の清水谷諭上席研究員の研究は、「女性の幸福度が緩やかに上昇している」と指摘しています(*2)。これについては、以前の記事で詳しく論じました。
また、2003年から2018年までの日本の男女の幸福度の推移について分析した研究を見ると、「日本の女性の幸福度はこの間大きく変化していない」という結論を得ています(*3)。
2つの研究の結果に若干の違いはありますが、日本では2000年代以降、女性の幸福度が低下傾向にはないと言えるでしょう。
この結果はアメリカとは異なっています。おそらく、日米間で女性の幸福度のトレンドに違いがあると考えられます。
■日本では男性の幸福度が低下している
それでは次に日本の男性の幸福度はどのように推移したのでしょうか。
実は女性と違って、男性の幸福度は大きな変化を経験しています。
2003年から2018年までの期間の変化を分析すると、「明確な低下傾向」が確認されたのです(*3)。日本ではもともと男性の幸福度の平均値が女性よりも低いという傾向が確認されていましたが、男性の幸福度の低下によって、男女差が拡大しています。
実際に幸福度の男女差の経年変化を見たのが図表1です。この図では、年齢、学歴、世帯所得、家族構成といった個人属性の影響をコントロールしたうえで、幸福度の男女差の推移を見ています。
この図の見方はシンプルで、値が大きくなるほど幸福度の男女差が拡大することを示しています。
2003年を基準とすると、折れ線グラフは緩やかな右上がりとなっているため、幸福度の男女差がやや拡大傾向にあると言えるでしょう。
■幸福度の男女差が拡大したグループ
2003年から2018年までの間で、幸福度の男女差は拡大傾向にあるわけですが、すべての男女間で等しくその影響を受けているのかというと、そうではありません。
細かくグルーピングしていけば、男女差が大きく拡大したグループとあまり拡大しなかったグループに分けることができます。
実際に年齢、学歴、配偶状態、子どもの有無でグループ分けすると、特に男女差が拡大したのは「35~49歳、大卒、未婚、子どもありの場合」でした(*3)。
その主な原因はいずれも「男性の幸福度の低下」でした。
■高齢未婚男性と子育て期の男性の幸福度が顕著に低下
「未婚者」と「子どもあり」の男性について、さらに詳しく見ていきましょう。なぜならば、年齢によって直面する状況が異なってくるためです。
例えば、比較的若い未婚者であれば、お金や時間を自分の裁量で使うことができ、必ずしも幸福度が低下する状況にはない可能性があります。これに対して、高齢の未婚者の場合、特に男性において社会的に孤立するケースがあるため、幸福度の低下が大きい恐れがあります。
また、子どもがいる場合、子育て期では金銭的・肉体的負担が大きいですが、子どもが巣立った後は逆に子どもからの支援が得られるケースもあるため、プラスの側面が大きくなる可能性があります。
このように、年齢層によって未婚者と子持ちの人々の直面する
■高齢未婚男性と子育て期の男性の幸福度が低下した理由
高齢未婚男性と子育て期の男性の幸福度が低下した原因には、いくつかの可能性が考えられます。
(略)
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