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ワクチンが逆効果に…「フィリピンショック」はなぜ起きたか
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ウイルスに対する抗体には、「感染を止める抗体」(中和抗体)と「感染を止めない抗体」(非中和抗体)がある。後者は役に立たない抗体とも言えるわけだが、ウイルスの種類によっては、役に立たない抗体が命取りになることもある。抗体によって感染しやすくなる「抗体依存性感染増強(ADE)」である。デングウイルスやコロナウイルスで古くから知られている現象だ。
これらのウイルスに対しては、抗体が誘導されればいいという単純な話ではない。ワクチン接種により「良い抗体」と「悪い抗体」がともに誘導されるが、その比率は個体(個人)によって異なる。良い抗体の作用が悪い抗体の作用を上回れば抗体は発症防御に働くが、その逆だと発症を誘発してしまう。
ワクチンによって誘導される免疫が不十分の人には、ワクチンが逆効果になるということだ。
新型コロナウイルスのワクチンで悪い抗体を誘導しやすい体質の人がどれくらいいるかがわからない。もし少数の人でも悪い抗体をつくりやすいとすれば、ワクチンの有効率がいくら高くても、一部の人にとってはワクチンで感染を防御できないばかりか発症率や重篤化するリスクを高めてしまう。