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事務連絡を通じた圧力(C)日刊ゲンダイ
岸田政権が都道府県に「PCR検査を抑えろ」の大号令 交付金差配の内閣府を通じた圧力か
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〈1日当たりの検査件数を1月第二週における1日当たり平均検査実績の2倍以内として頂くようお願いします〉─。先月27日、内閣府地方創生推進室と内閣官房コロナ対策推進室が、連名で各都道府県に送付した事務連絡の一文である。意図は自治体の無料PCR検査を「抑えろ」だ。
当時はオミクロン株が猛烈な勢いで全国に広がり、感染者数はネズミ算式に上昇。寒空の下、各自治体の無料PCR検査会場は長蛇の列で、検査試薬や抗原検査キットの需給逼迫が問題となっていた。そこで同日、厚労省は検査の優先順位を決定。症状がある人を診断する「行政検査」が最優先で、各自治体が行う「無料検査」は下位に位置付けた。それとワンセットで発したのが、前出の事務連絡だ。
地方創生推進室は、新型コロナ対策のために各自治体に配る「地方創生臨時交付金」を所管する。岸田政権は今年度補正予算で、自治体の無料検査を支援する「検査促進枠」を交付金に創設。予算3200億円を計上した。自治体にすれば、財源を牛耳られた政権サイドの圧力に等しい事務連絡は、こう続く。
〈1日当たりの検査件数の計画値を提出して頂くとともに、2倍超とすることが必要となる特別な事情がある場合については、事前に協議を行うようお願いします〉
皆、今後の感染拡大に不安を感じていた頃、交付金差配の権限を背景に無料検査が指定を超えそうなら“事前に協議せよ”と迫るとは随分と高圧的だ。実際に通達を受け取った首都圏自治体の担当者は「無料検査を後押ししてきたのに突然ブレーキを踏めなんて、無理難題を押しつけるな」と感じたという。
異常に高い「陽性率」の元凶なのか
それでも地方の役人にとって“お上”の命令は絶対だ。貴重な財源を握られていれば、なおさらである。結局、各自治体とも指定の枠内で無料検査を継続しているようだが、解せないのは奇妙な符合があること。事務連絡の送付時期をピークに、全国の行政検査数も一向に増えず、完全に頭打ちに陥っているのだ。
東京都の「検査人数」(7日間平均)は1月29日の2万9698.7人以降はジリジリと減少。大阪の「検査件数」も1月26日の3万9380件を超えていない。おかげで全国の検査件数に占める陽性者の割合を示す「陽性率」は今月6日までの1週間で57.7%に達した。今週は東京と大阪の陽性率も40%台が続く。検査を受ければ、およそ2人に1人が陽性となる異常な高水準だ。
ひょっとして、お上の「検査を抑えろ」の大号令に萎縮し、試薬確保のため、感染の可能性の高い人しか回さず、行政検査まで抑えているのか。事務連絡を作成した内閣官房コロナ対策推進室は「担当者不在」を理由に無回答。通達を受けた側に影響を聞くと─。
東京都は「特に萎縮したことはない。陽性者のデータは即座に国のシステムに入力するが、検査件数の報告は業務逼迫で遅れがち。陽性率の高さはそのせいでは」(感染症対策部・検査体制整備担当)とのこと。大阪府は「そもそも需給逼迫を受けた通達。必要な試薬不足は検査頭打ちの要因のひとつ。また、検査省略の『みなし陽性』の導入で、従来より検査数は減少してしまいます」(感染症・検査グループ)と答えた。
いつになれば「徹底した検査と隔離」という感染対策の基本は実現するのか。
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