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令和2年(わ)783号 威力業務妨害被告事件
判 決
主 文
被告人を懲役10月に処する。
未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
理 由
(罪となるべき事実)
被告人は,令和2年3月29日午前11時16分頃,名古屋市(住所省略)A店にお
いて,同店店員Bらに対し,「俺コロナだよ,コロナだよ」などと感染症にり患してい
る旨申し向け,その頃,同店店員らに,警察への通報,店内の消毒等を余儀なくさせて,
同人らの正常な業務の遂行を妨げ,もって威力を用いて人の業務を妨害したものであ
る。
(量刑の理由)
スマートフォン購入と通信契約のため電機製品等の量販店を訪れた被告人が,判示の
とおり,自分が感染症にり患しているかのような発言を繰り返して,同店店員らの業務
を妨害した事案である。被告人は当時酒に酔っており,契約に時間がかかることにいら
立って「コロナ」などと言ったが,明確な記憶がない,コロナに関する知識もさほどな
かったなどと述べているところ,店員の供述などの関係証拠によれば,被告人自身が新
型コロナウイルスに感染しているかのような発言を繰り返したことは明らかに認めら
れる。深い意図があったというよりは,酔った状態で安易軽率に発言したものと考えら
れるが,本件当時,新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な社会問題となっていたこと
からすると,被告人の発言が,店舗の営業のみならず社会全体に及ぼした影響は大きく,
発生した結果は相当に重大である。被告人には前記(記載略)累犯前科の他にも複数の
前科があるところ,飲酒の影響下で犯罪に及ぶ傾向が見て取れる。被告人の刑事責任は
重く,相応の実刑に処するほかない。
一方,前記の犯情に加えて,被告人は現在では自己の責任を認めて店に謝罪し,反省
の態度を示していること,アルコール依存に対する治療を行いたいと述べていること等
の酌むべき事情もあるので,この点をも考慮して,主文の刑とする。
(求刑 懲役1年6月)
令和2年6月26日
名古屋地方裁判所刑事第6部
裁判官 田 邊 三 保 子
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