21/10/16 02:34:23.21 r5dX47Tk0.net
サムスンSDIの常務・佐藤氏は、元ホンダの技術者だ。
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ホンダでは90年代初頭から本格的に電池の開発が始まった。
佐藤氏は、当初からLiBの研究開発に取り組んでいたが、徐々に経営判断がキャパシタ(蓄電装置の一種)に傾いていく。
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「キャパシタなら誰もやってないから、という発想自体は、チャレンジ精神のあるホンダらしかったが、
どう考えても原理的に自動車にはLiBのほうが有望だった」
と佐藤氏は振り返る。
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役員から「キャパシタをやってみないか?」と誘われたが佐藤氏は固辞した。
結局、LiBの開発チームからは予算も人も削られていき、佐藤氏と部下一人という状態にまでなった。
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そんなとき、サムスンSDIから声がかかった。
サムスンSDIのCEO自らがオファーに訪れるほど熱烈なラブコールだった。
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現地を実際に訪ねてみると、
「日本の電池メーカーに比べれば、技術力の差はややあった。
ただ、博士号を持った若い研究者を多く採用しているなど、ポテンシャルはあると感じた」。
佐藤氏は、サムスンSDIへの移籍を決断する。
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佐藤氏が最初に取り組んだのは、日本の素材メーカーとの関係改善だった。
サンプルに対する結果のフィードバックがなかったことや、
担当者変更の際に引継ぎがされていなかったことなどに苦情が発生していた。
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佐藤氏は、役員を連れて直接日本の素材メーカーを訪問して謝罪し、改善を約束した。
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複数の素材メーカー関係者の声を総合すると、いまでは、韓国企業より日本企業のほうが評判が悪くなっているとさえ言える。
情報のフィードバックが不十分なのだ。
ある素材メーカーの技術者は
「日本の電池メーカーは○か×かという結果だけで、細かい情報がもらえないため、研究開発の効率が上がらない。
トップのフットワークが軽く、情報を出してくれる韓国メーカーのほうが協業しやすい」
と語る。
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電池メーカーの技術者によれば、こうなってしまった理由のひとつは、情報流出の懸念だという。
韓国勢にキャッチアップされていくなかで、どんどん余裕を失っているのだろう。
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「最近では、日本の電池メーカーより先に先端技術の紹介をしてくれるようにまでなった」と佐藤氏は言う。