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欧州の南東部、バルカン半島から働き手が次々と消えている。好待遇を求め、ドイツへ向かうためだ。とりわけ医師の流出が深刻で、救急搬送をあきらめる地方都市も出ている。(ゴラジュデ〈ボスニア・ヘルツェゴビナ南東部〉=疋田多揚)
救えるのは自力で来院する人だけ
「この地域には呼吸器科の医師もいない。循環器専門医もいなくなった。麻酔医は1人だけ。彼女が休みを取れば、手術ができなくなる」
そう嘆くのは医師のベスナ・ネメツクリスラさん。ボスニア・ヘルツェゴビナ南東部ゴラジュデの中央病院の勤務医だ。幾重にも連なる山々に囲まれ、県全体で人口2万4千人弱。医師は県全体で43人。この3年で17人が県外へ去っていった。
多くは首都サラエボを目指した。「そこでコネを作り、多くは次にドイツを目指す」。この県の医師の平均月収は円換算で10万円ほど。昨年ドイツに渡った医師夫婦はマンションをあてがわれ、2人で毎月約6千ユーロ(77万円)を稼いでいるという。
人手不足の結果の一つが、救…(以下有料版で,残り1610文字)
朝日新聞 2021年9月27日 8時00分
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