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自民党総裁選告示が目前に迫った9月13日、水面下での熾烈な多数派工作が、一気に吹き出した。
◆河野・石破の鉄壁コンビ実現の衝撃
立候補表明している河野太郎・規制改革担当相兼ワクチン担当が石破茂元幹事長事務所を電撃訪問した。会談時間は20分。「来るものあれば拒まず」と上から目線を貫いてきた河野が、石破に「挙党態勢」を持ちかけたのである。この戦略変更は何を意味するのか。
「河野は党員票の厚い支持でリードしていたが、議員票が伸び悩み、このままでは50票に満たないと焦りに焦っていた」(河野周辺)
大きな賭けに打って出たのは、石破派に所属していながら、当初から河野支持に動いた平将明議員の発案だったと言われている。が、この動きには懸念の声もある。
「石破自身が総裁選出馬を検討している最中に『支援を持ちかける訪問』とは失礼ではないかと感じた。しかも、このことで細田派・麻生派・竹下派は一段と警戒、結束を強めてしまう。結果、河野への議員票が期待できなくなるという見方もできる。
ただ、河野の狙いはバンドワゴン効果。河野から石破に歩み寄った態度は、石破の自尊心を傷つけない精一杯の配慮があったし、このセレモニーをもって、総裁選は事実上、火蓋が切られたといえる。河野もそして石破も、ついに勝負に出たのだと政界は一気に色めき立った」(自民党有力議員)
石破と連帯することを公に表明した形の河野の思惑は、世論を刺激し、党員票に影響を与えるかもしれない。行列の先頭のバンドワゴンに人がどんどん集まることを狙ったこの戦術。直後、自民党内に出回った最新の党員調査によれば、河野支持は3割を優に超えた。しかも、
「立候補者が岸田文雄前政調会長、高市早苗元総務相と3人に絞られたことで、河野の支持は2倍以上に膨張しそうです」(関係者)
という。
◆河野リードに焦る旧勢力は…
自民党大派閥の実力者たちは河野の突出に警戒感を一層強めたが、麻生派の支持は、岸田と河野に分裂している。細田派は安倍前首相推しの高市と河野に支持が分かれ、竹下派は、麻生派・細田派の様子を見守っている。そして二階派も、二階幹事長の求心力が薄れ迷走状態なのだ。
「麻生派は岸田と河野に分かれているが、麻生会長に代わり甘利明が岸田多数派工作の頭目となっている。
安倍前首相は3回生までの若手議員を1人1人呼び出して高市支持を懇請しています。安倍は、総裁選で高市を2位にもっていき、なんとか影響力を誇示したい。
二階派は武田良太総務大臣が石破支持で走ったが、いまは動きを見極める状態。この三派に共通しているのは、『河野がダントツで勝ち抜くことだけは避けたい』ということです。
理由は2つ。小泉政権のときと同様、河野では自民党の秩序が乱れめちゃくちゃになるおそれがある、ということ。そして河野総理ということになれば、菅の紐付き政権となって、安倍・麻生は端に追いやられるかもしれない。二階だって、首の皮一枚、影響力が残るかの瀬戸際ですから」
◆黒幕たちが支配する岸田・高市をねじ込むために暗躍
安倍・麻生・二階は、自らの政治的影響力を保持するためには河野より、まだ岸田の方が御しやすく、高市ならすでにコントロール下にあると考えているようなのである。二階派は、岸田によって二階幹事長が辞めることになった報復として石破支持だったのだが、不出馬で意表を突かれた。
自民党の混迷は深まるばかりだが、国民から自民党を見れば、世論が反映されるリーダー選びのため、とことん混乱すればいいとすら感じる。
見極めづらい総裁選の要因には、党員・党友票383票の中に、職域団体票が45%ほどを占めていることが上げられる。
「当然、ここにはすでに安倍・麻生の手が入っていますから、党員票だけで河野が300票を取ることはまずあり得ない。現状は、3候補が党員票と議員票合わせて150~220票前後という団子状態。カギは残る160票がどのように動くのかで勝敗が決まる」
こう読むのは、自民党有力者だ。
◆安倍晋三が、若手に頭を下げた
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