21/08/07 21:35:09.37 5tg5qhBV9.net
スペインのメディアからみるオリンピックの景色は、日本とはひと味違っていた。
東京オリンピックの開会式について、日本では「地味」「手抜き」と冷評の嵐だった。それに反し、スペイン国営局のコメンテーターは一貫して称賛していた。ドローンの描く地球が、東京の夜空に浮かんだとき「日本にしかできない演出だ」とコメントし、感動のため息をもらした。
なかでも印象的だったのは、東京オリンピックを「壊れたものを美しくつなぎ直す日本の工芸である『金継ぎ』」に例えていたことだ。壊れた世の中をひとつにつなぎ合わせ修復する、複雑な状況の中で開催した日本は、それができる国だとコメンテーターは語った。
開会式翌日のスペイン紙「エル・パイス」の記事には、「共存と未来への希望のメッセージが、控えめながらも洗練された開会式に詰められていた」とある。
「意外とよかった」と同紙のコラム欄で開会式について語った元バスケットボール選手でコラムニストのフアン・マヌエル・ロペス・イトゥリアガ氏。「開会式の立役者となったのは、『歴史、文化がちりばめられた演出』と『選手たちの満面の笑み』だった」と付け加えた。
■スペインメディアのオリンピックへの反応は?
スペインオリンピック委員会会長のアレハンドロ・ブランコ氏は、「東京で大会が開かれていなかったら、スポーツ界は崩壊していた」とスペイン紙「エル・ムンド」のインタビューで言及している。
やるせない話だ。というのも、スペインのマドリードは、2020年のオリンピック候補地だったのだ。最終選考に残ったのは「東京」と「マドリード」「イスタンブール」。結果、東京が選ばれた
スペイン紙「エル ディアリオ モンタニェス」の記者パブロ・M・ディエス氏は、「感染拡大を恐れ無観客の中、感動的な開会式で東京五輪が幕を開けた」と現地から知らせた。「日本経済のためには勝利のない大会だ」とスペイン紙「エル・パイス」は、東京オリンピックで日本の経済回復は見込めないと言葉を並べた。
今回この記事を書くにあたり、「金継ぎ」について調べて知ったのだが、室町時代の茶人たちは金継ぎをした箇所のことを「景色」と呼んでいたという。壊れた器の継ぎ目を隠すことなく、割れた器もひとつの芸術として楽しんでいた。
現代の日本も「日本の壊れた部分」を包み隠すのではなく、傷や恥をつなぎなおしてできた、新しい「景色」を楽しむゆとりが必要なのかもしれない。
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