21/05/09 09:05:14.42 +NnQ+lRj9.net
東洋経済5/9(日) 6:31配信
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(略)
■きれいな写真を撮りたい
いきなり「撮り鉄」という言葉を使ったが、撮り鉄とは鉄道愛好家・鉄道趣味人のうち、撮影を活動の主体をする人たちを指す。鉄道趣味の世界は完全な「分業制」で、鉄道愛好家・鉄道趣味人のなかには写真撮影をまったくやらない人もいる。手前みそで申し訳ないが、筆者も写真撮影は不得意で、鉄道趣味ライターとしての仕事でも、写真は別の人が担当しているのが実態だ。
というわけで、筆者は仕事の都合上、職業として「撮り鉄」をしている人との付き合いがある。ベテランの鉄道カメラマンに話を聞くと「最近は鉄道の写真が撮りづらくなった」という。理由は障害物の存在で、電車が走っている路線では電柱がどうしても存在するうえに、線路脇に柵ができ、さらに諸々の設備が年々増え、列車をきれいに撮影できる場所が年々少なくなっているという。
列車の安定運行を支えるうえで、必要な設備ばかりだが、実際にカメラを構えてみると撮影上の障害物となっているのも事実だ。写真に興味のない人から見れば「わがまま」として切り捨てられる話だが、プロとしては一定以上のクオリティがないと生き残れないのも事実で、死活問題となる。
加えて、筆者の個人的な感覚だが、鉄道写真を撮影する人が以前よりも増えたように思える。最近は必ずしも珍しい列車でなくても沿線で撮影をしている人を見かけるようになったが、特に週末には人が増え、駅ホームの端でカメラを構えている姿を目にする機会が多い。ただでさえ障害物がない状態で撮影できる場所が減っているのに、撮影する人が増えれば場所の取り合いとなるわけだ。今回西川口駅でのトラブルで「駅撮り」という言葉が出たが、駅撮りとは、文字通り駅で列車を撮影することを指す。駅での撮影は最も手軽で、撮影地・撮影場所を探す必要もなく、交通費も節約できる。
西川口駅でのトラブルでは、彼らが撮影したかった目当ての列車は快速「あしかが大藤まつり」という臨時列車で、定期運行を引退した185系を撮影したかったというのが本心となろう。西川口駅ではなく、もっと遠い場所に行けばきれいに撮影できる場所はたくさんあるのだが、遠ければ交通費がかかってしまう。子供や学生にとって片道1000円以上もかかる交通費は大金だ。
この駅でのトラブルがニュースとなった後、SNS上では「#もう無理駅撮りできない」というハッシュタグのもと、数々の意見が飛び交った。だが、ここで自分の写真を出して発信したことが写真の自慢とみなされ、さらなる反感を買っているようにも見える。
■どうして「やらかす」のか?
さて、撮り鉄はどうしてトラブルを繰り返すのだろうか。実のところ、これは撮り鉄に限った話ではなく、撮影機材を持たせて同じ条件で「撮ってきてください」とやれば、鉄道に関心のない人でもトラブルを起こしてしまう。もっと言うと、「撮り鉄の作法」を知らない故に、「やらかす」確率はさらに上がると言ってよいだろう。
一例として、鉄道と関係なく、路上で記念写真を撮るとしよう。写真を撮るためには、撮影機材を構えている自分と、撮りたい相手の間で距離を置く必要があるが、いざシャッターを切ろうとした瞬間、見知らぬ他人が割って入ってきた。シャッターを切った自分は「邪魔をされた」と不愉快になるし、撮られた側は「路上で自分の写真を勝手に撮られた」ということで不愉快になる。さあ、ケンカの始まりだ。
このような形で、障害物が写り込めば誰でも不愉快になる話なのだが、鉄道の場合は、あたかも撮り鉄が特別な悪さをしているように見えるから、不思議なものだ。撮り鉄が私有地に勝手に入ったり、草刈りや伐採を勝手にやったりする事例も批判されるが、これは撮り鉄に限らない。コロナ禍の前の話だが、北海道では観光客が雄大な景色を見ようとして勝手に農地に入り、畑を荒らしてしまったこともあったし、京都でも観光客が住宅地に流入して生活に支障が出るといった事例もある。観光客の大半は普通の人で、こちらのほうが事態は深刻だったりするのだが、撮り鉄のトラブルがニュースになると、あっという間に忘れ去られてしまった。
撮り鉄をはじめ、オタク趣味では最も脂が乗る時期がある。それは若い頃で、年齢的には10代から20代前半の学生時代が主な活動時期となる。
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