21/03/25 20:16:29.58 Aqq7KMUQ0.net
>>680
「瓦一枚完全なものがない。直径一メートルの老松が、飴をねじきったように折れ
何千万貫あるかしれない鉄筋の橋が移動し、一発で十七万が死んだ」
彼は恐ろしい爆弾だ! これは悲惨以上である、と繰返し繰返し言った。
私たちは警察の自動車で、広島市を一巡りして、広島逓信局の焼ビルの中に収容されていた原爆で火傷した患者を見た。
鬼気せまる様相をした火傷者が、じっと彼をにらむ。罵声を浴せかける。女の子が泣きわめくので、
「これで沢山、ここを早く逃げ出したい」 といって彼は逓信局を飛び出していった。
顔面蒼白である、お湯が飲みたいと言った。頭がくらくらするとも言った。
私は、奴さん怖くなったなと思った。
「神は、この罪は許さないかもしれない。あまりに悲惨すぎると思う」 と言った。
彼はその日の夜、広島をたって京都に向った。
電報局がやられているので苦労をして彼の第一報を電話で東京本社に送り届けた。
この電報が、外国人の打った第一報となったのである。