21/02/23 06:51:55.16 gNxciwkJ0.net
萱野稔人 そもそも日本はいつから皆婚社会になったと言えるのでしょうか。
荒川和久 これは1898年に公布された明治民法がきっかけになっていると思います。
江戸時代の庶民の結婚はかなり自由で、「銘々稼ぎ」という共働きが当たり前の経済共同体といえるような関係でした。
だからこそ、当時は離婚も世界トップクラスに多かったんです。
それが明治民法によって庶民の結婚も武家のような"家制度""家父長制"に組み込まれることになります。
これは言ってみれば、妻から経済的自立を奪うようなもので、女性は結婚して家に入るしか基本的に生きていく道がなくなり、離婚もできなくなったんですね。
ここから夫は仕事して家族を扶養し、妻は家事と育児を担うことが夫婦の規範として確立していきます。
お見合いはいわば家族という共同体作りとしての社会システムとして機能していきます。
皆婚社会はそうしてできあがったと考えます。
萱野 現代の結婚のあり方はむしろ江戸時代のそれに近づいているということですね。
当時、江戸には農村から流れてきた次男、三男も多かったと言われています。
彼らは結婚できず、仕事もなくて、餓死などの悲惨な最期を遂げることも多かったようですが、一方で自由なシングルライフを送っていて、江戸ならではの文化や産業の担い手にもなったそうですね。
荒川 日本の皆婚状態は、大正、昭和と約100年ほど続きました。
僕はこの100年がむしろ日本にとって例外的な特殊期間だったのではないかと思います。
今の未婚率や離婚率の上昇はその揺り戻しみたいなものではないかと。