21/02/21 18:26:39.26 BUErTuQA0.net
―私はNコーヒー会社の、コーヒーを袋詰めする女工です。私の恋人は破砕器クラッシャーへコーヒー豆を入れることを仕事にしていました。そして二月の二十一日の朝、大きな豆を入れる時に、その豆と一緒に、クラッシャーの中へ嵌はまりました。
仲間の人たちは、助け出そうとしましたけれど、水の中へ溺おぼれるように、豆の下へ私の恋人は沈んで行きました。そして、豆と恋人の体とは砕け合って、赤い細い豆になって、ベルトの上へ落ちました。ベルトは粉砕筒ふんさいとうへ入って行きました。そこで鋼鉄の弾丸と一緒になって、細こまかく細く、はげしい音に呪のろいの声を叫びながら、砕かれました。そうして焼かれて、立派にコーヒーとなりました。
骨も、肉も、魂も、粉々になりました。私の恋人の一切はコーヒーになってしまいました。残ったものはこの仕事着のボロ許ばかりです。私は恋人を袋に入れています。
私の恋人はコーヒーになりました。私はその次の日、この手紙を書いて段ボールの中へ、そうと仕舞い込みました。
あなたは労働者ですか、あなたが労働者だったら、私を可哀相かわいそうだと思って、お返事下さい。