20/11/11 01:27:30.07 z/N39PQE9.net
2020/11/10 20:00
URLリンク(373news.com)
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
女性検察官は眉間にしわを寄せ、白いマスク越しにもはっきりと険しい表情が読み取れた。視線の先にいたのは、小太りで黒いTシャツを着た被告の男(26)。自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われていた。
男はゲームや動画を見て不規則な生活を送っていた。梅雨の真っただ中だったその日、「雨にぬれたくなかった」とレンタカーを借りた。生活保護を受給しているため車の運転を禁じられていたにもかかわらずだ。
向かったのはパチンコ店。兄と10カ所を巡った。夜が更け、眠気を覚えても休憩しなかった。居眠り運転で横断歩道を渡っていた21歳の男子大学生をはね、死亡させた。信号は男側が赤。ブレーキを踏んでいなかった。
「尊い命を奪い、大変申し訳ない」と謝罪したが、事件後2度もドライブをしていたことが明らかになった。張り詰めた空気の中、喪服に身を包んだ遺族3人が傍聴席からやり取りを見守っていた。
事故を起こした認識が薄れていったとする被告に、検察官は間髪を入れず「薄れるような出来事か。ご遺族がどんな気持ちで過ごしてきたと思うか」と声を張り上げた。「あなたに無念さが分かるか。生きているから償いたいとか言えるけど、被害者は何も言えないんだよ。分かる?」と一気にまくし立てた。
被害者は大学の特待生だった。県外の広告代理店から内定をもらい、新たな未来へ踏み出そうとしていた。ムードメーカー的な存在で300人もの友人が通夜に参列。現場には一緒に音楽活動をしていた仲間がCDを手向けてくれた。
被害者側の意見陳述では、黒ネクタイを締めた父親が愛息との思い出を回想した。「単身赴任中だった私のもとに遊びに来てくれ、初めて2人で酒を飲んだ。『楽しみにしてたんだよ』って、はにかんだ表情を浮かべて」。言葉を選びながら冷静に語る姿からは、かえって深い悲しみが伝わってきた。
事故3日後に被告から電話があり、名前を間違えられた。生活保護費で賠償したいと言われ、ばかにされていると思った。事件に関するノートの1ページ目に「無念を晴らす」と記した。「息子と幸せな時間をもっと分かち合いたかった。被告への憎しみは日に日に増すばかり。最大限の罰を」と述べ、陳述を締めくくった。
迎えた判決公判。男はまたも黒いTシャツ姿で臨み、禁錮1年10月を言い渡された。スーツ姿の遺族が法廷を後にする際、深々と礼をしたが見向きもされず、静かに法廷の扉が閉まった。
前スレ スレリンク(newsplus板)