20/10/28 13:39:17.45 BBNcrmBK0.net
体をタオルで拭いたが、「親をないがしろにする」と怒鳴られた。孫の自分を娘と勘違いしたのだろうか。お湯でタオルを温めて拭き直したが、
今度は「あんたがおるから生きていても楽しくない」と言われた。
「ごめんね、ごめんね」となだめたが、祖母の非難はやまなかった。気づくと、祖母の体をベッドに押し倒していた。
「もう黙って……」
手には、スヌーピーとピンクのハート柄が入ったフェースタオル。両手で祖母の口に押し込んだ。祖母は数分で動かなくなった。
「おばあちゃんを殺してしまいました」。自殺未遂を図った末、女性は自ら110番した。すぐに警察官がやってきた。
◇「強く非難できない」判決は懲役3年、執行猶予5年
20年9月9日から神戸地裁で始まった裁判員裁判では、女性が祖母の介護3カ月目、疲労や重度のストレスから腎臓が悪化し、
重度の貧血になったことや、「軽いうつ病」との診断を受け、医師からは退職か休職を勧められていたことが明かされた。
また、叔母が検察側証人として出廷し「介護は家族みんなで頑張った」と話す一方、ケアマネジャーの女性が「(祖母の)入院を勧めたが、
叔母らが拒否した」と証言する場面もあった。
事実関係は争われず、女性の責任能力が争点となった。弁護側が「睡眠不足や介護が起因の適応障害による心神耗弱」を主張したのに対し、
検察側は「冷静な行動だった」と完全責任能力を指摘した。
女性に言い渡された判決は、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役4年)。飯島健太郎裁判長は「適応障害そのものが、
犯行に影響を与えていない」としながらも、「介護による睡眠不足や仕事のストレスで心身ともに疲弊し、強く非難できない」と結論づけた。
また、「叔母の意向に反して介護負担を軽くする策をとることはできなかった」と親族間の関係性を指摘。執行猶予がついた理由について
「自首して反省を深め、社会内で更生が期待できる」とした。
社会の中で償いの道を歩む女性だが、親族のサポートは期待できなそうだ。女性の父は、判決後の毎日新聞の取材に対し
「刑務所に入るべきだ。『介護をやらされてかわいそう』との前提で判決が出ている。妹(叔母)とも話したが同じ思いだ。
今後連絡することもないし、親としての愛情はない」と突き放した。
代理人弁護士によると、女性は保護観察所を通じて住む部屋を見つけ、就職活動を始めたが、採用を問い合わせたある幼稚園に
「ブランドイメージがありますから」と断られた。最近、ようやく事務職のパートを見つけたが、着る服にも事欠く生活が続いているという。
記者は女性に直接、話を聞こうと代理人弁護士を通じて、取材を申し込んだが、返答は得られなかった。
女性と祖母が暮らした家は事件以来、閉ざされている。玄関先に置かれたままの鉢植えは草が伸びきり、手入れするあるじの不在を告げる。
「おばあさんの冥福を祈り、社会の中で更生してください」。飯島裁判長の説諭にじっと耳を澄まし、うなずいた女性は、今も険しい道を歩んでいる。