20/06/28 12:35:28 6ZcI9bsx9.net
札幌市の路上で、妊娠中の女性が男に腹を蹴られる事件が起きた。
男は「腹が出ていて蹴りやすいので蹴った」と供述、妊婦と分かった上での犯行だった。この事件以外にも妊娠中の女性に体当たりしたり、子供を抱いた母親の抱っこひもを外したりする行為なども報告されている。妊婦や子供連れの母親などに危害を加える行為が後を絶たない。
事件は今年4月、札幌市中央区の路上で発生。子供2人と手をつないで歩いていた当時妊娠7カ月の20代の女性の後ろから歩いてきた男が「邪魔だ。どけ」と言い、女性の腹を右足で1回蹴ったとしている。
北海道警は、市内の無職の男(51)を暴行容疑で逮捕。女性は妊娠中であることを伝えたが、男は犯行を止めなかった。女性にけがはなく、胎児にも影響はなかった。道警は男を釈放して、任意で捜査を続けている。
■「駅ホームで体当たりされた」
《マタニティーマーク凝視して、すれ違い様に暴言的なもの言われて唾吐かれた》《妊娠中に駅のホームで電車を待っていたら、思いっきり体当たりされた》
SNS上にはこの事件と同様に、妊娠中に見知らぬ人から危害を加えられたことを訴える投稿が相次いでいる。妊婦や子供を連れた母親への危険な行為は決して少なくないとみられる。
昨年には、子供を抱っこする「抱っこひも」の背中側のバックルを外されるという被害や目撃情報がSNS上で相次いだ。ある女性がバスに乗車しようとしたところ、《知らない女性に抱っこひものバックルを無言で勝手にはずされていた》という。幸い、子供は無事だったが、極めて危険な行為だ。
本来、守られるべき妊婦や子供連れに対しなぜこうした行動に出るのか。NPO法人「マタハラNet」創設者で会社経営の小酒部さやかさんは、日本人は「迷惑」という言葉に敏感だと指摘。「『子供は迷惑』という意識が日本社会の根底にあるのではないか。幸せそうな人に対する嫉妬心や『世の中に迷惑をかけている』と思う人を成敗して優越感を抱くということもある。暴力や暴言をストレスのはけ口にしている」と分析する。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中には「自粛警察」や「マスク警察」など私的に制裁を加える事例も相次いだ。感染の影響が長引くと、社会的な弱者に攻撃が向かう危険性もある。
大正大の田中俊之准教授(男性学)は「妊婦や子連れに限らず、社会の中にはいろいろなペースで行動する人が混在している。健康な大人を基準とせず、誰もが心地よく活動できる社会をつくっていかなければ、妊婦や子連れが『邪魔』とされる状況は変わらないだろう」と話した。
■マーク「つけない」17%
妊婦の安全を確保するためのマタニティーマーク。妊婦に優しい環境づくりのためのマークであるにも関わらず、マークを付けていることで、わざとぶつかられたり、暴言を浴びせられたりする被害もあるという。
ベビー用品メーカー「ピジョン」が運営する「妊婦フレンズwithパパ」が今年5月に妊婦を含む男女計600人に行った調査では、マタニティーマークをつけていないという妊婦は17・5%。そのうち57・5%が「嫌な目にあうというニュース・情報を見た」ことを理由に挙げた。
マークをつけている人では、つけていてよかったこと、うれしかったことが「ある」と回答した人は63・1%だった。その一方で、不安に思ったことが「ある」と回答する人も3割以上にのぼった。
調査の担当者は「センセーショナルな事件が起こると、マタニティーマークを付けるのをためらう人が増えるのではないか」と話す。マタニティーマークをつけるのは、体調が急変したときや災害時に、医療関係者などに妊娠中だと分かってもらう目的もあるとして、「おなかの赤ちゃんのためにもマタニティーマークをしっかりつけていただきたい」と強調した。
2020年6月27日 20時25分 産経新聞
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