20/05/16 09:31:29 yi4YScCo9.net
名門アレルのレナウンが法的整理手続きに入る。1990年代には世界最大の事業規模を誇ったが、近年はブランド力の低下やファストファッションの台頭などで不振が続いていた。そこに新型コロナウイルスによる需要蒸発で4月の販売が8割減まで落ち込み、行き詰まった。親会社の山東如意科技集団との関係悪化も目立っており、スポンサー探しなど再建は難航も予想される。
新型コロナの感染拡大以降、販売は急速に落ち込んでいった。主要販路である百貨店やショッピングセンターの休業を受け、3月の既存店売上高は前年同月比42.5%減と急減、4月は同81%減まで落ち込んだ。資金が入らず、5月中旬以降の債務支払いができなくなった。
比較的高価な百貨店中心のブランドに依存するレナウンは、米アマゾン・ドット・コムなど電子商取引(EC)の拡大や、「ZARA」などファストファッションに押され、顧客層を崩されていた。最近は新たな販路開拓を続けていたが、若者向けブランドの育成がうまくいかず、再建に向けた有効な戦略が見いだせなかったところに、新型コロナが直撃した形だ。
ただ、業績悪化は販売不振だけではない。19年12月期は2期連続の最終赤字となったが、主因は山東如意グループである香港企業からの売掛金の回収が滞ったためだ。「回収がいつになるのか不透明だ」(毛利憲司社長)として貸倒引当金を計57億円計上した。
山東如意も近年は事業環境が厳しくなっていた。中国の景気減速や米中貿易摩擦に加えて、新型コロナで苦戦していたとみられる。レナウンによると、山東如意が売掛金を補償する取り決めもあったというが、実現しなかった。山東如意も経営が厳しくなっていた様子がうかがえる。
山東如意とは取締役選任でも対立した。3月の株主総会では神保佳幸社長と北畑稔会長の再任が山東如意の反対で否決され、取締役だった毛利氏が社長に就任した。
今回の法的整理は子会社が債権者として民事再生法の適用を申請するという異例の手続きをとった。民事再生を巡ってレナウンの取締役会の意見がまとまらず、子会社を通じた手法になったとみられ、東京地裁は経営陣が主体となって再生手続きを進める「監督型」ではなく、管財人のもとで進める「管理型」を選択した。
再建へはスピード感を持って、2つの壁を乗り越えなければならない。親会社である山東如意との対立は残っており今後、山東如意出身の取締役が不服として、民事再生手続きの停止を求めてくる可能性も残る。手続きが停止すれば、再建が難しくなる恐れがある。
さらに難しいのが、スポンサー探しだ。法的手続きとなり、消費関連企業にとって重要なブランド価値の毀損は免れない。店舗の閉鎖が長引き、社員やアルバイトが減ると、店舗の運営すら難しくなる。
ある投資ファンドは「消費者の価値観の変化やECの拡大など、アパレルは構造的に厳しい業種だ。新型コロナの影響でいつ平常通り運営できるか分からない。ここでスポンサーに名乗り出るのは難しい」と話す。
日本経済新聞 2020年5月15日 23:00(2020年5月16日 5:29 更新)
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