20/03/28 10:46:06 sioX23dc9.net
「この時代が悪い」「日本社会が悪い」―。
何かと社会のせいにする人は、身近に必ず一定数がいるものだ。そんな人に疲れてしまうことはないだろうか。むき出しの感情やパワー重視の社会にうんざりすることはないだろうか。
山口周氏との対談『「仕事ができる」とはどういうことか?』を上梓した一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と、ロングセラー『SELFISH(セルフィッシュ)』の監修を行った、株式会社ENERGIZEの代表・秦卓民氏に、コレクトパワー過剰社会ともいえる日本について、「セルフィッシュ」の観点から語り合ってもらった。
自分を小さく扱うから、期待しなくてもいい
楠木建(以下、楠木):この本ではSELFISH(セルフィッシュ)を自分本位、と訳していますが、それは自己中心とは大きく異なるんですよね。自分本位の人というのは、無理をせず、未来に期待せず、つねにゆとりがあるもの。「自己中心」の考え方というのは、自分に都合よく考えるということがベースになっていると思いますが、それはあまりにも自分を大きく扱っています。
秦卓民(以下、秦):自己中心になればなるほど、誰かと比べての損得が判断の基準となる。つまり、他者を気にして生きていくことになる気がしますね。
楠木:本来、思いどおりにならないことのほうが自然なんです。セルフィッシュな人っていうのは、非常に自分を小さく扱っている。ゆえに、あらゆることに期待をしていない。
秦:それが、「無理していない」ということにもつながっているんですね。
楠木:そのとおりですね。
楠木:自分の思いどおりにならないことに、ひたすら文句を言っている人っていますよね。時代が悪い、環境が悪い、はては日本が悪いといった具合に。
同じように、過去にさかのぼる人もいます。「高度経済成長の頃はよかった。今は少子高齢化で時代がよくない」という話です。これは、裏を返すと将来に期待しすぎなんですよね。こういうのが、自分がない状態、自分本位でない状態です。
秦:いますね、そういう人。
楠木:何があっても、最終的には「日本が悪い、日本がイケてない」っていう答えに行き着く。彼らをよく見てみると、どうも自分が調子よくないっていうことなんですね。自分が調子よくない、パッとしないってことを認めるとつらいので、結局は「日本が悪い」っていう話にしちゃってるんですね。
で、私はこういう人たちを見ると、思わずツッコミたくなるんです。「じゃあ、どこがいいんですか?」と。例えば、「中国はどうやらイノベーションが進んでいるらしいからイケてる!」と言う人がいますが、そういう人には「では聞くけれど、中国の国家システムがいいの?」と。
物事にはいい面も悪い面もあります。全面的に「優れた国家システム」などありえない。これは一例ですが、ようするに他責志向ですね。
秦:同じように、時代についても言えますよね。例えば「この不況が悪い」というように、時代のせいにする。「いつならいいの?」と聞き返したくなります。
楠木:まったくそのとおりです。高度成長期だったらいいの??受験戦争と交通戦争でインフレもすごかったよ。応仁の乱の時代なんてどう??道端で殺されてたかもよ。縄文時代は??竪穴式住居で、冬は寒いぞ。もう、どの時代でも一緒なんです。
秦:どの時代でも、それなりにいろいろありますよね。
自分の「好き」を中心に考える
楠木:前回の対談でもお話ししたように、セルフィッシュな人を思い浮かべながら読み進めていくと、より実態が見えてきます。世の中にいる芸術活動をされている、いわゆるアーティストと呼ばれる方々は、非常にセルフィッシュなのではないかと思っています。自分の感性に正直になって、自分の世界観を表現する。そこには誰にも期待していないし、もちろん未来にも期待していない。
秦:確かに、誰かに理解されようとか、どう評価されるかといった考えはないように見えますね。
楠木:例えば建築にしても同じです。優れた建築家は今ここでどうやって表現していくかということに集中していますよね。いい意味で、未来に期待していないんですね。
秦:でも、われわれの受ける教育というのは、評価や未来に期待するように教えられるじゃないですか。高倉健さんのような方が学校の先生をやったらいいと思うんですが。
楠木:小学校のようなところですと、僕のような人が先生をやると、教育は成り立たないでしょうね。
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