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1月19日、とても辛いニュースが報じられました。
『7カ月乳児が市営住宅9階から転落死 母親を殺人容疑で逮捕 大阪』(毎日新聞・2020年1月19日)
URLリンク(mainichi.jp)
記事によると、19日の午前10時15分ごろ、大阪市平野区の市営住宅9階から生後7カ月の赤ちゃんが転落して死亡。母親(36)が殺人容疑で逮捕されました。
ところが、母親は容疑を否認しており、「私が手を離し、落ちて死んでしまったことは間違いないが、突き落としてはいない」そう供述しているというのです。
まだ歩くことのできない赤ちゃんが、高層階から自力で転落することは不可能です。通常ならあり得ないことでしょう。
しかし、転落の直前に何が起こったのか、それは現場を見ていない者には推し量ることができません。
本人が殺意を認めておらず、捜査もまだ十分に行われていない段階で、こんなに早く実名で報道することが、果たして適切だと言えるのでしょうか。
容疑否認でも「犯人」と決めつける報道に翻弄された家族
私がなぜ、そのことを強く感じているのか。それは、最近、ある深刻な冤罪事件の当事者を取材したからです。
この事件については、昨年11月10日のJBpressでもレポートしました。
(参考記事)虐待裁判で逆転無罪、無実の祖母を犯人視した専門家
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
生後2カ月のお孫さんの具合が突然悪くなり、残念ながら2カ月後に亡くなってしまったのですが、脳に出血が見られたことから、数時間だけ面倒を見ていた祖母の山内泰子さん(69)が、「強く揺さぶる虐待をおこなった」として傷害致死罪で逮捕されたのです。
実は、この事件も逮捕当日、新聞やテレビで大々的に報道されました。
『頭揺さぶり乳児死なす 大阪 傷害致死容疑で祖母逮捕』(中日新聞・2016.12.06)
『祖母 傷害致死容疑で逮捕 乳児死亡 「やっていない」 大阪府警』(読売新聞・2016.12.06)
もちろん、山内さんの実名、顔出しです。
ネット上には、「孫を殺害した」と報じられた彼女に対して、目をそむけたくなるような批判的なコメントが書き込まれました。
逮捕され、身柄を警察に取られた山内さん自身は、逮捕直後の報道を直接見ることはありませんでしたが、家族にとっては、にわかに信じられない内容で、大きなショック受けたと言います。孫をかわいがっている「おばあちゃん」の姿しか知らないからです。
逮捕され、長期間拘留された山内さんは、一貫して「虐待などしていない」と否認しました。しかし、一審では懲役5年半の実刑判決を受けます。どうしても納得できなかった彼女は即控訴し、控訴審でも無罪を主張しました。
そして2019年10月、大阪高裁は逆転無罪を言い渡し、結果的に検察は控訴を断念。11月に無罪が確定したのです。
高裁判決では、亡くなった赤ちゃんの死因は、激しい揺さぶり虐待によるものではなく、脳静脈洞血栓症という病気だった可能性が高いことが認められたのです。
逮捕前から犯人視され「隠し撮り」
2019年12月16日、大阪市内でSBS検証プロジェクト主催による山内事件の無罪報告会が開かれました。
会場には100名超の参加者のほか、報道陣が詰めかけました。そして、科学的根拠のない「乳幼児揺さぶられ症候群」における医学鑑定の問題の他、捜査機関の情報だけに頼ったメディアの初期報道についても警鐘が鳴らされたのです。
この日、多くの参加者の前で、山内泰子さん(69)は自らマイクを握り、こう語りました。
「あのとき、私はなんで逮捕されたんだろうって、自分でも全然わからなかったんです。何もやっていないのに、警察からは、『そのとき一緒にいたのはあんた一人やった』と言われて・・・。一審で有罪になったときは本当に悲しかったですね。控訴した後も、また二審でも有罪になるんじゃないかと不安で、夜も眠れなかったんです。弁護団の先生方や医師の方々のお力で、こうして無罪を勝ち取ることができ、本当に感謝しています」
そして、報道機関に対しては、こう訴えました。
全文はソース元で
1月21日(火)6時0分
URLリンク(news.biglobe.ne.jp)